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何もなかったのに、忘れられない人のこと5

    第4章|終わりに向かう距離

    第19話|急な話

    異動の話は、あまりに突然だった。
    今のチームを離れることになったのは、私のほう。
    まだ誰にも言っていなかった。言えなかった。
    だって、不安そうな彼に、私がいるから安心してって言ったばっかりだった。

    ⸻

    第20話|先に届いた言葉

    「先輩、異動されるんですか」
    廊下で呼び止められる。
    もう彼の耳に入っていたことに、言葉が詰まった。

    ⸻

    第21話|切ない顔

    「……本当ですか」
    少しだけ表情が揺れる。
    その顔を見た瞬間、
    自分から伝えたかったと思った。

    ⸻

    第22話|うまく言えない

    「ちゃんと話そうと思ってたの」
    焦って出た言葉は、それだけだった。
    何をどう伝えたかったのか、うまく形にならない。
    私、嘘つくつもりも、裏切るつもりもなかった。

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