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ある雨の日のひととき

     そぼ降るある雨の中、僕は傘をさして家を出た。
     天文館までの約四キロを歩き通し、買い物を済ませた後、そのまま歩いて帰宅。けっこう歩いたわりにはあまり疲れも感じない。
     もう少し用事を片付けようと、再び傘を片手に外に出た。

     およそ二百メートルの坂道を下って、そこからすぐそばにあるファミリーマートに寄り、公共料金の支払いを行う。
     レジに立っていたのが顔見知りの女子店員だったので、財布を片手に、軽い冗談を言いながら小銭を探す。
     「また雨だね。こんなに雨の多い年って、最近なかったよね」
     「そうですよね」
     「いいかげんイラつくよ」
     「ほんとにねえ」
     こんなどうでもよいい会話にも、笑顔で対応してくれるのが嬉しい。
     「一円玉が三枚あればちょうどなのに、二枚しかない運の悪さ。たぶん、晴れてたら三円あったんだよ。全然、理屈になってないけどさ」
     冗談ともつかない、おバカな冗談にも笑顔で対応してくれている。
     めでたく支払いを終えると、
     「雨が降ってるので、気を付けてください」
     笑顔を浮かべながら一声かけてくれた。
     「そうだね。雨の中気を付けないとね」
     もしかして、これって年寄り扱いされてるのかな?
     まぁいっか!

     そこから地元スーパー、タイヨー原良店に向かう途中、久々にモンシェリー松下で、イチオシ商品のチョコレンガを買いたくなり、ふらっと立ち寄った。
     支払いカウンターを後にし、出入口のドアに手を掛けると、すぐ右後ろに店員の女の子が立っていた。
     笑顔を浮かべながら一声、
     「おしゃれですね」
     「え?」
     「素敵です」
     「照れます…」
     からかわれたのかな?
     あの店で、そうやって店員が外まで付いてきて見送ってくれたのは初めてのこと。ちょっと気分良かった。自分以外に客がいなかったのも今日が初めてのことも手が空いている時は、そうすることになっているのかな?

     タイヨーで買い物を済ませ、城西公園前から明和行きのバスに乗った。
     「かけごし」「山田」と、子どもの頃からお馴染みのバス停を経由し、見慣れた街並みを眺めながら、「明和北」バス停に到着。
     そこから自宅までの坂道を、徒歩にて下る。
     このコースを辿ること自体に愛着が生じており、ちょっと趣味みたいな楽しさを感じている。

     帰宅後、しばらく休憩したあと、カードマジックの基本練習をしながら、あれこれと演技について考えを巡らせた。
     そんなありふれた午後。

     その後、町内の敬老会役員の方が二人で訪ねて来た。
     「この前の“お楽しみタイム”が、マジックしたりクイズや歌もあってすごく楽しかったので、次回五月にまた予定が入ってますけど、ぜひまた同じような内容でやって欲しいとの声が出ています」
     笑顔と弾んだ声が嬉しかった。
     「もちろん、そのつもりでいますよ」
     町内という小さな集まりでのできごとではあるが、周囲の人々に歓迎されているということに幸せを感じる。皆さまには感謝している。 
     過密スケジュールであれば、こんな時間も無いのだと思えば、忙しくないということも、それはそれで幸せなのかな?
     そんなこんなで、近ごろ人と接することが楽しい。

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