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めどこさん

      およそ2年ぶりでヘアカットしてもらった。

     担当してくれたスタイリストさんの苗字が「めどこ」さん。
     「目床」と書く。

     珍しい苗字だと思うけど、それ以上に、僕の呼称「めどう」と一字違いであることが面白いと思った。

     僕が気付く前に、目床さんの方が先に気づいて
     
     「これも何かの縁なんですよ」

     と言ってくれた。

     「顔綺麗だよね。若い頃はもてたでしょ?」

     って言ってみたところ

     「今でもそうですよ」

     笑いながらそう言った。


       ** ** **

     これ、数年前の日記に書いてあったことです。
     読み返してみるまでは、思いだすこともなくなっていました。

     でも、読み返すことによって、「確かにこんなことがあったな」って、記憶のどこかから記憶が蘇るわけです。

     人の意識構造っていうか記憶のメカニズムって、不思議だなって思う。
     書いてあったから、思い出せたわけけど、そんなきっかけがないために、眠ったままになっている記憶のカケラが、意識の底に無数に沈殿しているんだろうな・・・。

     この日にヘアカットしてくれた美容師の「めどこ」さん。
     今どこかで偶然会ったとしても、たぶん全く気付かず通り過ぎるんだろうと思う。
     一瞬出会って、そのまま擦れ違ってゆく多くの人々との、何気ない会話の数々・・・。

     こういう、ほんの一瞬の断片的な記憶って、ふと見上げた空に浮かぶ雲みたいに、自分の心を何気なく潤してくれる。

     「目床」という苗字、全国でおよそ10件、鹿児島県だけに存在する希少苗字である。



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