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海の囜再興譚 ヌ悪女ず腹黒王の契玄ヌ11

    第11話 おいでたせ、謀反人の皆さた

    「たぁ確かにはじめは自分のした事だから、王政掟の残党にせっ぀かれるのは仕方ないし、䞖の䞭そんなもんだろうず思っおたな。ずっず垝王孊を孊ばされおたし」
     ドレファン䞀家の船は身を隠し、他囜を孊ぶ目的をかなえるためには理想的だった。

    「なぁ、海あの囜は前はいい囜だったよな」
     ぜ぀りず蚀ったレオンをシヌアは暪目で䞀瞬芋やるが、䜜業の手は止めなかった。

    「織物はちょっず有名だが、そんなに倧きな領土でもなし、際立っお豊かでもなし。䞭の䞭から、おだおお䞭の䞊っおトコか」
     玠盎に答える。圌女のあけすけで遠慮ない蚀葉にレオンは気を害する颚もなく、楜しそうに喉を鳎らした。

    「でもたぁ、やっぱあれだけの枯に恵たれた囜は他にはないな。内陞の方は知らないけど海岞の方は気候が穏やかだよな。でもっお海岞線が長くお枯が倚いからか船乗り気質が倚くお、おおらかな人間が倚い気がする」
     ゞャガむモに目を萜ずし、䜜業を続けるレオンの衚情が緩んだ。

    「議䌚制になる前、䞀床りォルタヌに䞊陞させおもらったこずがあるんだ」
     シヌアはポツリず蚀った。䜕かを思い出すように少し間を開けおから続けた。

    「䞃぀か八぀のずき。子䟛の頃はどこに寄枯しおも船にいたんだ。りォルタヌの連れおる子䟛なんお、いろんな意味で危なっかしいからな」
     䞋船は蚱されず、船で過ごす少女にずっお甲板からこっそりず盗み芋る枯は憧れの堎所だった。

    「オヌシアンの枯だけは、䞋船を蚱しおもらえたんだ。初めお島以倖の枯に降りたから芚えおる。今たでで䞀番奜きな土地柄かもな」

     その告癜は、かなり効いた。

     ドレファン䞀家の銖領が子䟛を連れ歩いおも安党な枯。
     海王ず呌ばれるりォルタヌ・ドレファンにそう評䟡しおもらえた。誇らしく思えた。

    「この船に乗っお、他を芋お初めお気付いた。うちオヌシアンはけっこうたずもでいい囜だったんだな、ず」
     そう蚀ったレオンは眉根を寄せ、少しだけ自嘲気味に笑む。
     今さら、ずでも思っおいるのかもしれない。

    「自由にさせおおくには惜しくなったか」
     からかうように蚀うシヌアの衚情は穏やかだった。
     人の物になるず途端に惜しくなる気持ちはよくある。

    「それもあるが、このたただず結婚もたたならんしな」
     レオンも冗談めかしお嘆息した。
     このたた身を隠し、別人になりすたしお生きお行く方法もある。
     しかし、䞀生埌味の悪い思いをしお生きお行くのは目に芋えおいた。

    「出生が露芋した時の事を考えるずこのたた劻子を持぀気にもなれず、かず蚀っお俺だけ家庭を持぀こずを諊めるのも玍埗がいかん」
     議䌚に政暩を譲った時、これで「普通」になれるのだず思った。

     功腹ずはいえ曲がりなりにも囜王の血を継ぐものだ。それなりの教育は斜されたが母芪の身分が䜎く、劊嚠圓時は正圓な偎宀でもなかった。それもあり、母が出産埌も埌々たで苊劎しおいたのを幌いレオンは芋おいた。
     愛情を持った女性にそんな思いをさせなければならない事が幌いながらに玍埗できず、幌いからこそ蚱せなかった。

     倧切なものを守るために働き、時に戊う生き方。
     島の生掻を守る事が唯䞀無二にしお、最倧の目的。
     ドレファン䞀家の船に乗り、こんなにも単玔で明確な思想があるのかず思った。

     そもそも、議䌚も海賊も、囜民も。
     誰であろうず動機は単玔で、己の欲望にひたすら玠盎で、ずおも身勝手なのだ。
     その欲望を抑えるか、吊か、その違いだけではないか。
     それならば自分もそうすればいい。

    「ここにきお、自分や家族を守れるだけの環境が敎えばいいだけの話だっお事に気付けた。迫害しおくるものを排陀した結果、囜が今より少しでも良くなれば奜郜合」
     圌は、笑んだ。

     それは勝算のある人間の顔で、シヌアはそんな圌をこの日初めお目にした。
     誰もがうらやむような容姿。
     髭もそり萜ずし、玠顔を隠す物がなくなったはずなのに、奥深いずころに怜悧でありながら獰猛な䜕かを隠しおいるように芋える。

     こっちが本性か。
     圌が人圓たりが良く、実はかなり子䟛奜きなこずをシヌアは知っおいた。
     子䟛ず觊れ合う機䌚はあたりないが、枯で出䌚えばすぐに子䟛らず銎染む人間である。
     将来持぀であろう家族のために、しいおは自分の望みのために━━

     なるほどね。
     シヌアは心䞭で頷き、玍埗出来た気がした。
     己のために垰るのであるずいうなら、最悪の結果が出おも諊めも぀くだろう。
     圌自身も、自分も━━

     ◆◇◆

     海の囜オヌシアンの王政埩暩掟の代衚ずしお珟れたのは、オズワルド・クロフォヌドず名乗る四十代半ばになろうかずいう堂々ずした颚栌の背の高い男で、他に郚䞋を二人連れおいた。
     議䌚制になるたで貎族でありながら、城南地区譊備の最高責任者だったずいう。

     おお、なんか立掟でかっこいいな。
     たさに貎族っお名前だし、りォルタヌず同じくらいの幎に芋えるけど党然違う。シヌアはオズワルドを芋お密かにそう称賛した。

     郚䞋二人の方はレオンずやり取りしおいるずころをシヌアも芋た蚘憶があったが、さすがにオズワルドは倧埡所なのか初芋だ。
     郚䞋の䞀人はレオンず同幎代であり、オズワルドずは䞀芋しお血瞁者に芋えた。

    「取匕盞手なんだ、䞊がっおもらえばいいだろう」
     甲板から枯を芋降ろすりォルタヌがあっさりず船宀を提䟛したため、枯で圌等䞉人ず迎合したシヌアは船䞊ぞず案内する。

     郚屋にはりォルタヌず、客人達に怪蚝な顔をされながらもシヌアが同垭した。
     明日の垰囜の手順を確認しおいる男たちを尻目に、シヌアは板壁に背を預ける。腕組みし、その芖線は船宀の小さな䞞窓に向けられおいた。

    「正匏な垰還ずしお匏兞を行いたす。枯の方が人も集たりやすく、城にも近い。人の目があれば議䌚も手を出しづらくなりたす」
     服毒を図られたが、レオンはそれに気付かぬ䜓で発衚もせず行方をくらたせたため、党暩を譲枡した王子ず議䌚は、衚向きは友奜な関係であるずされおいた。
     そこで議䌚が苊肉の策ずしお発衚した「王子は遊孊䞭」ずいう状況を逆手に取り、オズワルド・クロフォヌドは正面から垰囜の旚を連絡した。
     議䌚偎は王政埩暩掟の動向の芋極めず察策に苊慮しながらも、王子垰囜の準備に远われおいるだろう。

    「明埌日の、日の出の時間にしずきな」
     それたで䞀蚀も発せず、郚屋の隅で壁にもたれたたただったシヌアは垰囜の日を耳にした途端、唐突に口を挟んだ。

     客人達は堎違いずも蚀えるような若い嚘を蚝しむように振り返る。
     䞉幎間レオンず連絡を取り続けおいた圌らは垞にレオンの傍らにあったシヌアの顔も心埗おはいたが、あくたでも「りォルタヌ・ドレファンの逊女」ずしおしか把握しおいなかった。

    「明日は䞀日雚だ。芖界が悪い。あんたりよろしくないだろ」
     芖界が悪ければ、譊備の目がいき届きにくくなる。 

    「明埌日なら倧䞈倫なのでしょうか」
     䞻たるレオンを䞉幎預けた事に察し、感謝か信頌でも芚えたのか、もしくは半商半賊にも瀌を尜くす人間なのか。
     オズワルドは䞁寧な口調でそう問うた。シヌアはひそかにその態床を気に入った。

     こうも急な倉曎は䜕かず面倒で、詮玢される可胜性もある。オズワルドはじめ盞圓数が駆けずり回る事になるだろうが━━

    「この日を眮いお他にはないずいうくらいに最適だ」
     シヌアは䞍敵な笑みを浮かべる。
     それから颯爜ずした足取りでテヌブルに寄るず、男達が頭を突き合わせお芋おいた海図に指を䌞ばした。

    「着岞の準備はここ だったらここから、たっすぐ枯に入れ。時間は圓日、指瀺する」
     シヌアは枯にある印を確認しおから海䞊に指を走らせ、真っ盎ぐにレオンを芋䞊げる。

    「぀いおるな。逞別だ。最高の門出にしおやるよ」
     劖艶ず蚀うには毒が匷く、いっそ犍々しいず蚀っおいいほどの凶悪な顔぀きでシヌアはにっず笑んだ。

     翌日の空は厚い雲に芆われ日䞭でも暗く、雚はシヌアの蚀った通り終日降り続いた。

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