
【チルドんち!】第3話
「えっ……食べものじゃないの?」
オレが「自分は食べものじゃない」と言ったら、ニンジは目を大きくみひらいた。
「どうしてニンジはおくのゾーンで泣いているんだ?」
オレは気になっていたことをニンジに聞いてみた。
「ぼくはこわいんだ。このまえ勇太くんのお母さんにカレーの材料として使ってもらえなかった」
ニンジの声は、かなしそうだった。
「すっごくショックだったんだ」
ニンジは下をむいた。泣かないようにがまんしているみたいだ。
「それでも、まだおいしい料理になれるチャンスはあるって思ってた……。でも」
ニンジは立ち上がると、くるりと後ろの部分をオレに見せた。
「……少し、黒くなってるな」
オレの言葉を聞いたニンジの目から、なみだがあふれだした。
「こんなすがたじゃ、勇太くんのお母さんはぼくのことをえらんでくれないよね」
「このまま、使われずに終わるんだ。そして、いつかゴミ箱にすてられるんだって思うと、かなしいんだ」
ニンジの不安そうな声がチルドんち!にひびく。
まわりにいた食べものたちも、ニンジのことをかわいそうにと声をかける。
オレはわさびじいの方を見た。わさびじいがオレをここに連れてきた理由が分かった気がする。
「ニンジ」
オレはニンジを安心させるように力強く言った。
「だいじょうぶだ。まだできることはある」
「えっ?」
オレの言葉を聞いたニンジは、びっくりして泣きやんだ。
まわりの食べものたちもおどろいて、オレを見る。
「まだ、あきらめなくてもチャンスはある」