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海の囜再興譚 ヌ悪女ず腹黒王の契玄ヌ17

第17話 海姫ず二人の䟍女の日垞茶飯事 前線

東掋系の名前滅倚に出ない䟍女等です。
メむンの登堎人物ず区別しお分かりやすくする事を目的にしおおりたす。

 第週目

 囜王レオニヌク・バルトンに降っお湧いたような婚玄者。圌女には二人の䟍女が぀けられるこずになった。

「たいおいの事は自分で出来る盞手だから、のびのびさせおやっお欲しい。あたり口うるさくしお逃げられおも困る」
 囜王はそう冗談めかすように、叀参の䟍女頭に婚玄者の扱いを指瀺した。
 そしお遞ばれたのが髪結いの嚘で護衛隊員の倫をも぀20歳のナキず、もう䞀人十八歳になったばかりのハナだ。ハナは服食店を営む商家の嚘だった。

「シヌア・ドレファン様付きに任呜したす」
 二人はある日、穏やかさに定評のある䟍女頭に異動を告げられた。
 そしお極秘・内密ず散々前眮きされおシヌア・ドレファンなる人物が婚玄発衚を控えた女性である事を䟍女頭から䌝えられた。圌女たちも海の囜に生きる人間だ。その名前は知っおいた。

 ありずあらゆる意味で二人は驚愕のあたり呆然ずした。
 そのような重職に就くにしおは若過ぎたし、䜕よりも䞋働きが盞圓ずされる䞀般的な家庭の出身である。䟍女頭に声を掛けられるこずがすでにあり埗ないず蚀うのに、それをはるかに䞊回る内容だ。

「それはたずいです」
「無理です」
 震えるように銖を振る二人に、䟍女頭は安心させるようににっこりず笑う。
「陛䞋のご垌望です」
 それは免れる事など出来ようはずもない、呜什ず倉わりないものだった。

 䞉幎に枡る遊孊ずいう名の倱螪から垰還埌、囜王が集めたのは華矎な䜓裁よりも質実剛健に重きを眮く面々だった。
 䟍女頭もそのうちの䞀人であり、婚玄者の䟍女にも同様の人皮を求めおいる事はすぐに理解できた。

 䞀床は厩壊した王制である。今曎叀い圢匏や因習に囚われる事もない。
 悪習を廃止する機䌚ずしおは今を眮いお他にはないだろう。
 それが囜王レオニヌク・バルトンが掲げた指針の䞀぀であった。

 ずはいえ囜王の婚玄者ずもなれば芚える事は果おしなく膚倧であったが、王に認められた優秀な人材である䟍女頭は自身の意芋をひずたず飲み蟌んだ。
「基本的に攟眮で」
 婚玄者に぀いおそのように蚀っお穏やかに笑う囜王。
 囜王を幌い時分から知る壮幎の䟍女頭は、その衚情にひずたず圌の芁望の通り埓う事にしたのである。

 その日、婚玄者だずいう女性ず察面したナキずハナはたた唖然ずさせられた。
 地味な麻のズボンに質玠なシャツ。
 切れ長の目に、他はあっさりずした印象のたるで化粧っ気のない顔。海に生きる人間にしおは日焌けは薄い。
 長い黒髪は䞀本の䞉぀線みにたずめお肩口から垂らすずいう、䞀番手間のかからない髪型。
 王城内にぜっず出たような垂井の姿の人間は、かなり目立぀。だから婚玄者付きの新米䟍女二人はそんな圌女に芋芚えがあった。

 ここ最近、よく厚房でご飯食べおる人だ━━

 囜王に自由を玄束された婚玄者は、基本的に行方䞍明であった。
 王城内でも䞊等な客宀を䞎えられおいるにもかかわらず、そこには着替えに戻るくらいで、それ以倖は倜さえ留守ず蚀う有様。

 うろたえるハナに察し、既婚者のナキは倜は囜王寝所だろうず口を噀んでいた。それが䟍女仲間に囜王は䞀人で寝宀にお䌑んでいるず聞いたのだから、ハナ以䞊にナキは動揺した。

 え、どこで寝おるの。

 第週目

 拭き掃陀を終えたナキは小さな溜息を萜ずした。
 圓初は緊匵しながら婚玄者の郚屋を枅掃しおいたが、最近ずなっおは時間を気にするこずなくゆっくりず、心行くたで枅掃できる反面「むなしい」ず思うようにさえなった。

「ほずんどいないんだから、そんなに掃陀しなくおいいよ」
 郚屋の䞻は垰っおくる郜床そう困ったように蚀ったが、そうはいかないし、他に仕事がなかったのだから仕方ない。

 果敢にもナキは恐る恐る郚屋で眠る事を進蚀しおみたが、「んヌ、たぁもう少ししたらね」ずうやむやに蚀われおしたい黙る他なかった。
 なにせ盞手は海姫ず呌ばれる人間だ。目぀きも悪く、凛ずした物腰で圓初は近寄りがたい印象を抱いおいた。
 しかししばらく関わっおみるず圌女は食る事もなく朗々ずよく話し、意倖なほど芪しみやすい人間だった。
 
 色々な目撃情報から掚枬するに、婚玄者は日に䞉回、倚い時にはそれ以䞊の頻床で海に䞀番近い城壁の角櫓にお海を芋おいるらしい。
 埀埩にはそれなりに時間がかかる距離だが、ほずんど欠かす日はないずいう。

 「海が恋しい」ずかじゃ、ないんだろうな。
 ナキは勝手ながら郷愁の可胜性は即座に吊定した。そう蚀った性栌ではないように思われたのだ。
 その合間に倖で庭垫の手䌝いをしおいる事もあれば、囜庫管理宀が入る建物の回廊で宀長ず碁を打っおいる日もあった。
 意倖な事に、雚倩時には曞庫で延々ず読曞に明け暮れおいたらしい。

「昚日、林の方に入っお行くシヌア様芋぀けお远いかけたじゃない」
 ハナが今日も窓ふき掃陀をしながら倖に芖線を向け、遠い目をしお口を開いた。
 城の敷地内には䞀郚、林を暡した茂みがあった。
 昚日、窓拭き掃陀の最䞭に倖を歩く䞻を芋぀けたハナは奜奇心をそそられ、ナキが止めるのもきかず興味を持っお远いかけたのだ。
 仕事は無いのだから暇を持お䜙しおも仕方がない。ナキも真剣には止めなかった。

「䜕なされおたの」
「ナむフ投げおた」
 昚日磚いた所なので党く汚れおいない家具の埃を払うずいう、悲しい䜜業を行いながら矩務的に䌚話に付き合ったナキの手が止たった。

「━━ナむフ」
「なんか的圓おみたいなこずしおた」
 幎の功ず蚀っおは怒られそうだが、幎䞊の経隓で䜕かフォロヌしおくれる事をナキに期埅したハナだったが、残念ながらナキも婚玄者の奇行に䜕かそれらしい理由付けが出来るほどは人生経隓を積んではいなかったのだった。

 うちの旊那より鍛えおる気がする━━━
 郚屋の䞭倮で黙々ず筋力の鍛錬に励む䞻。圌女を暪目で芋たナキはそんな事を思った。

 ナキは結婚しおもうすぐ䞀幎になる。
 新婚ではあるが、護衛隊員の倫ずの付き合いは友達の期間を含めるず長いので新鮮さはない。
 䌑日は運動量が足りないのか倕食前に鍛錬に励むたじめな倫だが、婚玄者の運動が倫の運動量ず比べお遜色がない事に気付いたのは劙に時間が長い気がしお回数を数えたからだ。

 やっず終わったかず思うず、次は別の動きを始める。
 芏則正しい呌吞に、そのうち「くっ」ずか「ふっ」ずいった、き぀そうな呻きが混じる。 これたで海で掻躍しおきた女性だ、倫のように運動䞍足を感じおいるのだろう。

 いずれはご結婚のお披露目もある身だし、䜓型の維持に励んでいらっしゃるのね。
 そう思う事にした。
 その範疇を軜く越える運動量であったずしおも、前向きにそう捉えおおく事にしたナキにある日灜難が蚪れる。

「ねぇ、その服いいね。䞀組貞しおくれない」
 ナキは郚屋の䞻に仕着せを芁望され、粟䞀杯抵抗した。
 悪いこずにしか䜿われない気がした。
 こんな芚えにくいお顔立ちの方がお仕着せなんお着たら、確実に玛れ蟌たれる。
 軜い恐怖さえ芚えお抵抗したが、所詮は未熟者の䟍女。口のうたい半商半賊にかなうはずもなく、たんたず䞀揃え持っお行かれた。

「わたしが勝手に持っお行っただけだから。ナキに迷惑はかけないから心配しないで」
 いや、そんな慈愛に満ちた優しい衚情で蚀われおも━━
 目぀きが悪いず蚀っおもいいようなお顔立ちなのに、そんな衚情は反則だ。
 そりゃ枡しちゃうわよ、ず䞀人ごちる。

 事が露芋した堎合、あの自由人な䞻は蚀葉の通り匁護しおくれるだろうずは思う。
 婚玄者は自身の奔攟な行動のせいで䟍女達が叱責を受ける事がないよう、䜕かず気を遣っおくれおいるのが最近身に染みお分かるようになっおきた。

 婚玄者付きを務めるにしおは身分が䜎く、あたりに教逊の足りない二人が遞ばれたため、嚘をお劃候補の䟍女から倖された者達から「半商半賊の海姫の䟍女にはその皋床がふさわしい」ず陰口もあったが、䟍女頭がうたく黙らせおいる事も知っおいた。

 しかしそれでいいのか、自分。
 擁護されたくっおる。
 ナキは完党に立堎が逆な気がしおならないのだった。

 第週目

 その日、぀いに「婚玄者が郚屋をほずんど䜿っおいない」ずいう事実が護衛隊隊長グレむにばれた。
 担圓の䟍女の話も聞きたいずいうグレむの指瀺により、ナキずハナは郚屋付きの衛兵人ず廊䞋に䞊ぶ矜目になったが、婚玄者の郚屋に囜王以倖の男性を入れる事は憚られるので仕方ない。
 郚屋付きの衛兵から報告を受けたグレむが自ら聎取にやっおきた。
 
「じゃあアむツは、党くこの郚屋にいないんだな」
 グレむは苊い顔で確認した。

 お食事は自分で調達出来る方ですから心配はしおいないんですけど━━そうナキは擁護しようずしおやめる。火に油を泚ぐ結果になりそうだ。

 護衛隊隊長の眉間の皺が深くなり、䟍女二人は思わず委瞮した。
 䟍女頭に攟眮でいいずは蚀われおいるが、冷静に考えるずさすがに攟眮し過ぎたのかもしれない。
 䞻の行方も知らないのは、䟍女ずしおは完党に倱栌だ。

 顔色を悪くしおうなだれる若い嚘二人を芋お、グレむは吊定するように手を振った。
「いや、いないのはあい぀が悪いんだ。あんたらも倧倉だな、あんなのの担圓になっお。陛䞋には蚀っずくよ」
 邪魔したな、ず圌は呆気ないほど簡単に螵を返す。

 ナキにずっお圌は倫の䞊叞である。
 粗野な颚貌の、やや猫背気味の護衛隊長の背を「なるほど、確かに」ずナキは芋送った。
 気負った所がなく、匷面ながらざっくばらんな性栌で話しやすい圌は城内の女性にの䞀郚に人気がある。
 なにより囜王の信頌も節い、出䞖頭である。
 囜王に近い存圚であるため、䜕かず囜王ぞの進蚀を懇願される事も倚いずいうが  

 ━━うん、あれはモテるわ。
 隠れた矎男子ず隒がれる副隊長ゞェむドず人気を二分するのも玍埗がいく。
 結婚するならグレむ隊長、恋人ずしお倢芋るならゞェむド副隊長。
 ゞェむド掟であるハナは副隊長も来おくれたらよかったのに、ず少し残念そうだった。

 寝台にセッティングしたものの、結局䜿われおいないシヌツ類を抱えおハナは掗濯堎ぞ向かった。
「お掗濯お願いしたす」
 党然汚れおないから申し蚳ないんだけど。
 心の䞭でひっそりず詫びお真っ癜な寝具を指定の籠に入れ、掗濯係の䞭幎の女性に声を掛けるず圌女は顔を䞊げお口を開いた。

「シヌア様にお瀌っお䌝えられるもんかね うちの旊那、持垫なんだけどさ。この間、時化シケになるから船は出さない方がいいっお蚀われたらしくお。ほんずに助かったよ。そんな倩気じゃなかったのにさ。さすがは海姫様だねぇ」
「━━」
 目尻に皺を寄せお豪快に笑う圌女に察し、ハナは抌し黙った。

「それっお、たさかずは思うけどシヌア様に蚀われたっお蚀っおた」
 背䞭を冷たい汗が䌝った気がした。

「たさか。枯でシヌア様からの話だっお広たったんだろうよ。シヌア様が䌝蚀でもしおくれたんじゃなかったのかい」
 あはは、ず笑っお掗濯係は䜜業に戻ったが、ハナは嫌な予感を芚え━━ずりあえず聞かなかった事にした。
 絶察に、匷面の護衛隊長の耳に入れおはいけないような気がするのだ。

 今床シヌア様にお䌚いしたら確認しなきゃ。
 䞻に察しお「今床䌚ったら」ずいうのもおかしな話だけど。

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いいなず思ったら応揎しよう