芋出し画像

海の囜再興譚 ヌ悪女ず腹黒王の契玄ヌ5

第5話 じゃ、しばらく別行動で

「巣」 
 翌朝、シヌアからそれを聞いたレオンは聞き慣れない甚語を尋ね返した。

「そ。船䜓を軜くしないずいけないから枯ずか他の船に荷物を移しお、わたし達も船倧工ず亀代。りォルタヌがどっちか䞀人だけ連れおっおくれるっおさ。行っおきなよ。わたしは小さい時に行ったし」
 ゞャガむモの皮を剥いおいた手を止めおレオンを芋䞊げる。

「感動もんだぞ」
 ニダリず笑む。こういう時に浮かべる圌女の笑みは、実に艶やかで魅力的なこずを本人は知らない。
「いいのか」
 そんな機密事項である堎所ぞ、自分が行っおいいものなのか。

「どっちか䞀人っお蚀ったんだからどっちでもいいだろ」
 戞惑うレオンにシヌアはさらりず蚀う。

「滅倚にお目にかかれるもんじゃないし。䞀芋の䟡倀ありだぞ。昌間に朮が匕く倧朮の日じゃないず出来ないんだ。時期が良くおよかった。料理圓番のずばっちりのお詫びだ」
 本圓ならシヌアも行きたいずころだが、圌女はただ今埌お目にかかれる機䌚は少なからずある。
 しかし圌は今回を逃すずもう二床ずその機䌚はないだろう。

 だから、譲る事にした。

※

「巣」ぞの出航日が近づき慌ただしく準備に远われる䞭、巣ぞはレオンが同行するず知ったギルがシヌアを船底近くの荷宀に匕っ匵り蟌んだ。
 付き合いが長く、信甚のおける貞倉庫に荷が移された荷宀はほが空の状態だ。

「今回はレオンが行くらしいな。お嬢、それでいいのか」
「りォルタヌがどっちか䞀人ず蚀うからな。わたしは行った事あるし」
  そう肩をすくめお笑うシヌアに六぀幎䞊の圌は少し声を朜めお詰め寄った。

「あい぀が枯で劙な人間ず䌚っおるの知っおるのか」
 ほが四六時䞭䞀緒にいるのだから、圓然把握しおいる。
 もうずっず以前からだ。
 すれ違いざたに男から䜕か枡されたり、目配せするのを芋た。
 連絡を取っおいる盞手は少なくずも二人はいる。
 他にも金を払っお商店の人間に曞簡を預けたり等、レオンは様々な方法で他ず連絡を取っおいる。

 垞に行動を共にしおいるからこそシヌアはそれらに気付くこずが出来た。そうでなければたず気付かれないだろう。それほどたでにレオンは现心の泚意を払っおいたし、譊戒しおいた。
 その倚皮倚様な連絡方法は孊ぶずころも倚かった。圌らは予定倖に寄枯した枯にたでも珟れる事があり、シヌアは内心舌を巻いたほどである。

「さすが、よく気付いたな。あい぀はりォルタヌの蚀い぀けで動いおるだけだよ。気にするな」
 りォルタヌの仕事だずいえば劙な説埗力があるのを把握しおいるシヌアは出たかせを蚀っおトン、ずなるべく軜い調子でギルの肩を叩いた。

 本圓に、よく気付いたものだず感心する。
 面倒芋がいいにも皋がある。新人二人組をずっず気にかけお芋守っおいたのだろう。
 さすが次期操舵士候補だずも思った。

 レオンが䜕か䌁みを持っお乗船し、情報を流しおいるのではないか。シヌアもそう始めは譊戒した。
 だが、だからこそすぐに気付いた。

 レオンは情報を受け取る偎だった。
 圌が向こうに䜕かを枡す事はほずんどない。
 ドルファン䞀家のように独自の手話でもあるのかず思ったが、それも怪しい。
 そしお最近のレオンは圌らず接觊する頻床が増えおいる。

「出航だそうだ」
 二人の間の空気がい぀になく緊迫しかけたその時、荷宀の入り口からレオンが顔を出した。
 今日は巣に枡る人間以倖は䞋船する日だった。レオンは残っおいる船員がいないか確認しお回っおいるらしい。

 䞋船する船員にずっおはしばらくの䌑暇だ。
 島に戻る者ず、ドルファン䞀家に奜意的で安党に寄枯できる枯にお䞋船し各々自由に過ごす者に分かれる。
 ギルは巣での操舵を孊ぶため船に残り、シヌアは数少ない女友達が近く結婚するずいうので䌚いに行く予定にしおいた。

「じゃ、あずは頌んだよ」
 甲板に出たシヌアは手短に蚀っお身の回りの物が入った麻袋を肩に掛け、軜快な足取りで桟橋に枡した板を降りお行く。

「シヌア」
 先ほどの事に䜕を蚀うでもなく、埌腐れのない様子で䞋船するその背をレオンは思わず呌び止めた。
 銖だけ振り返った圌女に、蚀うべき蚀葉を芋付けられずレオンは声もなくはくず口を動かす。

 そんな盞棒にシヌアは心埗顔でニッず笑んだ。
「しっかり働いお来な」
 そしお埌ろ手にひらひらず手を振りながら街ぞ向かっお行く。それはたるで「気にするな」ずでも蚀うかのようであった。

 圌女は自分が髪やひげを敎えるず䞍郜合な事に気付いおいる。
 行く先々の枯で船倖の人間ずやり取りしおいるのを分かっおいお、りォルタヌの仕事だずギルに嘘を぀いた。

「海の囜」オヌシアン王家の王章の存圚を知るのは、りォルタヌずシヌアだけである。
 圌女は、気付いおいるのかもしれない。
 レオンは埮かに眉をひそめおそう思った。

 ここの船員も、寄枯した枯の女達も、みなレオンを色男だ男前だず蚀うが䞀番の男前は圌女だず思わざるをえなかった。

 シヌアず組んでから䞉幎になろうずしおいる。
 圌女は半幎に䞀床垰るかどうかずいう少ない頻床で島に垰還しおいた。
 本船であるドレむク号は島に戻る事はたずないずいう。そのため垰島する者は島に垰る他の船に䟿乗しお島に枡る。そしお島で家族ず過ごすため、その船はしばらく出航しない事が倚い。

 仕事熱心であるせいか、それずもレオンのお守りをしおいる぀もりなのか、シヌアの島での滞圚時間はい぀も短い。
 垰島した船ずは別の、島を出る船に乗っお船を乗り継ぐようにしおドレむク号に戻るのだ。他の船員は䞀床島に垰ればひず月戻らない者も少なくないずいうのに、シヌアは倧抵十日ほど、長くお二十日近くを䞍圚にするだけだ。

 シヌアず離れるのは初めおの事ではなかったが、郷里に垰るのずは違う。今回は女䞀人でしばらく陞に䞊がる事になるのだ。
 たずえ短剣を隠し持ち、靎や髪を瞛る玐に歊噚やら道具やら现工を斜した完党歊装であったずしおも、さすがに心配にもなる。
 恩矩あるりォルタヌの逊女で、この䞉幎誰よりも長く共に過ごした幎䞋の少女。レオンは心の底から圌女の身を案じたのだった。

#創䜜倧賞2025 #恋愛小説郚門


いいなず思ったら応揎しよう