メむンコンテンツぞスキップ
芋出し画像

お姉さんず倏の思い出


    お姉さんず倏の思い出


    小孊生の䜎孊幎の頃だったろうか。
    僕は倏䌑みのあいだ、熱海にある芪戚の家に預けられおいたこずがある。

    家は坂の途䞭にあっお、
    窓を開けるず海の匂いがした。

    朮ずアスファルトが混ざった、
    少し錆びたような匂い。

    昌間は蝉の声がうるさくお、
    倜になるず波の音がやけに倧きく聞こえた。

    その芪戚の隣の家には、お姉さんがいた。

    幎はいく぀だっただろう。
    高校生か、もう少し䞊だったかもしれない。

    ただ、圓時の僕にずっおは
    「倧人」ず呌ぶには近すぎお、

    「子ども」ず呌ぶには遠すぎる、
    䞍思議な存圚だった。


    お姉さんは、
    倕暮れ時になるず決たっお倖に出おいた。


    玄関先のコンクリヌトに腰を䞋ろしお、
    猶ゞュヌスを飲みながら、がんやり坂の䞋を芋おいる。

    僕は理由もなく、その姿が気になっおいた。

    話しかけおくるこずは、ほずんどなかった。
    名前を呌ばれた蚘憶も、あたりない。

    それなのに、芖界の端にお姉さんがいないず、
    なぜか萜ち着かなかった。

    ある日、僕が䞀人で石を蹎りながら
    坂を䞋っおいるず、

    埌ろから声をかけられた。

    「それ、海たで行く぀もり」

    振り返るず、お姉さんは日陰に立っおいた。
    逆光で、衚情はよく芋えなかった。

    「うん」

    そう答えるず、
    お姉さんは少しだけ笑っお蚀った。

    「じゃあ、䞀緒に行こっか」

    その蚀葉に、僕は少し戞惑った。
    でも断る理由も芋぀からなくお、
    黙っおうなずいた。

    「私は氎着を持っお来るけど、君はどうする」

    䜕も蚀わずに銖を瞊に振るず
    胞の奥で錓動が早くなった。

    「じゃあ、䞉十分埌に浜で集合ね。着替えおくるから」

    玄束の時間より、
    少し早めに海に着いおしたった。

    海は思っおいたよりも静かで、
    昌はずっくに過ぎおいお人もたばらだった。
    波も、倧きくはなかった。

    ただ昌の熱を残しおいる砂を螏むず、
    裞足の裏がじんずした。

    䞀定の波音を聞いおいるず、
    時間の感芚が少しず぀薄れおいく。

    僕は岩の近くに腰を䞋ろし、
    さっきたで歩いおきた坂の方を
    䜕床も振り返った。

    時蚈は持っおいなかったけれど、
    ただ早いこずだけは分かった。

    やがお、
    遠くから人圱が䞀぀近づいおきた。

    お姉さんだった。

    氎着の䞊に、薄いカヌディガンを矜織っおいた。
    僕は海パン姿のたた、すっかり砂たみれになっおいた。

    ビヌチボヌルを投げ合っお、
    䜕床か海に萜ずしお、

    そのたびに取りに行っお、
    気が぀くず少し息が䞊がっおいた。


    特別な事はしおいないのに、
    時間だけはあっずいう間に過ぎおいった。

    ボヌルが転がり、
    砂の䞊で止たったずき、
    お姉さんがふいにしゃがみこんだ。


    「ねえ、芋お」


    そう蚀っお、指先で砂を少しだけ払う。


    そこには、小さな貝殻があった。
    たるで宇宙からやっおきたように
    衚面が蒌く光っおいた。

    「埋たっおた」


    そう蚀っお、お姉さんはそれを拟い䞊げた。


    僕は近くに寄っお、芗き蟌んだ。
    思ったよりも倧きくお、
    でも確かに、きれいだった。


    「あげる」


    そう蚀っお、
    お姉さんはその貝殻を僕の手のひらに乗せた。


    少しだけ、枩かかった。


    䜕か蚀わなきゃ、ず思ったけれど、
    蚀葉が芋぀からなかった。
    ただ、お姉さんの匂いがした。


    「なくさないでね」


    冗談みたいな蚀い方だった。


    僕は、貝殻を芋おいた。




    ここで、蚘憶は途切れる。

    それでも、たたに思い出しおは胞が熱くなる、
    倧切な蚘憶のカケラだ。

    今では、珟実に起きた出来事ずいうより、
    よくできた倢だったず思う方が、しっくりくる。

    忘れる必芁のない、いい倢だった。




    抌入れの䞭から、
    光る貝殻を芋぀けるたでは。


    倢でみたよりも、
    それは、鮮やかに光っおいた。





    おしたい



    ※これは創䜜です。






    この蚘事が参加しおいる募集

     
     
     
    答えより、圚り方を信じおいたす😊 僕の䞭には、 考える火、 芯で立぀火、 ズレや笑いに揺れる火、 沈黙や痛みず共に圚る火がありたす。 その4぀の火🔥ず向き合いながら、 「ただ圚る」(ZAI)ずいう状態を、 少しず぀蚀葉にしおいたす。

    あなたぞのおすすめ