
AIが書いたコピーが違法になる理由|EC/D2Cデザイナーが知るべき薬機法・景表法の話
AIに健康食品のLPコピーを書かせると、ほぼ必ず最初の出力に法的にアウトな表現が混じってくる。
これは私が実際に何度も経験していることです。「脂肪を燃焼させる」「シミが消える」「免疫力が上がる」——こういった表現を、AIは何の躊躇もなく出してくる。薬機法(医薬品医療機器等法)や景表法(景品表示法)に触れているかどうかに関係なく、それっぽくて説得力のある言葉を選んでくるのがAIの性質だからです。
だから、AIが書いたコピーをそのまま使うことはありません。最初の出力は「アイデア出しの壁打ち」として使い、修正は自分でやる——これが今の実務での扱い方です。

なぜAIのコピーは法的にアウトになりやすいのか
AIは学習データをもとに「説得力のある文章」を生成します。健康食品や化粧品の広告コピーとして説得力があるのは、効果・効能を明確に伝える表現です。「痩せる」「若返る」「改善する」——これらは読む側にとってわかりやすく、購買意欲も高まる。
ただ、薬機法の観点では、これらは医薬品にしか使えない表現です。
薬機法第66条・68条では、医薬品・医薬部外品・化粧品・健康食品の広告において「虚偽または誇大な広告」を禁止しており、医薬品的な効能効果を謳うことも規制対象になります。健康食品やサプリメントは「食品」であり、病気の治癒・予防・改善を示唆する表現は原則NGです。

具体的には
「脂肪燃焼」→ 身体の機能に作用することを示唆するためNG
「シミが消える」→ 化粧品の効能範囲を超えるためNG
「血圧を下げる」→ 医薬品的効能の標榜に当たるためNG
「免疫力アップ」→ 身体の機能に影響を及ぼすことを示唆するためNG
「美肌の成分コラーゲン配合サプリ」も、「美肌」が「肌を美しくする=身体の構造・機能に作用する」ことを暗示するとみなされNGになる場合があります。「肌の成分コラーゲン配合サプリ」のように、機能への作用を示唆しない表現に変える必要があります。
AIはこの区分を自動的に守るような設計にはなっていません。指示をしても、今度は「当たり障りのなさすぎる」「コピーとして弱すぎる」表現になって使い物にならなくなることもある。だからこそ、AIの出力をそのまま使うのではなく、人間が修正・判断する工程が必ず必要になります。
景表法も見落とせない
景品表示法(景表法)も、EC/D2Cの広告制作で必ず意識する必要があります。
景表法では「優良誤認表示」と「有利誤認表示」を禁止しています。

優良誤認表示とは、商品の品質・効果が実際より著しく優れているかのように見せる表示のことです。「業界最高品質」「No.1の美容成分配合」などの表現は、客観的な根拠なく使うと景表法違反になります。
有利誤認表示とは、価格や取引条件が実際より有利であるかのように見せる表示です。根拠のない「定価の50%OFF」や「期間限定価格」(実際には常に同じ価格)なども対象になります。
AIがコピーを生成するとき、「業界トップクラスの〜」「他にはない〜」のような最上級表現を使いがちです。これらは景表法の観点でグレーになることが多く、根拠を用意できない場合は削除が必要です。
同業他社の違反が教えてくれたこと
会社員時代、同業の会社が薬機法違反・景表法違反でニュースに取り上げられているのを見たことがあります。あのときに「他人事ではない」と強く思いました。
近年、通販における消費者トラブルの件数は増加傾向にあり、消費者庁・厚生労働省・都道府県の監視体制も強化されています。買い手もメディアも国も目を光らせている状況で、以前より摘発リスクが高まっているといえます。
違反した場合のリスクは広告主だけではありません。広告代理店やデザイナーにも及ぶ可能性があります。実際に制作側が責任を問われた事例もあることは知っておく必要があります。
だからといって、ビビりすぎて当たり障りのない表現だけを使い続けるのも問題があります。法律の範囲内で人の心を動かす言葉を選ぶことが、コピーとデザインの本来の仕事です。「ルールを守りながら、商品の魅力を届ける」——この両立が求められます。
デザイナーはどこまで関与すべきか
「コピーはライターやマーケターの仕事」と割り切れるか、というと、私はそうは思っていません。
商品を売る工程に携わる人全員が、薬機法・景表法のアンテナを持っておくべきだと思っています。理由は2つあります。

1つ目は、ことが起きてからでは手遅れになるからです。違反が発覚した場合、企画全体が倒れる可能性があります。制作物がすべて使えなくなる、LP全体を作り直す、最悪の場合は業務停止——これは制作に携わった全員に影響します。
2つ目は、「これ怪しくないか?」と気づける人が1人いるだけで状況が変わるからです。第三者機関に薬事チェックを依頼するということを誰かが知っていれば、適切なタイミングでその提案ができます。自分で全部判断できなくても、「確認が必要かもしれない」という感覚を持つだけで回避できるリスクは少なくありません。
私が実務でやっていることはシンプルです。チェックリストを持ちながらも、自分たちだけでの判断には限界があることを前提に、第三者機関への薬事チェック依頼を基本フローに組み込んでいます。規模の小さいクライアントで社内に専門家がいない場合でも、その必要性を伝えるのは制作側の役割だと思っています。
AIコピーとの現実的な付き合い方
AIのコピーを壁打ちに使うのは有効です。「このくらいの文章量でアイデアを出してほしい」「この商品の特徴を違う言い回しで表現してほしい」——こういった使い方は時短にもなるし、自分では思いつかない切り口を見つけるきっかけにもなります。
ただ、出てきたコピーをそのまま使うことはしません。必ず自分の目で確認して、薬機法・景表法的にグレーな表現を修正してから使います。最終判断は人間がやる、というのが変わらない原則です。

AIは「それっぽくて説得力がある表現」を出すのが得意です。でも「法的に問題がないか」という観点はAIには持てない。ここに人間が介在する理由があります。
制作現場でコピーに関わる機会があるなら、薬機法・景表法の基本的な考え方は一度確認しておくことをおすすめします。全部覚える必要はありません。「これは大丈夫か?」と立ち止まれる感覚を持つことが、最初の一歩です。
EC/D2Cデザインの実務ノウハウを毎週発信しています。フォローしていただけると嬉しいです。
▼次の記事はコチラ!
▼私のポートフォリオサイトはコチラ!
#Webデザイン #webデザイン勉強中 #LP制作 #デザイナー #EC #D2C #薬機法 #景表法 #スキしてみて