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【前編】合宿免許、2週間の記録

    行動範囲広げたーい。
    もう少しで30歳だしな、
    この先の自分の能力も信用できないし……
    よし、車の免許取るか。

    以前、無職だった時も免許を取ろうと思って探した事があったが、
    「免許本当に必要かなぁ、お金勿体ないかなぁ、どうしようかなぁ」
    とかうだうだ迷っていたらいつの間にか貯金もなくなり、働くしかなくなったため断念した。

    今回も前と比べてそんなに状況は違わない。
    ただ、自分自身に科した年齢タイムリミットに私がちゃんとビビってたらしい。

    そんな理由で2026年3月から合宿できる教習所を探し始めた。

    入校日:3月中
    費用:30万円以下
    部屋タイプ:一人部屋
    食事:3食付き

    ってな条件で仲介サイトでいくつかよさそうな学校を見つけた。
    だが、仲介サイトでは申し込めるのに、蓋を開くと登録したメールアドレスに「6月からの入校案内になります」というメッセージを複数回受け取った。

    あれ?も、もしかして、みんなもっと前から申し込んでるの?

    と、ちょっと自分の浅はかさに焦りながら何とか4月入校可能な合宿所を発見!
    結果、山形にある免許合宿に申し込みをした。

    かくして私の2週間に及ぶ免許合宿が始まるのだった。

    初日 

    教習所の最寄り駅に昼前集合と事前に連絡を受けていたため、少し早めの到着をした。

    青い
    天気いい!空が広い!!

    集合場所に教習所の運転手さんが来て、マイクロバスまで案内された。
    それから暫く乗ると教習所に着いた。
    閑散期ということもあって生徒数も両手で足りるほどの人数しかいなかった。
    簡単な説明を受けるとお昼の時間になった。

    ご飯を食べながら私は思っていた。

    思ってたより歓迎ムードがない!?
    友達同士で来てる人もいる……
    友達できたらなぁ、なんて妄想してたけどもう諦めますわ。
    ぼっち参戦として腹括るぞ。
    そもそも、歓迎もへったくれもないか。
    教習所の人たちは定期的に新入生受け入れてるんだから、そら流れ作業になりますわ。


    ちょっと合宿に来る前までの期待感を捨てて、
    早速始まる授業に緊張していた。

    一番最初の授業は運転の基礎シミュレーションだった。
    そして私はこの授業で、チェンジレバーをうまく動かせなくて焦ってそこからのシミュレーションの指示を聞き逃したりと雰囲気で運転することになる。
    自分が怖い!これからこの調子で運転するつもりか!?

    次の乗車教習まで空コマがあったので、その時間まで約50分のオンライン授業を眠くなりながら視聴した。ついでに、空き時間に翌日の学校と寮のバスを予約した。なんでも前日の夕方までに予約しないと乗れないらしく、ちょっと面倒だ。

    そして、とうとう本物の車を運転する時間がやってきた。
    内心は、

    わしゃぁ素人だぞ!!お前ら正気か!?

    と叫んでいたが、現実では「はい」「わかりました」を繰り返し心臓バクバクさせてハンドルを握っていた。中盤まではかなりゆっくりではあるが車を動かせていた。スピードが無さ過ぎてカーブをうまく曲がれなかったりしていたが。
    この後に指定された停車位置にうまく停車できなくてポールに突っ込みそうになって脳がパンクした。パンクした脳味噌はブレーキとアクセルの区別がわからなくなった。
    そんな中教官から指示されるが、こんがらがってどの操作を行えばいいか理解できず「ちょっと待ってください」というと
    「待ってくれませんよ!」と言われて、マジでその通り、その通り過ぎて泣くぞ。
    となりながら、ブレーキをかけてから、足を離してハンドルを回し、車の体勢を整えた。
    その後、教習所内のコースを一周走って、その日は終わりとなった。

    学校から寮までのマイクロバスに乗り込み、日も沈んで真っ暗な道を進んでいく。
    かなり自信がなくなっていた。
    私は路上に出てはいけない奴なのでは?
    今まで車に乗せてくれた人たちを思い出し、あの人たちはすごかったんだと感謝しつつも、不安と初日の緊張でくたくただった。

    寮の食堂で夕食は生姜焼きがでてきた。
    このご飯が美味しかったのがその日の唯一の癒しだった。

    割り当てられた部屋に着くと、部屋にはベッドが二つ置いてあった。一つのベッドにはシーツと掛け布団が掛けられていたのでこっちで寝ろということらしい。
    部屋に入って、気づいたが暖房を入れてくれていたようで優しさを感じた。
    洗濯機も冷蔵庫、湯沸かし器、テレビ、クローゼット、ユニットバス。部屋の感じは満足いく作りだった。
    荷ほどきをほどほどにして、その日はお風呂に入って寝た。

    2日目

    9時半から適性検査なるものを受ける時間割だったが、事前の説明はなく何をするのかもわからないので、念のため1時間早く着くことにした。
    学校からスマホに送られてきたQRコードを学校の受付にある機械にかざすと出席確認が取れる仕組みになっていた。

    車、運転、ムズカシイ、自信ない、怖い、本当に卒業できる?
    のメンタルになっていたので、学校にいるだけで不安で仕方なかった。

    適性検査は、まあその名の通り運転適性検査なるものでOD式安全性テストという種類のものを受けた。結構不思議な内容で面白かった。結果は後日配られるらしい。
    それを一時間くらい受けたら実技の時間まで7時間ほど空きがあった。
    最初長いと思ったが、この時間にオンライン授業を受けなければならないのか!と思い直して、一日の上限4時間を受けた。時間稼ぎのためか画面内の先生が敢えてゆっくり喋っているのもあってかなり眠くなった。
    だが、寝たり、画面から外れたり、指定の場所で視聴しないと学校側からの確認で承認を得られないのでそれは叶わない。

    お昼はミートパスタが出た。ご飯はどれも美味しくて食事の時間だけが癒しである。

    夕方からの実技は2時間続けてであった。
    教官は昨日とは別の人だった。少し気難しそうに感じたが、教わっているうちに悪い人ではないんだろうなというところと、ハンドルの捌き方、カーブを曲がる際のスピード感など改善点を的確に教えてくれた。
    まあ、教わったがうまくそれを私が反映できたかは別の話なのだ。
    結局、私のメンタル的な部分も運転に影響してかなりおっかなびっくりでゆっくり運転してしまい、本来は無線での実技が3時間あるのだがそれを1時間潰してハンドル捌き、カーブの曲がり方を教わった。

    帰り道、本来のスケジュールを変更されたって事はやはり自分は下手くそ?才能がない?運転してはいけない人種か?
    絶望しながら夕飯を食べてから、寮から外出した。洗濯用洗剤が無かったので外灯が全くない道を少しいくとドラッグストアがあったのでそこで一番安い洗剤とご褒美にギャバのダークチョコを買った。ストレス軽減できるといいな……。

    3日目

    朝一から実技教習だった。随分物腰の柔らかい先生で結構安心して交差点のあるコースを運転することができた。ブレーキの踏み加減、ハンドルの切り方をまた教えてもらった。
    それから次の実技教習までまたまた7時間空きがあったのでオンライン授業を4時間受けた。これで第一段階、仮免許試験までに受けなければならない授業は受けきった。夕方からはおじいちゃん先生で坂道での停止、発進方法、S字クランクを教えてもらい、すごく静かなまま終わった。

    注意を受けなかったというだけで、メンタルが安定した日だった。もしかして自分にはちゃんと運転できるだけの能力が備わっているのでは!?と思い、この日はテンション高めで眠りにつくことができた。

    4日目

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    ちょっと朝散歩、気持ちよい


    この日は午後から実技教習だったが、お昼ご飯は教習所の食堂でしか食べられないのと効果測定という仮免許試験の学科試験の模擬テストを受けるために、またも早めに学校に行くことにした。
    焼うどん、美味しかった。
    効果測定は無事不合格を叩き出し不安が募るのであった。
    実技もできなきゃ、学科もできないのか自分は!?

    そんな落ち込み具合で、実技教習が始まるのだが車がフロントガラスが結構汚れていて、尚且つ後ろのリアガラスとでもいうのだろうか、そこも汚れていてなんだかいつもと違う感じで不安を感じた。しかも車のブレーキもなんだか踏み心地がいつもと違うようで、教官ごとに自分の車に癖みたいなものがあったりするのだろうか?それとも私が自分の技術がないのを車のせいにしているだけなのか?わからない、わからないが……
    色々な理由が重なって急ブレーキを連発して、その時の教官に
    「俺ダメだぁ~こんなの、他の教官に言われたことない?言われてるよね?」
    「(急ブレーキの直し方は教えてほしいといったことはあるが、急ブレーキ直しなとは言われてないからわからない)」
    何も言えなくなり、運転を続けるしかなかった。いや、まあ、いらっとして喋れなかったというのもある。
    今回はS字クランク、坂道、踏切、交差点を組み込んだコースを何周かする予定だったが、急ブレーキのし過ぎとハンドルの捌き方が以前教えてもらった教官とこの教官とではやり方が異なるようでそのやり方じゃないと言われて、残りはその練習時間となった。

    私は引きずるタイプだ。
    なんか嫌だったな、仮免まで数日、なんかもう帰りたい。
    2時間目の実技教習も同じコースを走ることになった。教官は以前の物腰柔らかな人で、明日は無線教習が入っているから不安なところなどあれば言ってください、と言ってもらえたのでハンドル、ブレーキの踏み方のコツを教えてもらった。
    気分はずっと下降気味だ。

    5日目

    言っておくとこの日から、明日にかけて当たった教官のうちふたりが本当に嫌で仕方がなかった。個人的に嫌な思いをした。本当に、嫌だった。

    この日も午後からの実技教習だ。2回目の効果測定を受けてまたも不合格を叩き出す。

    萎えているところに、初の無線教習である。
    学校の敷地内を無線が備えられた車に一人で乗って、無線からの指示通りにコースを走るというものだ。教官1人、生徒3人が指導される。
    そして、わたしは無線教習の授業を1つ削られている。しかも、無線用の車は、これまでの車と仕様が異なっておりフットブレーキがあり、それだけの違いでもかなり焦った。なのに、
    「いつもの車より多めにハンドル切らないと曲がらない車になってまーす」
    なんて言われて更にプチパニックに陥った。
    そして、教官は私が無線教習を受けるのが2回目だと思い込んで説明をしてくるのでところどころ省かれている。S字クランクで脱輪、ポールにぶつかりそうになったらバックしてくださいという、説明があったが私は後退の仕方を教わっていないので、なんのこっちゃだった。いや、オンライン授業で習った通り、チェンジレバーを「R」にいれれば後退するという知識はあれど、いきなりやれと言われてできるかというとそれも不安でしかない。
    なんとか、無線教習はぶつかったり、脱輪したりせずに終わった。
    ひとり運転の方が気が楽だ。

    実技教習はさっき無線教習で担当だった教官に連続で当たった。
    これが本当に嫌で、ミスをすると
    「~~~ですよねぇ?」
    「そうじゃないですよねぇ?」
    S字クランクを終えて道に出ようとして次の動作に入ろうとしたら
    「あなたはハンドルを戻さないで曲がるんですか?」
    「ウインカー出してください」
    「(ハンドルは確かにその通りだ!だが、ウインカーは合図出そうとしたらお前が話しかけてきたんだろうが!)」
    そして、ふとすると隣で鼻くそをほじっているのである。
    もうすべて嫌である。

    仮免試験が近づくほどに退校したいと考えるほどに、私の精神は落ち込んでいた。
    しかもそんな中、youtubeの車の事故、煽り運転動画を寮に帰ってきて見まくってしまった。
    何と愚かな!

    6日目

    メンタルは体にクる。
    ここの所ずっと腹を下し、今日にいたっては教習前に戻してしまった。

    よ、よわすぎる!!

    仮免前の最後の無線教習は昨日とは別の教官だった。しかし、新しいコースを走ることになり、若干不安になりつつもなんとか終えることができた。

    そして、これが仮免試験前の本当に最後のみきわめといわれる実技教習だった。
    この時にあたったおじいちゃん……いや、おじいさん、じじい、くそじじい……?
    へ?今私なんか言いました?
    教官がこう、訛りも相まって言葉がぐさぐさ刺さった。
    坂道の停車からの発進で、ハンドブレーキを戻す時に少し上げてからボタンを押すのを理解しないで操作していたら
    「さっきからもたもたしてるけどさぁ、少し上げて押すの」
    障害物を避けて右合図から、元の車線に戻るために左合図を出してハンドルの操作でウインカーが切れてしまったのでもう一度左合図を出したら
    「要領悪いねぇ」
    と言われてしまい、私はもう大きく笑う事しかできなかった。

    う、うわぁ~~~~~~!!!

    「あと、模擬テスト点数ブレあるからちゃんと勉強して」

    ぐ、ぐぎぃ~~~~~~!!!

    と、そんな感じでその日は寮に帰って学校から提供されたネットで受けれる問題集を解いた。

    仮免落ちたら退校しようかな、まじで、ほんとに、うん。

    少し夜更かしして無理やり寝ることにした。

    7日目 仮免許試験日

    せめて学科は受かりたいと思い、朝5時に起きて勉強することにした。
    ここで初めて私は朝ごはんを抜いた。
    合宿にきてからずっと3食きっちり食べていたのに、この日は本当に食欲がわかなかった。
    というか、食べても吐きそうだし、食べなくても吐きそうだった。
    勿体ないが仕方なかった。

    7時半から試験の説明を受け、
    最初に実技テストが始まった。
    試験管1人に付き受験者5名だった。
    車には助手席に試験管、運転席に受験者、助手席の後部座席に次の受験者の3名が乗り込むことになった。
    私は4番目だった。
    3番目の受験者の番が回ってきたので私は後部座席に乗り込んだ。
    ここで初めて、自分以外の運転を体感することになる。
    そして思った。

    え、ブレーキカクンカクンして止まってる。

    合宿4日目に当たった教官にはこのブレーキで急ブレーキだのなんだのああだのこうだの言われたのに。え、全部これじゃん。
    私はあの後かなりブレーキには気を付けて静かに止まれる様になったと自負してる。
    ウインカー出すの結構ぎりぎりだ。
    ルーム、サイド、目視の確認結構忘れてる。
    スピードいい感じ。

    3番目の人の運転を見ながら、自分が今まで言われてきたことを思い返すと、
    技術をブラシュアップされていた?
    あえて悪い所を見つけて伝えられていた?
    そういう事なのだろうか?

    そしてとうとう自分の番になり、外周、障害物、車線変更、交差点、右折、踏切、S字クランク、停車を済ませると試験官からの総評があった。

    「ブレーキのタイミングが早い。なので、停止線との間に1mほど間が空いている。もっと詰めていい。右折時は中央線にもっと寄ってください。あとは路上に出たらもう少しスピード出すようにしてください」

    との事だった。
    え、それって大丈夫だったってこと?

    と思いながら、私は4番目だったので5番目の人の運転も後部座席で見ることになった。
    5番目の人は外国籍で、かなりゆっくりスピードで走り出した。10キロ出てるかな?ぐらいで試験官にはもっとスピードを出すように促されていた。てんぱっていたのか、ウインカーの出し忘れ、カクンを越えてガクンなブレーキ、目視の確認忘れ……

    こ、こわかった。
    心配になった。
    これは大丈夫なんだろうか???

    5番目の人の試験も終わると、学校のロビーで実技の合格発表を待った。

    結果は無事合格くり~~!!!

    受験者全員が受かっていたと思う。
    学科試験の案内があり、場所を移動した。

    試験時間は30分くらいだったと思う。
    早起きの成果もあってか解いている間にイケそうな手ごたえだった。

    そして!!
    こちらの結果も無事合格だったくり~~~!!!

    安心したらとてつもない空腹がやってきて、もううっきうきで食堂に向かった。
    その日は豚骨ラーメンでライスもお願いしてしまった!
    久しぶりの心安らかな食事だった。

    しかし、私はこの後待ち受ける授業に脳が震えるのをまだわかっていなかった……。

    ではでは、次回に続く。


     
     
    やりたいことをやるしかない。 結局辿り着くのはそこなのかもしれないな。 逆にちゃんとしてるっぽい選択肢は寄り道なのかもしれない。

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