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婚活で出会った人の話|結婚相手を探していたはずなのに、最後に出会ったのは自分でした

    婚活で出会ったのは、結婚相手だけではありませんでした。

    婚活を始めて約10年。
    気づけば、婚活アプリを開くことが当たり前の日常になっていました。

    自由が丘なのに「わん」だった初デート。
    双眼鏡を持って美術館へ来た人。
    「明日、引っ越すね」と言った人。
    「いい人なんだけど、なんか違う。」

    そんな人たちとの出会いは、今では笑い話です。

    でも当時は、本気でした。

    「もう婚活なんてやめたい。」
    何度思ったか分かりません。

    でも、やめたら終わる。
    そう思っていました。

    休みたい。
    でも、休んでいる場合じゃない。
    休んでいる間にも、歳は重ねていく。

    焦る。
    でも、妥協はしたくない。

    そんな気持ちを抱えながら、
    会って、断って、
    また会って。

    婚活は、思っていた以上に体力も気力も使うものでした。

    振り返ってみると、
    あの時間は結婚相手を探す時間だったというより、
    自分自身を知っていく時間だったように思います。

    これは、婚活で出会った人たちと、
    そのたびに少しずつ変わっていった私の話です。

    第一章 「なんか違う」は、わがままなのか

    自由が丘なのに「わん」だった初デート

    婚活を始めた頃の私は、「条件が合えば、きっといい人に出会える」と思っていました。

    年齢が近くて、やり取りも自然。
    プロフィールを見ても特に気になるところはありません。

    ある日、その男性からメッセージが届きました。

    「ワインとかお好きですか?」

    私はお酒は飲めないけれど、ワインに合う料理は好きだと返すと、

    「自由が丘で美味しいお店を知っているので、予約しておきますね。」

    自由が丘でワイン。
    学生の頃からよく歩いた街です。
    雑貨屋さんを見たり、カフェでおしゃべりをしたり。
    だから私は勝手に、落ち着いて話せるお店を想像していました。

    そして当日。
    「ここです!」

    彼が案内してくれたのは──

    『わん』。

    犬じゃありません。

    居酒屋の「わん」です。

    ……え?

    いや、「わん」が悪いわけじゃないんです。
    会社の飲み会なら普通に行くし、美味しいことも知っています。

    でも、その日は大学生らしいグループで店内は大賑わい。

    最初に案内された半個室では、隣の声が大きくて、お互いの声も聞き取りづらいほどでした。

    「これはさすがに話せないですね。」

    そこだけは彼と意見が合い、店員さんにお願いして奥の個室へ移動しました。

    ようやく落ち着いて話せる。

    ……と思ったのですが。

    彼はうれしそうに言いました。
    「この店、料理が結構おいしいんですよ!」

    私は笑顔で頷きながら、
    心の中では、ずっと「なんか違う」と思っていました。
    でも、その「なんか」が、自分でもうまく言葉にできません。

    婚活は、人見知りの私には修行でした。
    だから毎回、自分に言い聞かせていました。

    「仕事だと思おう。」

    目の前の人は得意先。お客様。
    まずは感じよく接すること。
    判断するのは、そのあと。

    その日も最後まで笑顔で過ごしました。
    そのおかげか、帰り際には手をつながれそうになって、心の中で「ひえ〜」と叫びながら。

    条件だけを見れば、悪い人ではなかったと思います。
    それでも私は、「この人ではない」と感じていました。
    あの時の私は、「なんか違う」としか言えませんでした。

    でも振り返れば、その小さな違和感こそが、私が自分の大切なものに気づくきっかけでした。


    デニムコーデとフラペチーノ

    次に会ったのは、教育関係の仕事をしている男性でした。
    美術館が好きだという共通点があり、「フェルメール展に行きましょう」という話になりました。

    待ち合わせは朝9時、六本木。

    本当は10時を提案したのですが、「混むから早めに行きましょう」と言われ、1時間早めることに。

    そして当日。

    9時。

    ……来ません。

    メッセージを送ると、

    「すみません! 朝、仕事場に寄っていて1時間くらい遅れます!」

    ……10時でよかったよね。

    さすがに待つしかないので、スタバで時間をつぶしていると、彼からまたメッセージが届きました。

    「少し寒かったので、デニムを上に羽織ったら上下デニムみたいになっちゃいました!」

    上下デニムとな……?

    現れた彼は、本当に上下くすんだブラックデニムでした。
    1%でも上級コーデを期待した私。

    ようやく合流し、美術館へ。

    すると彼が、バッグから取り出したもの。

    双眼鏡。

    え、双眼鏡?

    当時の私は、美術館で双眼鏡を使う人がいるなんて知りませんでした。

    彼は真剣に作品をのぞいています。

    隣のおばちゃんが、小さな声で、
    「え……あの人、双眼鏡……?」

    ちょっとしたザワつき。

    「よかったらどうぞ。」
    と貸してくれましたが、私は絵全体を眺めたい派だったので、
    「すごいですね〜」
    と返して、そっとお返ししました。

    でも、作品の解説は本当に分かりやすくて、「さすが先生なんだなぁ」と感心したのを覚えています。

    展示を見終わったらランチへ。
    ランチ代は一人1,580円。二人分で3,160円のお会計。

    「じゃあ1,000円でいいです。」

    580円、ごちそうになりました。

    そのあとのお茶は私がごちそうすることに。

    「どれでもいいですよ。」
    そう言うと、彼は迷わずスタバで一番高そうなフラペチーノを選びました。

    さっき580円ごちそうになって、今680円ごちそうしてる私。

    ……いや、いいんですよ。
    全然いいんです。

    でも。
    なんか、ちょっとだけ、モヤっ。

    あ、でも「どれでもいいですよ」って言ったの私ですね。
    じゃあ私のせいか。

    その日も最後まで笑顔で過ごし、お誘いは後日お断りしました。

    ちなみに、朝1時間遅れた理由は、

    双眼鏡を取りに職場へ寄っていたから。

    優先順位、そこですの??

    帰り道、「世の中にはいろんな人がいるなぁ」と思いながら歩いていました。

    あの頃は、「なんか違う」と思うたびに、自分の心が少しずつ何かを教えてくれていたことに、まだ気づいていませんでした。


    エスプレッソってそういう飲み物だっけ?

    次に会った男性は、プロフィール写真から少し不思議でした。
    車の運転席で撮った写真なのですが、頭が天井ぎりぎり。

    「どういう構図なんだろう……?」

    そんな小さな違和感を抱えたまま、中間地点の渋谷で待ち合わせをしました。

    地下のカフェに入り、席についてメニューを見ていると、店員さんがやってきました。

    彼が言います。

    「えっと……エスプレッソにしようかな。」

    いやいやいや。

    エスプレッソって、お砂糖をドバッと入れて、くいっと飲む、あの小さなカップのやつだよ?

    ……あ。

    (察し。)

    私、もう帰れってこと?
    私、即終了ってこと?

    マンマミーア!!
    (イタリア語で「なんてこった!」みたいな意味です)

    いや、違う。
    たぶん、この人は知らないだけだ。

    「暑いですし、アイスカフェラテとかどうですか?」

    さりげなく軌道修正すると、
    「じゃあ、それにします。」
    よかった。

    その日はかなり暑かったのですが、彼は大きな編み目のダルダルのニットを着ていました。

    エスプレッソ。真夏のニット。
    「あれ?」
    と思うことが、少しずつ増えていきました。

    ちなみに、婚活をしていると分かることがあります。
    隣の席の人、たぶん気づいています。
    「あ、この二人、初対面だな」って。

    昔はそれが恥ずかしかったのに、いつの間にか変わりました。
    一人でお茶をしている時、そんな二人を見かけると、
    (がんばれ……!!)
    と、心の中で応援する側になっていました。

    この日も、決定的な何かがあったわけではありません。

    エスプレッソの選び方。
    真夏の服装。
    将来の話をした時の、少しふわっとした感じ。

    一つひとつは小さなことです。

    自分でも思うんです。
    「こんなことで断るなんて、選り好みかな。私って何様なんだろ」って。

    それでも。
    最後に残るのは、やっぱり同じ言葉でした。

    なんか違う。

    理由は説明できない。
    でも、その感覚だけは、いつも不思議なくらいはっきりしていました。


    第二章 条件より大切だったもの

    「明日引っ越すね」と言った彼

    付き合っていた彼から、ある日突然LINEが届きました。
    「急に異動が決まったから、明日引っ越すね。」
    一瞬、意味が分かりませんでした。

    明日?

    というか、そんな話、一度も聞いてない。
    しかも飛行機で行くような距離です。

    画面を見つめたまま、
    「え?」
    しか出てきませんでした。


    彼は、仕事に誇りを持っている人でした。
    忙しかったけれど誠実で、尊敬できる人。

    若い頃の私が「素敵だな」と思っていた条件を、ほとんど満たしていました。
    仕事に打ち込んでいて、自分を引っ張ってくれる人。
    そんな人に憧れていたのです。

    だから付き合うことになりました。

    でも、このLINEを見た瞬間、
    胸の奥で何かが止まりました。

    「引っ張ってくれる」

    と思っていた人は、気づけば私を置いてけぼりで進んでいました。

    怒りというより、
    ただ、悲しかったんです。

    引っ越すことより、
    相談がなかったこと。
    人生が大きく動く出来事なのに、
    私は「報告を受ける側」だったこと。

    そのことが、ずっと引っかかっていました。

    当時は、その理由をうまく言葉にできませんでした。

    ただ、
    「なんで教えてくれなかったんだろう。」
    その言葉だけが、頭の中を何度もぐるぐる回っていました。


    付き合う前に、
    「結婚を考えている」
    という話はしていました。

    でも、
    同じ言葉を使っていても、
    思い描いている未来は違ったのだと思います。

    条件だけを見れば、
    本当に理想に近い人でした。
    それでも私は、その人との未来を選びませんでした。


    結婚してから、あの日のことを何度も思い出しました。

    住む場所。
    お金のこと。
    子どものこと。
    仕事のこと。

    結婚生活は、「二人で話し合って決めること」の連続でした。

    だから今なら分かります。
    あの日、私が悲しかったのは、「引っ越し」の話ではありませんでした。

    一緒に歩んでいきたいと思っていた相手の人生に、自分がいなかったこと。

    私が引っかかっていたのは、きっとそこだったのです。


    一緒に椅子を並べるということ

    「いい人なんだけど、なんか違う。」
    婚活中、この言葉を何度口にしたか分かりません。

    すると決まって返ってくるんです。

    「選びすぎじゃない?」
    「完璧な人なんていないよ。」

    聞かれたから答えただけなのに、なんだか私が高望みしている人みたいでした。

    「私がおかしいのかな。」
    そう思ったこともあります。

    でも、今なら分かります。

    私が探していたのは、条件のいい人ではありませんでした。

    誰かが用意した人生に入れてもらうことでもない。

    一緒に椅子を並べて、
    「どこに置こうか」
    「こうしたら心地いいね」

    と、二人で形を作っていける人でした。

    住む場所も、暮らし方も、未来のことも。

    結婚は、どちらか一人の人生に合わせることではなく、二人の人生を重ねていくこと。

    でも、当時の私はそんなことをうまく言葉にできませんでした。

    だから最後は、いつも同じでした。
    「いい人なんだけど、なんか違う。」
    その一言だけを残して、次の出会いへ進むしかなかったのです。


    第三章 「いい人」なのになぜ選べないのか

    「いい人だった」で終わる出会い

    婚活って、不思議です。

    会う前は、
    「いい人だといいな。」
    と思っているのに、

    帰り道には、
    「いい人だった(けど)。」
    で終わる人が何人もいました。


    ある人は、写真の雰囲気がとても素敵でした。

    「センスが合いそう。」

    そう思って会いに行ったのに、一緒に歩いていても、会話がどこか上滑りしていく感覚。

    笑っている。
    沈黙が気まずいわけでもない。
    でも、この人と付き合う未来だけは、どうしても想像できませんでした。


    条件は100点、でも心が動かなかった人


    また別の人は、誰が見ても「当たり」の人でした。

    仕事も、見た目も申し分ない。
    「どうしてこの人が独身なんだろう。」
    本気でそう思いました。

    それなのに、会話はなぜか続かない。

    テニスならラリーになるはずなのに、打ち返したボールがそのまま転がっていってしまうような感覚でした。


    「いい人だった。」

    そう思う。
    それなのに、次の約束をしたいと思えない。

    そんな人が、何人もいました。

    私は、何を探しているんだろう。
    婚活を始めた頃より、その答えは分からなくなっていました。


    第四章 終わりに近づいたと思ったのに

    会話のラリーは完璧だった

    今まで会ってきた人とは、少し違いました。

    話が合う。
    笑いのツボも合う。
    一緒にいて楽しい。

    初めて、
    「この人かもしれない。」
    と思えた相手でした。


    初めて会った日は、お茶だけ。

    これまでの経験から、「長居はしない」と決めていた私は、美容院の予約を入れて、一時間で切り上げる作戦にしました。

    帰り際、彼は会社の名刺を差し出してくれました。
    婚活アプリで出会った相手が、自分の身元を明かしてくれる。
    その誠実さが、とても嬉しかったのを覚えています。

    付き合って間もなく、

    「早く結婚したいくらい。」

    そんな言葉まで聞いて、
    私はすっかり安心していました。

    今思えば、
    あの頃の私は、「やっと終われるかもしれない」と思っていたのかもしれません。


    だから、小さな違和感には目をつぶりました。

    店員さんへの態度。
    少し潔癖なところ。

    どれも、
    「人それぞれだよね。」
    そう思えば済むことでした。

    ある日、一緒に食事をしていたときです。

    「それ、おいしそう。一口ちょうだい。」

    私は何気なく言いました。

    友達とも、家族とも、恋人とも。
    「食べてみる?」
    そんなやり取りを、ごく普通のことだと思っていました。

    でも彼は笑って言いました。

    「自分が食べたいものを頼んだんだから、全部自分で食べたい。」

    その一言に、
    ほんの少しだけ、胸がざわつきました。

    「子どもに言われても?」

    そう聞くと、

    「うん。あげない。」

    と、迷いなく答えました。

    その瞬間、
    あまりにも迷いなく返ってきた言葉に、私は少し引っかかりました。

    食べ物の話なんです。
    たった、それだけのこと。

    でも今振り返ると、私が引っかかっていたのは、食べ物そのものではなかったのだと思います。

    「おいしいね」を分かち合えない人と、
    人生を分かち合える未来が、どうしても想像できなかった。
    あの時の私は、そこまでうまく言葉にできていませんでした。

    「考え方の違いだよね、そういう人もいるよね」
    そう言い聞かせて、見ないふりを続けました。


    婚活は疲れます。

    何十人と会って、
    期待して、
    違って、
    また最初から。

    もう終わりにしたい。

    そんな気持ちが、
    違和感を小さく見せていました。


    でも、小さな違和感は、少しずつ大きくなっていきました。

    会社の愚痴が増え、
    私の予定にも口を出すようになり、
    彼の心も少しずつ不安定になっていきました。

    私は支えようとしました。
    励まして、
    受け止めて、
    できることは全部したつもりでした。

    でも気づけば、
    支えているはずの私の方が、
    少しずつ息苦しくなっていました。


    転機になったのは、友人との旅行でした。

    彼の話をすると、
    友人が静かに言いました。

    「彼より、あなた自身を大事にして。」

    その言葉に、涙が出そうになりました。

    私はずっと、
    彼の気持ちばかり考えていました。

    嫌な思いをさせないように。
    傷つけないように。
    支えられる彼女でいよう、と。

    でも、

    私は私の気持ちを、
    ずっと後回しにしていたのです。


    旅行から帰る頃には、
    もう答えは出ていました。

    話は合う。
    笑いのツボも合う。

    でも、

    人生は分かち合えなかった。

    婚活を始めた頃の私は、
    「条件が合う人」を探していました。

    その頃の私は、
    「話が合う人」を探していました。

    そして、この経験で初めて気づきます。

    本当に探していたのは、「分かち合える人」だったのだと。


    「これで終われる」と思った人

    婚活を始めて何年も経っていました。
    もう何人に会ったのかも分からない。
    「いい人だったけど…」
    そう言って帰ることにも慣れていました。

    だから彼に出会ったとき、
    私は本気で思ったんです。
    「やっと終われる!!」


    仕事の話ができる。
    同郷。
    話していて自然。

    遠距離なんて気になりませんでした。
    新幹線で会いに行く私のために、
    グリーン車まで手配してくれました。

    押しつける人ではなく、
    ちゃんと私の希望を聞いてくれる人。
    「相手が良ければ、すぐ結婚したい。」

    その言葉も、
    今までの私には何より安心できました。
    ようやく、婚活のゴールが見えた気がしていました。


    最初の違和感は、本当に小さなものでした。

    「付き合おう。」
    その一言だけは、
    何度お願いしても言ってくれない。
    「まあ、照れ屋なのかな。」
    その程度に思っていました。


    転機は京都旅行でした。

    何気なく聞いたんです。
    「初詣って毎年どこに行くの?」

    彼は少し考えてから言いました。
    「うちは行かないんだよね。」

    そして、
    自分の信仰について静かに話し始めました。

    その瞬間、
    頭の中が真っ白になりました。

    帰りの新幹線では、
    ずっとスマホで調べていました。

    子どもが生まれたら。
    お宮参りは?
    七五三は?
    実家との付き合いは?

    彼が悪いわけではありません。
    信じるものがあることを否定したかったわけでもありません。

    ただ、私が思い描いていた家族の形とは、あまりにも違いました。

    それは、どちらが正しいかではなく、未来の景色が違っていたんです。


    そこから、
    私の仕事が忙しくなったのもあり、少しずつ返事が短くなりました。

    彼のLINEは、いつも長文でした。
    私は一つひとつ返していたけれど、
    答えの出ない悩みを抱えたまま、
    少しずつ言葉が減っていきました。

    ある日、突然、敬語のメッセージが届きました。

    「価値観が合わないと思うので別れましょう。」

    返信しても、
    電話をしても、
    返事はありませんでした。

    数日前まで、
    結婚の話をしていた人が、
    一方的に扉を閉めました。


    たくさん泣きました。

    婚活で一番泣いた日だったと思います。
    「やっと終われる。」
    そう思っていたから。

    期待した分だけ、
    苦しかった。


    でも、
    不思議なんです。

    涙が止まったあと、
    急に怒りが湧いてきました。

    「いや、ちょっと待って。」
    「結婚したいって言ってたよね?」
    「話し合いもしないで終わるの?」

    その勢いで、
    私は家で一番大きな段ボールを持ってきました。

    彼の荷物は少ししかないのに、
    新聞紙をこれでもかと詰め込み、
    なぜか家にあった一番ハッピーに見えるディズニーのお土産袋に入れて、

    やたら大きくて、
    やたら軽い箱が完成しました。

    深夜一時。
    近所のコンビニへ持ち込み、
    着払いで発送。

    レジを出た瞬間、フッと笑ってしまいました。
    そして思いました。

    「あ、もう大丈夫だ。」


    今振り返ると、
    ちゃんとヒントはありました。

    小さな違和感。
    言葉にできなかった不安。

    「これくらいなら。」

    そうやって、
    私は何度も自分をごまかしていました。

    婚活を終わらせたかったから。

    でも、
    終わらせることより、
    大事なことがありました。

    自分がどんな人生を歩みたいのか。

    それを見失ったまま結婚していたら、
    私はきっと、
    もっと苦しんでいたと思います。


    最終章 結婚相手を探していたはずの婚活で、私は自分自身と出会った


    婚活で出会ったのは、結婚相手だけではありませんでした。

    いろいろな人と出会って、
    「なんか違う」と迷って、
    笑って、
    泣いて、
    怒って、
    何度も遠回りをしました。

    その先で、一番向き合うことになったのは、自分自身でした。

    私は何を大切にしたいのか。
    どんな暮らしを送りたいのか。
    どんな人と笑っていたいのか。

    婚活を始めた頃の私は、その答えを知りませんでした。

    だから、「なんか違う」の理由を、自分でも説明できませんでした。

    何度もうまくいかなかったからこそ、
    私は自分の気持ちを、一つずつ振り返るようになりました。

    嬉しかったこと。
    苦しかったこと。
    「なんか違う」と感じたこと。
    どうしてあの時、心が動かなかったのか。
    どうしてあの時、「この人とは違う」と思ったのか。

    少しずつ言葉にしていくうちに、
    ずっと曖昧だったものが、少しずつ輪郭を持ち始めました。

    だから私は今、
    婚活を終わらせるために本当に必要だったのは、

    自分を知ること。

    そして、

    自分の気持ちを棚卸しすること。

    だったと思っています。

    結婚相手を探していたはずの婚活で、
    私は、自分自身と出会いました。


    ※この作品は、これまで投稿してきた婚活エピソードを、創作大賞応募にあたり一つの作品として再構成・加筆修正したものです。


    最後まで読んでいただきありがとうございます。
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    「このままでいいのかな」と考える余裕もなかった私が、 婚活10年・不妊治療・高齢出産を経て、40代でフリーランス。4歳児育児中。 暮らしのこと、子どものこと、これまでのこと。 「なんか」が気になって、考えて、立ち止まる。 そんな小さな出来事を、言葉にしています。

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