
アスファルトの虹
前向きに生きる事の比喩としてよく聞く、
「上を向いて真っ直ぐ歩いていこう!」
みたいなやつがある。
確かに、前を見て歩くのはとても大事。
けれど、下を向いて歩いてみると、
躓いたら危なそうな石や犬のうんこ避けて歩ける。
たまに泥の付いた小銭見つけたり、鈍く光る変な形の石を見つけたりもする。
そうして少し不衛生な宝物でポケットがパンパンになっていく。
雨が降ってても、土から出てきたミミズや、
雨に喜ぶカエルを踏むことなく歩けるし、
水溜まりの中心でジャンプしてアメンボ蹴散らしたり、
その途中で寄り道して鮮やかに咲く紫陽花を見て、
「青い色だからアルカリ性の土壌なんだろうな」なんて考えながら、その葉っぱの上を一生懸命のろのろ移動するカタツムリをしゃがんで眺めつつ、たまに目玉つんつんしてみたりとかできる。
車から漏れ出たオイルと雨が反応した、綺麗な虹色のアスファルトが見れたりとかもするし、その虹を長靴のつま先にくっつけて、濡れたアスファルトに虹色の落書きして遊べたりもする。
虹が出るのは空だけじゃない。
下を向いて歩いた雨の日も、それなりに楽しくて美しいと思う。
それが必要かどうかはわからないけど、晴れの日にまっすぐ歩くだけじゃ、気付かない事も世の中にはあると思う。
雨の日に下を向いて歩くことでしかわからない事に気付くと、それが何かを救うきっかけになる事もあるのかもしれない。
少し遠慮がちな雨が降る日の早朝、ゴミ出しの道中で遭遇した、アスファルトの上をモニョモニョ動いてるミミズを鷲掴んで、車に轢かれないよう道路の端にブン投げながら、そんな事を思った。