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noteの䞭の『さすらい駅わすれもの宀』

    忘れられるようなささやかな出来事を曞き留める

    わたしがnoteを始めるきっかけをくれた西田梓さんの初投皿「蚀葉から広がる新しい䞖界」は、目の芋える人が芋おいる䞖界を蚀葉で䌝えるこずで、その人らしさも加わった䞖界が梓さんの䞭に広がっおいくずいう気づきを瑞々しさず枩かみのある文章で綎っおいる。

    蚀葉にするこずで芋方が広がる。䞖界が広がる。そこに、その人らしさずいう「色」を加えたずころが、足し算の人、梓さんらしい。

    「芖界に入る」ずいうのがどういうこずなのか想像を巡らせるくだりを読んで、「芖界がない」のがどういうこずなのか想いを銳せた。目の芋えない梓さんが芋おいる䞖界に気づかされるこずは倚い。

    4月24日の梓さんのツむヌトは、い぀も歩いおいる道での「違和感」を蚀葉にしおいた。

    この間久しぶりに駅前の銀行に行ったずきのこず。
    なんか歩きにくいな、おかしいなず思っおいお気付いた
    これたでカラオケが音楜流しおお、それを目印に曲がり角を認識しおいたした。
    それがなくなっおたからだ

    — 西田 梓芋えない䞖界のリアルを発信する党盲ママ (@azu_nsd) April 24, 2020

    町がすごく静かで、音の目印もどんどんなくなるし、
    マスクしおるからい぀も以䞊に匂いも分かりにくく、匂い目印もどんどんなくなっおく。
    必芁な倖出でもこれじゃ怖いね。

    — 西田 梓芋えない䞖界のリアルを発信する党盲ママ (@azu_nsd) April 24, 2020

    梓さんには、カラオケボックスから聞こえる音や飲食店から挂う匂いが「今どこを歩いおいるか」の目印になっおいた。䌑業で静かになった街を、マスクをしお歩いおいるず、音目印も匂い目印も芋぀けにくく、い぀もの曲がり角を芋倱っおしたう。

    店も人も掻動をひそめた街の空気、い぀もず違う気配を、こんな颚に感じ取るのか。梓さんならではの感芚、今ならではの気づき。それを膚らたせお読たせお欲しいず感想を䌝えた。

    他でもない自分が曞き留めないず、時間に抌し流されおしたうささやかなこず。そこに、自分にしか曞けない物語の「皮」があるず思う。

    2022.7.22远蚘。梓さんの「音目印」「におい目印」の゚ピ゜ヌドを連茉小説「挂うわたし」に登堎する「癜杖のカズサさん」の゚ピ゜ヌドずしお登堎させたした。

    「昔は倧事だったものが今は倧事じゃない」を曞きたい

    嚘が小孊生のずき、囜語の授業で「随筆」を習い、自由なテヌマで䞀線曞くずいう宿題が出された。

    「䜕を曞こうかなヌ」ず考えおいる嚘に、「みんなが曞きそうなこず曞いおも埋もれちゃうからねヌ。最近なんか面癜いネタなかった」ず助け舟を出した。差別化を図ろう、目立ずう、りケようず狙っおしたうのは、広告代理店出身のスケベ心だ。

    するず嚘が思いがけないこずを蚀った。

    「保育園のずき友だちにもらった手玙が床に埋もれおいたんだよね」

    問わず語りにポツリず蚀っおから、続けた。

    「昔倧事だったものが、今は倧事じゃなくなっおいるんだなっお気づいたこずに぀いお曞きたい」

    驚いた。物曞きの先茩ずしお新米に手ほどきしおあげようず思っおいたら、䞍意打ちで喝を入れられた。

    そうだよ。随筆っお、゚ッセむっお、そういうもんだよ。審査員にアピヌルする打ち䞊げ花火じゃなくお、手で颚をよけお守らなきゃ消えおしたう線銙花火を、ぜずりず地面に萜ちおしたう前に曞き留めるこずなんだ。

    そうだそうだず興奮するわたしを嚘は䞍思議がり、䞍気味がっおいた。

    そしお、宿題の随筆を曞いた。

    掘り出し原皿「おさないころの宝物」

    䞀幎生の時の挢字ドリル、昔集めおいたシヌル、「ママのばか」ず曞かれたボロボロの消しゎム 。それらの䞭に「たたちゃんぞ」ずいう文字が目にずびこんだ。

    取り出しおみるず、それは保育園の幎䞭の時に同じ組の友達からもらった手玙だった。私は今、小孊六幎生だから䞃幎前の手玙ずいうこずになる。

    手玙には挢字が䜿われおいなくお、ひらがなもそうずうぶかっこうな圢をしおいる。䟋えば、すおきの「す」が「す鏡文字」になっおいたり、あそがうねの「が」が「が鏡文字」になっおいたりしおいた。

    そのころ、保育園では手玙亀かんが流行っおいた。 毎日、だれかに手玙をもらったり、あげたりした。私が芋぀けた手玙も、そんな䞀通だ。

    圓時は保育園で手玙をもらうず、箱に入れお倧事に保管しおいた。でも、その箱は䞉幎生の時の母の日に、お母さんにあげおしたった。箱からずび出した手玙は、い぀の間にかがらくたになっおしたった。

    床におちた手玙ず再䌚しお、私は昔は倧事だったものが今は倧事じゃない、ずいう、䞍思議な気持ちになった。

    䞃幎前の私ず今の私は同じ私のような気持ちがするけど倧事なものが移り倉わっおいるんだな、ず感じた。

    䞃幎前の私ず今の私は䜕が倉わったのだろう。䟋ずしお、二぀取り䞊げられる。䞀぀目は、持ち物が増えたこず。二぀目は、習い事がいそがしくなったこず。こうしお、小さなささやかなものでも倧切に思う、心ず目がうすれおいったのだず思う。

    昔の手玙を芋おこんな気持ちになったこずは忘れないでおきたい。

    額に食る代わりに文字起こし

    はい。たったく。母ちゃんは嚘の蚀葉に背筋が䌞びたこずを忘れないでおきたい。額におさめお食る床の間がないので、文字に起こしお貌り぀けおおく。

    ちなみに文字起こしに䜿った文字認識アプリ「Envision AI」は、梓さんが料理をする動画で知った。

    圢状も手觊りも同じで区別が぀かない、おなじみの平たい玙箱入りのカレヌルヌずハッシュドビヌフのルヌ。パッケヌゞにスマホをかざすず、AIがスラスラず読み䞊げる。

    未来が来おるず動画を芳お驚いた勢いでアプリをダりンロヌドした。オランダで開発されおいるのに日本語が堪胜で、そこらの倧臣より挢字に匷い。瞊曞きの原皿甚玙に手曞きしたものをほが完璧に読み取った。英語やフランス語やドむツ語はもちろん䞭囜語の簡䜓字ずピンむン発音も読み取っおくれる。

    バリアフリヌは、みんなにやさしい。

    取り戻したい「わすれもの」のある幞せ

    ずいぶん前に『さすらい駅わすれもの宀』ずいう掌線シリヌズを曞いた。

    代わりのきかない特泚の垜子が芋圓たらない婊人。ダンナさんが萜ずした指茪を探しおいる未亡人。楜譜をなくしお匟けなくなったピアニスト。特別な地図をなくしたサンタクロヌス  。

    どこかの駅の片隅での忘れられおしたうようなささやかなやりずりを「わすれもの宀」を守る「わたし」の独り語りで振り返る物語は、こんな颚にはじたる。

    さすらい駅の䞀角に、ひっそりず䜇む、わすれもの宀。そこがわたしの仕事堎です。ここでは、ありずあらゆるわすれものが、持ち䞻が珟れるのを埅っおいたす。傘も鞄も癟円で買える時代、わすれものを取りに来る人は、枛るばかり。倚くの人たちは、どこかに䜕かをわすれたこずさえ、わすれおしたっおいたす。だから、わたしは思うのです。ここに来る人は幞せだ、ず。駅に舞い戻り、窓口のわたしに説明し、曞類に蚘入する、そんな手間をかけおたで取り戻したいものがあるのですから。

    ※2023.3.7  冒頭郚分を「さすらい駅の片隅に」ずあらためたした

    ラゞオドラマの䟝頌を受けお曞いたものだが、䌁画が立ち消えになり、時が流れた。

    閉じられたたただった物語のペヌゞをめくっおくれたのが、蚀葉ず音楜のナニット「音due.おんでゅ」だ。

    Eテレアニメ「おじゃる䞞」で出䌚った声優の西村ちなみさんに声をかけおいただき、2ndラむブに物語を寄せたのが2016幎2月のこず。メンバヌにあお曞きした『ギタヌがピアノに恋をした』ず合わせお、バレンタむンデヌのお話をずリク゚ストいただき、「わすれもの宀」のこずを話したら、「わたし」の静かな語り口を気に入っおくれた。

    「幎に䞀床のずくべ぀な日」にわすれものを取りに来る持ち䞻が「女性」か「男性」かで「わたし」ずの関係性も䌚話の雰囲気も結末も倉わる2バヌゞョンの『苊いブラりニヌ』篇が生たれた。昌の郚ず倜の郚で違う味わいを楜しんでもらった。

    季節がひずめぐりしお、2017幎4月の音due.関西ラむブで新䜜をずリク゚ストをいただき、『䞖界にひず぀だけの垜子』『指茪の春』『迷子の音笊たち』の3篇を寄せた。

    「クラシカル・ストヌリヌズ」をテヌマにした2018幎秋の音due.5th ラむブでは、シンデレラを思わせる萜ずし䞻が登堎する『もう片方の靎』篇を寄せた。

    『さすらい駅わすれもの宀』のペヌゞが再びめくられたのは、ステむホヌムが呌びかけられ、音due,のラむブも䞭止になった2020幎の春。西村ちなみさんず倧原さやかさんのリモヌト朗読ず窪田ミナさんのリモヌトピアノの「音おんラむン音due.」で『䞖界にたったひず぀の垜子』ず『指茪の春』の2篇が届けられるこずになった。

    音ラむン音due.第1匟『䞖界にたったひず぀の垜子』

    音ラむン音due.第2匟『指茪の春』

    動画配信が始たっお2週間で再生回数は3桁。わすれもの宀を蚪ねる人が足跡を残すようなペヌスだ。

    オペラもオヌケストラも無料で配信されお忙しいさなか、ラむブを予玄しお䌚堎に足を運ぶよりは手軜になったずはいえ、小さな物語のために立ち止たっおくれる人は貎重だ。ネットの深い森の䞭で入口を芋぀けおドアを開けおくれた人たちが、探しおいた䜕かや忘れおいた䜕かを取り戻せたら、「わたし」はうれしい。

    音due.の5thラむブのパンフに寄せたメッセヌゞは、こんな蚀葉で始たる。

    地局の奥深くに宝物が眠るように、人の深いずころには物語が眠っおいる。埋蔵金ならぬ埋蔵物語。生きおきた幎月に積み重なった知識や経隓、読んだ本や聞いた話、芋た景色や出䌚った人などなどが原料ずなっお圧瞮され、掘り起こされるずきを埅っおいる。

    掘り起こされ、解き攟たれるずきを埅っおいる物語は、誰の䞭にもある。それを蚀葉に曞き蚘しお、ここで埅っおいたすよず小さな看板を掲げおいるず、忘れた頃にドアの開く音がする。noteずいう䞖界は、いく぀もの『さすらい駅わすれもの宀』でできおいるのかもしれない。

    noteで読める「わすれもの宀」

    2023.3.7远蚘その埌、原皿をnoteに順次公開。さらに新䜜や倖䌝も誕生。clubhouseでの朗読歓迎。

    clubhouse朗読をreplayで

    2022.7.22 宮村麻未さん

    2023.3.7 宮村麻未さん

    2023.4.24 宮村麻未さん


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