
13年間ミニマリストだった私のその先の話
13年前、私は物を捨てはじめた。
たまたま見たネットの記事で、今で言うミニマリストのような持たない暮らしを知ったのがきっかけだ。
翌年に引っ越しを控えていたこともあり、私はその世界に没入していった。当時の私はオシャレが生きがいだったので、クローゼットや引き出しにはタグがついたままの服をはじめ、ありとあらゆる物が ぎゅうぎゅう に詰め込まれていた。
そんな状態だったから「私が今、うまくいかないのはこの沢山の物のせいかもしれない」なんて偏った思考になり、今思えば、捨てなくていい物まで捨てた。
あの頃のことは今 思い出しても苦い気持ちになる。
私は理想の暮らしを求めて、記事に書いてあった 『1年間使わなかった物は捨てる』を自分のルールとした。
でも、明らかに捨てていい物以外を捨てる時は思った以上に心を消費した。私にとって残したい物と年数は全く関係なかったからだ。2、3年使っていなくても思い出がたっぷり乗っかっている物もあった。
それなのに1年という数字に固執して機械的に捨てていく作業に心が置いてけぼりにされた。
この時の私は、ルール通りにしなければ 理想の暮らしは手に入らないと思い込んでいたのだ。
今考えると、 筆者だってそんな厳格さを求めてはいないだろうし「いや、そこはケース バイ ケースでよろしく。」と思ってるだろう。
そうやって泣く泣く沢山の物を捨てた結果、夫婦での引っ越し代はたしか3万円くらいだった。業者さんに「夫婦2人分ですよね?」と驚かれたのを覚えている。
自分の感情を無視して機械的に捨てなければきっと、この何倍もの金額がかかっていたと思う。
それを考えると、使っていない物にまたお金をかけて運ぶより この時のやり方が正しかったのかもしれない。
新居に移ってからは、沢山の物を捨てた罪悪感から物を必要最低限しか買わなくなった。
気がつけば、今のわが家は寝室にはベッドしかないし、何にも置いていない部屋もある。
何にもないと物が音を吸収しないから声が異様に響く。
体育館のミニチュア現象が、わが家のその部屋では起こっている。
それでも、うちには電子レンジもあるしソファーもある。
ミニマリストガチ勢の方に比べると到底その名を名乗るにはおこがましいレベルで、せいぜい 『ミニマリスト風味』くらいだろう。
ミニマリストの方がリンゴ100%ジュースだとすると、私はリンゴ風味のジュース。
果汁は10%くらいしか入っていない。
そんな私が先日、 捨てるということを始めたあの日から13年ぶりに生活に全く必要のない実用性ゼロの物を買った。
それはなんと推しのグッズだ。
しかも、まさかのぬいぐるみである。
かつての私から言わせるとぬいぐるみは、ほこりを寄せ付けてダニを増やす物体だった。
全てのぬいぐるみ好きの方に謝って回らないといけないくらいの発言をどうか許して欲しい。
でも 本当にそう思っていた。
そんな私がどうしても、このぬいぐるみが欲しくなった。
思えば私は、物を持たない生活を送るために自分の『好き』という感情を見ないふりしてきた。
だけど今回はその気持ちを、そのまま受け入れることにした。
届いた箱を開けた瞬間、思わず「……おぅ」と、はしゃぎたい気持ちを無理に抑え込んだような声が出た。そのまま、ダンボールに入った子猫を抱き上げるように優しく手に取る。
ただ飾るだけの、何の役にも立たない物。
それなのに、心がじわーっと豊かになる。こんな感情十年以上忘れていた。
わが家には 棚がないので とりあえず出窓に飾ってみた。何度見てもかわいい。ぬいぐるみを見てニヤニヤしてるなんて、以前の私なら考えられない。
今、目の前にあるたった1つの物がこんなにも、たくさんの感情を私にくれた。
私はこの何にもない掃除のしやすい家を、とても気に入っている。
この13年、物は少ない方が正義だと思って生きてきた。
でも、自分の好きという感情を大切にして、たくさんのお気に入りの物に囲まれて生きていくのもまた幸せだろうし、なんだかとても自分を大事にしているように思えて そんな生活も羨ましく思った。
🍋最後になりましたが
前回の記事にも温かいコメントをいただき、本当に嬉しくて…ありがとうございます。
…前々回の記事で、週に1記事を目標にしていると書いたのですが、色々ありまして、今回は1週間以上経ってしまいました。
これからは 記事が完成したタイミングで投稿していきたいと思います。
これからもお付き合いいただけると、とても、とても嬉しいです。