
ハンドメイドで形にした私だけのアイデア ~剣道面型ポーチが生まれるまで~
私は保育士として働きながら、ハンドメイド作品を制作しています。
ものづくりが好きになったのは、特別なきっかけがあったわけではありません。
気がつくと、誰かが喜ぶ顔を思い浮かべながら何かを作ることが好きになっていました。
保育士として働く中でも、その気持ちは変わりません。
子どもたちは毎日、たくさんのことを教えてくれます。
そして時には、無邪気な笑顔でこんなことを言います。
「先生、これ作って!」
「先生、こんなの欲しい!」
子どもたちにとっては簡単な一言かもしれません。
でも、実際に作るとなると簡単ではありません。
「どうやって作ろう」
「本当にできるかな」
そう悩むこともたくさんあります。
本当なら「難しいからできないよ」と言った方が早いこともあります。
それでも私は、できるだけ子どもたちの気持ちを受け止めたいと思っています。
どうしたら形になるだろう。
どうしたら喜んでくれるだろう。
考えて、悩んで、試してみる。
その繰り返しです。
そして完成した作品を見た子どもたちの顔は、本当に忘れられません。
目を輝かせながら、
「先生すごい!」
「本当に作ってくれたの?」
と喜んでくれる姿を見るたびに、ものづくりの楽しさを改めて感じます。
子どもたちの笑顔は、私の原動力です。
だから私は、見て楽しいもの、使って楽しいもの、誰かが笑顔になれるものを作り続けたいと思っています。
そんな私には、もう一つ大切な存在があります。
それは剣道です。
私の子どもは5歳から剣道を始めました。
最初は親として見守る立場でしたが、気がつけば親子で剣道に関わるようになっていました。
稽古に通い、試合に同行し、剣道を頑張る子どもたちの姿を見続けてきました。
面や胴、竹刀は私たち家族にとってとても身近な存在です。
そんなある日、ふと思いました。
「剣道の面をモチーフにした可愛いポーチがあったら面白いのではないだろうか」
思いついた私は、すぐに検索してみました。
しかし、自分が思い描いていた作品は見つかりませんでした。
剣道グッズはあります。
けれど、本物の面らしさがありながら、かわいくて普段使いできるポーチは見当たりませんでした。
それなら自分で作ってみよう。
そう思ったのが、剣道面型ポーチ作りの始まりでした。
ところが実際に作り始めると、想像以上に難しいことばかりでした。
剣道の面は独特な形をしています。
ただ布を縫うだけでは面に見えません。
面金はどう表現するのか。
面布団はどう表現するのか。
ポーチとして使いやすくしながら、どうしたら面らしく見えるのか。
考えれば考えるほど課題が出てきました。
私は本物の面を何度も見ました。
写真を撮り、細かな部分まで観察しました。
資料も見ました。
イラストも参考にしました。
「どこを残せば面に見えるのだろう」
「どこを簡略化すれば使いやすくなるだろう」
何度も考えました。
そして試作品を作りました。
しかし思うようにはいきません。
面に見えなかったり、ポーチとして使いにくかったり。
作っては直し、作ってはやり直しました。
それでも不思議と諦めようとは思いませんでした。
保育の仕事で子どもたちの「作って」という言葉を大切にしてきたように、自分自身の「こんなものがあったらいいな」という気持ちも大切にしたかったからです。
少しずつ形になっていく作品を見るたびに、また新しいアイデアが浮かびました。
もっとこうしたい。
もっと面らしくしたい。
もっと可愛くしたい。
その繰り返しでした。
今でも完璧だとは思っていません。
ものづくりに終わりはないと思っています。
もっと良くできる部分もあると思います。
それでも今の自分が持っている技術や経験、そして思いを精一杯詰め込んだ作品になりました。
だからこそ納得しています。
そして勇気を出して販売することにしました。
minneやメルカリへの出品です。
作品写真を撮り、説明文を書き、掲載しました。
最初は不安でした。
本当に見てもらえるのだろうか。
興味を持ってもらえるのだろうか。
購入してもらえるのだろうか。
そんな不安ばかりでした。
それでも少しずつ作品を見てくださる方が増えていきました。
そしてある日、ついに購入通知が届きました。
初めて自分の作品が売れた瞬間でした。
通知を見た私は本当にうれしくて、すぐに家族へ報告しました。
「売れたよー!」
飛び上がりたいくらいうれしくて、誰かに伝えたかったのです。
でも、家族の反応は私が思っていたものとは少し違いました。
もちろん喜んではくれました。
ただ、私ほどの大喜びではありませんでした。
今思えば当たり前のことかもしれません。
その作品を作るために何日も考え、試作を繰り返し、悩みながら形にした時間を知っているのは自分自身だからです。
初めて売れた時の喜びは、作った人にしかわからない特別な気持ちなのかもしれません。
でも、その出来事は私に大きな自信を与えてくれました。
「誰かが私の作品を必要としてくれた」
その事実が本当にうれしかったのです。
そして私は、もっといろいろな作品を作ってみたいと思うようになりました。
剣道面型ポーチだけではなく、小物ポーチや移動ポケットなどの制作にも挑戦しました。
小学生がウエストにつけて、ハンカチやティッシュを入れて使えるポーチなど、保育士として働く中で感じていた「こんなものがあったら便利」という思いを形にしていきました。
保育の現場にいるからこそ見える視点があります。
子どもたちが使いやすいもの。
保護者の方が助かるもの。
毎日の生活が少し楽しくなるもの。
そんな作品をこれからも作っていきたいと思っています。
剣道面型ポーチから始まった私の挑戦は、今ではさまざまな作品づくりへと広がっています。
一つの作品が売れたことは、単なる販売実績ではありませんでした。
私にとっては、「もっと挑戦してみよう」と思える大きな一歩だったのです。
子どもたちの「先生、作って!」という言葉から始まった私のものづくり。これからも誰かの笑顔につながる作品を、一つひとつ丁寧に作り続けていきたいと思います。