河川敷のユートピア
国道をしばらく走り、少し草木が生い茂る小道に入る。砂利と砂埃が舞う中をひたすら進むと、細い河川が見えてくる。ここまで来たら、車を停め、スニーカーから長靴に履き替え、徒歩で茂みの中を入る。足を進めること5分、突然目の前に広い空間が現れる。
石井さんの住処は河川敷の脇にひっそりと隠れるように存在している。
石井さんは、自らの車を自宅として改造し、長年に渡り河川敷に住んでいる。
いわゆる、ホームレス状態だ。
そんな彼の生活は、多くの『不要になったもの』が再び活躍している。
BBQ場近くに置き去りにされた肉。
違法投棄された大量の車のナンバープレート。
太陽光パネル付きのカラーコーン。
茂みに置き去りにされた漫画やPSP。
ホームレスに対する関わり方として、福祉支援を思いつくことは多いと思う。
石井さんの暮らしについて書きたいと思ったのは、彼を福祉に繋げるためでもなければ、彼の生活を変えるためではない。
彼は今の在り方を選んでいる。
それに対して、社会の多くの人は否定的に受け取ることは仕方ないことではある。
なぜその場に彼は生きるのか、を知れば、きっと全てが異なる色に見えてくるはずだ。
それを伝えるために、再び書くことを始めてみる。