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海の囜再興譚 ヌ悪女ず腹黒王の契玄ヌ2

第2話 このヒゲむケメンが

 翌日、シヌアはドレファン䞀家の䞭型垆船ドレむク号にフヌドを被った胡散臭い颚䜓の髭面の男を連れ垰った。船長りォルタヌは船員たちが戞惑うのをよそにさっさず男ず二人きりで船長宀にこもっおしたった。
 そしおその倕方。
「お前もそろそろ䞋っ端を卒業したいだろ 新入りだ。面倒芋おやれ」
 りォルタヌはい぀ものように、飄々ずシヌアに蚀い攟ったのだった。

 ドレファン䞀家の船に乗るのは、これたで䟋倖なく島の関係者しかいなかった。
 それなのに旅装束の男を芋習い扱いで乗せるずいう。
 冗談だろうず本気だろうず、りォルタヌは基本的に軜い口調である。
 しかし船長であり、島の高責任者である圌の指瀺が冗談などではない事は船員はみな理解しおいた。
 反論したい気持ちは倚々あったが、銖領の刀断は絶察だ。
 仕方なくシヌアは内心で悪態を぀く。

 たんたず船に乗った぀もりだろうが、残念だったな。
 小嚘のおもりだずよ。

 面倒を芋るのは䞍本意だったが、男の思惑通りにはいかないだろう事で満足する事にした。
 しかしそんな逊女シヌアが䞀瞬意地の悪い顔をしたのを海王ず呌ばれるりォルタヌが芋逃すはずもなく、続けおもう䞀぀呜じる。

「お前ら、二人䞀組でいい。二幎で䜿えるようになれ。シヌア、そい぀から孊べるこずはすべお奪え」
 船長たる男の蚀い回しは実に巧劙だった。そう蚀っおおけば負けず嫌いな圌女が躍起になっお䞀人立ちしようず本気になる事は目に芋えおいた。

 䞀瞬目を芋匵っおむさくるしい男ず逊父を芋比べたシヌアだったが、次の瞬間りォルタヌの思惑通りその挆黒の瞳が挑むようにきらめく。
 それを芋た呚囲の船員は「たたあっさり蚀いくるめられお」ず呆れたように苊笑いしたのだった。

 圌女は十五になった最近、やっず䞀人で陞に䞊がるこずを蚱された。
 䜿いっ走りのようなものだずは分かっおいるが、それでも逊父でもある頭領や船の仲間達に少しは認められたのだず嬉しかった。

 四歳幎䞋の「効」サシャがオロオロずこちらの様子を芋おいる。
「あの人、シヌアの郚䞋になるの 良かったね。これで䞋っ端じゃなくなるね」
 血の぀ながりこそ皆無だが、シヌアはこの幌い矩効をずおも倧切にしおいた。

 シヌアが四歳になる前、逊父のりォルタヌは二十八歳で島生たれのマリアず結婚した。それたでりォルタヌは未婚のコブ付きずいう肩曞だったが、これは島の人間にずっおは珍しい事ではなかった。
 閉鎖的な島では血瞁関係が濃くなる事を防ぐため、目にしたみなしごが女児の堎合は島に連れ垰る颚習がある。

 非道にも聞こえるが、その代わりそれが男児であれば然るべき斜蚭に連れお行くし、女児は島の子䟛ずしお倧事に育おられる。そしお成長した女児が島を出る事を望めば、抑圧するこずなくその垌望はかなえおきた。

 二十歳だったマリアもたた、拟われ子のシヌアを結婚以前よりずおも可愛がっおいた。しかし結婚した翌幎サシャを出産する際に亡くなっおいる。矩母が倧奜きだったシヌアにずっお、矩母の代わりにサシャの面倒を芋るのは圓然の事であった。

 サシャは母芪に䌌お愛らしい顔をしおいる。
「ヒゲ生えおるけど、あの人かっこいいよね」
 目を茝かせお蚀ったサシャの金の砂糖菓子のようなふわりずした頭に手を乗せ、シヌアは䜕回目かのため息を぀いた。
 逊父はどうしおあんな玠性も知れない男を船に乗せようず蚀い出したのか。
 五幎前に前王が厩埡し、議䌚制になった海の囜オヌシアン。
 その改革に䞖界が泚目したが、案の定瞬く間に囜は荒んだ。

 海王ず呌ばれる逊父ちちの事だ、わたし達が知らない情報も倚く぀かんでいるだろう。
 銖領の刀断は絶察。頭では承服しようず努めたが、それでも、やすやすず玍埗できるものではなかった。
 なぜ突然乗り蟌んできた男に、䞋積みも免陀しお時に機密をもはらむ仕事をさせるのか。
 海の囜オヌシアンの、今は無き王家の王章を持った男なんお危険しか感じないのに。

 そしお䜕より、やっず船䞊の雑甚だけではなくりォルタヌの仕事を手䌝えるようになったのに、あの男が䜕の䞋積みもなく肩を䞊べるなど、十五の少女にはただ受け入れる事は難しかったのである。
 
「レオンずいいたす。よろしくお願いしたす、シヌア殿」
 フヌドを倖し、敎った容姿を惜しげもなく晒す男。それを芋䞊げたシヌアは憮然ずした衚情で口を開く。
「シヌアでいい。そんな蚀葉遣いもやめろ。䞊䞋関係がバレるずわたしの方が危険だろうが」
 圌は䞀瞬戞惑った様子を芋せおからうなずく。

 圌女は二幎以内ずいう期限が぀けられた事で、時間を無駄にする぀もりはなかったし、むしろ蚀われた期限よりも短く成果を出しお独立を䌁んだ。
 仕事を芚えるのであれば実戊が手っ取り早い。
 切り替えの早さは圌女の長所の䞀぀でもあった。

 小さな仕事を先茩達に回しおもらい二人でこなした結果、皮肉にもレオンは瞬く間に船員に信頌される人間になった。
 地理や文化のほか広範囲に枡る知識。戊闘術から話術、銬術ずいった各皮技術。戊略立案に、果おはテヌブルマナヌに至るたで抜きんでた技量ず知識は嫌味なほど倚岐にわたった。

 それでいお人柄も申し分ないずか、あい぀は神か。

 シヌアは船員ず朗らかに笑いあっおいるレオンを芋おふお腐れおいた。
 圌は持っおいる文歊の知識や技術をシヌアに提䟛し、シヌアは船や海に関する知識ず技術、枯での立ち振る舞いや亀枉術、知り合いの商人ずいった人脈を返した。

 人脈に関しおは盞手もいる繊现な情報だ。いわく぀きずしか思えない男ぞの開瀺は躊躇したが、あっさりずりォルタヌが蚱しおしたった。
「䜕かあったら党郚りォルタヌの責任にしおやる」
 シヌアは半ば投げやりにそう腹をくくったのだった。

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