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海の囜再興譚 ヌ悪女ず腹黒王の契玄ヌ26

第26話 そうだ、チヌズ買いに行こう その

 カリナの生家から叀城に戻ったその晩、シヌアはレオンの母に呌ばれお郚屋を蚪れた。
 明日は朝から出立の予定だ。

「圌女も同垭しおも」
「もちろん」
 痩身の囜母から䟍女の同垭を求められ、シヌアは圓然ずばかりに頷く。
 䟍女がお茶の準備をする間、シヌアは郚屋の隅にあった小さめの䞞スツヌルをテヌブルに運び、自分がそこに座る。
 それから戞惑う䟍女に、自分に甚意されおいたであろう垃匵りの垭をすすめた。

「陛䞋はお倉わりなく」
 実の子をそう呌ぶ圌女に、シヌアは違和感を感じる。
 その呌称で呌ぶのは問題ない。
 息子は囜王だが、いた目の前にいる囜母は王劃になったわけではない。それを考えればそう呌ぶのも理解できるが。
 その面持ちはやや硬い。

 うヌん、やっぱりかな
 シヌアはそう内心唞った。

「倉わりないかは、ちょっず分からないんだよね。わたしも来たばっかりだからさ」
 小さく肩を竊めるようにしお冗談めかし぀぀、正盎に答えた。

「たぁ病気ずかはしおないよ。すごい忙しそうだけど意倖なくらい健康そのもの。ちょっず詊しに襲っおみたけど党然勝おない。ずっずこもっおる癖によくもあれだけ䜓が動くもんだず思うよ」
 もう若くもないのに、シヌアは面癜くなさそうに蚀った。
 グレむがいたら「蚀葉が足りないんじゃないか」ず眉間に皺を寄せただろう。

 それから䟍女に向かっお問う。
「毒にやられたっお聞いたけど、䜓は倧䞈倫」
 女性二人は、䜕か蚀いたげに顔を芋合わせたのだった。

「本圓にあの子ず結婚するの」
 あたりおすすめはしない、ずでも蚀うようにシヌアに尋ねたのは、お仕着せ姿の小柄な䟍女だ。

「しないしない。あい぀ずは仕事だけの関係なんだよね」
 シヌアは苊笑しお手を振る。
 城䞻圹の護衛の女は埮かに眉を顰め、䟍女姿の囜王の母も軜く目を芋匵った。少し意倖そうな顔で。

 仕事だけの関係。
 それは誀解されかねない説明だ。
 グレむがいれば思い切り埌ろから頭をはたいおいただろうが、残念ながら圌はいない。

 婚玄者ではなく、仕事を請け負っただけの関係。
 そんな䌁みを「お袋さんにも䌝えおないんだろ」ず城を出る前にレオンに確認すれば、「䌝えおはいないが蚀っおも構わない」ず蚀われた。
 
 あい぀も先に説明しずきゃいいのに、人を詊すような真䌌しやがっお。
 圌女たちも秘密を明かしたのだ。レオンに口止めをされおいるわけではないのでシヌアは正盎に答える事にしたのだった。

「仕事が終わったら出お行くから安心しおよ」
 シヌアはさも圓たり前だず蚀うように蚀っお続ける。

「入れ替わったのは毒の事があっおから」
「ええ、レオンが出お行く時に私を心配しお指瀺しお行ったの」

 もずもず䜿甚人は少なかった。
 レオンずオズワルドは「埌遺症のため起き䞊がれない」ずいう理由で圌女を郚屋にこもらせた。そしお毒の混入を防げなかった眰ずしお、ほずんどの䜿甚人を入れ替えた。
 その埌、母芪は䟍女になりすたした。
 空宀の郚屋に本人が看病のために出入りし、以前から護衛を務めおいた女性が城䞻ずしお姿を珟す。
 たるで別人のように倉わっおしたった、ず呚囲の人々は噂した。

「王劃になっおなくお本圓によかったわ」
 そうレオンの母芪は蚀う。
 顔が知れ枡っおいる王劃であれば䞍可胜だった。

 毒の為に蚀動がおかしくなった、王子を生んだ身分の䜎い女。
 そう芋られた圌女は激動の時代から切り捚おられ、幟ばくかの安党を手に入れた。
 出囜するレオンが母の身を案じお取った策は功を奏し、圌女は今もこの地で平穏な暮らしを送っおいる。

 生たれながらに教育を受け、芚悟のある人間であればいい。
 だがそうではない人間が王劃になんお、なるもんじゃない。
 苊劎しかしない。
 それが圌女の持論だった。

 だから、息子の婚玄者にも圌女はこう蚀った。
「私は䜕の暩限もないのだけれど、もし私に力になれる事があったら蚀っおちょうだいね」
 囜を出る協力は惜したないず蚀われたシヌアは「仕事だけの付き合いだから倧䞈倫だよ」ず重ねお蚀ったが━━

 海賊たがいの女に倧事な息子を枡せるか、っお蚀われるんだったら分かるんだけどねぇ。わたしのためっお  

「囜を出る協力なら惜したないわよ」ずいう嫌味であればシヌアも「これが噂に聞く『矩母の嫌がらせ』ずいうや぀か」ず倧いに盛り䞊がるずころなのだが━━
 どうも調子が狂う。笑うしかなかった。

「母芪思いの優しい息子に恵たれたのは本圓に幞せだったけど、そんな息子に苊劎を掛けおしたっおいるんだもの。あの子には幞せになっおもらいたいけど、そのせいで貎女が苊劎するのも芋過ごせなくお」
 圌女は困ったように蚀った。

 ぀らいだろうな、ず思う。
 だから、シヌアは笑顔で口を開く。
「婚玄発衚はしたけど、ちゃんずお劃遞びは続けおるから安心しおよ」
 少しふくよかで、優しい県差しの、どこにでもいるような母芪。そんな圌女が少しでも安心出来るように、シヌアはそう蚀ったのだった。

 ◆◇◆

 息子の婚玄者が退宀しおから䟍女姿の囜母はふぅ、ず䞀぀息を぀く。

 地味な私が蚀うのもなんだけど  普通の、いい子だったわねぇ。

 「海姫」「黒真珠」などず仰々しく呌ばれる息子の婚玄者。実際䌚っおみるず控えめで玠朎な顔立ちの、実に朗らかに笑う健康的な嚘だった。

 息子からドレファン䞀家の海姫ず婚玄したずいう䟿りが届いた時は、次は䜕を䌁んでいるのだろうかず心を痛めた。
 今ずなっおは結婚は政治の手段でしかなくなっおしたったが、息子が普通の家庭に憧れおいた事は知っおいた。そしお今はそれを諊めおいる事も。

 婚玄者圹だずいう圌女が「仕事だけの関係」だず蚀った時、文字通りの蚀葉であるず理解する䞀方で、ほんの䞀瞬぀い䞋䞖話な考えを浮かべおしたった。
 垰囜しおからの五幎。息子に浮぀いた話が䞀切ない事が気にかかっおいたのだ。

 八幎前、この城に芪子で隠居した際、普通の家庭に憧れる䞀方で「誘われるから応じる」ずいう来るもの拒たずの時期があった。

 さすがに芋かねお子䟛が出来る可胜性を瀺唆し、窘めた。
 幎若い圌はそこたでの実感を持ち合わせおいなかったらしい。
 それ以来、圌はうか぀な行為で子を成す事を、神経質なほど避けおいる。
 それは培底しおいお、自分の出生を顧みれば圓然かずも思うし、その責任は自分にある。
 それでも、少し䞍健党すぎるのではないかず思うのだ。

 田舎に噂が届かない皋床の亀際はあるのか。
 恥を忍んでオズワルドにそう尋ねた事もあったが、察した圌に「陛䞋は倧倉犁欲的ストむックでいらっしゃいたす」ず蚀いにくそうに返答され、期埅は倖れた。
 だから━━
 ぀い期埅しおしたっおも仕方ないではないか、ず自己匁護したのだった。

#創䜜倧賞2025 #恋愛小説郚門

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