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Photo bychoro2020

『ふりかえるとよみがえる』 # 毎週ショートショートnote

    毎日この時間になると、母は私を連れ出した。
    幼い私を背負い、ゆっくり歩いた。
    自分の歩みに合わせて、時の流れも緩やかになると信じているかのように。
    この時だけ、母は少し優しくなる。
    微かに鼻歌の聞こえることもあった。
    厳格な父を支えるために家事をこなし、唯一気の抜ける時間帯だったのだろう。

    行き先は、いつも近くの河原。 
    走り回る子供たちの声が聞こえる。
    ボールの弾む音。
    犬の鳴き声。
    母は私に語ってくれた。
    遠くの山の向こうに沈む夕日の美しさを。
    その姿を映した川面のきらめきを。
    この世界には、こんなに綺麗なものがある。
    どんな時にも、忘れてはいけない。

    帰ろうとする母の背中でなお、私はその方向に振り向き続けた。
    夕日を語る母の気持ち。
    その時の私には、まだ理解することができなかった。

    時がたち、あの頃の母の歳も既に通り越した。
    今でも、あの夕日は、振り向けば鮮やかに蘇る。
    そして、今ならわかる。
    盲目の子を背負い、夕日の美しさを語る母の気持ちが。


    『本作品はamazon kindleで出版される410字の毎週ショートショート~一周年記念~ へ掲載される事についてたらはかにさんと合意済です』

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    普通の人、というよりは普通以下、中の下くらいの人です。社会的にも人間的にも、それくらい。でも、生活レベルは中の上(当家比による)。 クリエーターとかITの人ではありません。ただのオヤジです。還暦はクリアしています。 作り話のタイトルは『 』です。 俳句初心者。俳号は碧萃生。

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