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水も頼めなかった私が、英語ほぼゼロでアメリカに6年暮らして思うこと


新婚旅行に行ったときのこと。

レストランで、水を頼みたかったんです。

ただ、それだけ。

なのに英語が出てこない。

「Water, please.」でいいはずなのに、いざ店員さんを前にすると妙に緊張してしまって、夫と二人で

「今? 今言う?」

みたいな空気になりながら、なんとか頼んだ記憶があります。

(今思えば、水くらいで何をそんなに緊張していたんだろう。笑)

そんな私が、その後アメリカで6年間暮らすことになりました。


渡米したばかりの頃も、もちろん英語はほぼ話せません。

スーパーのレジで何かを聞かれて、

「……?」

もう一度言われても分からない。

最終的に分かったのは、

「Plastic bag?」

袋いる?

という、とても簡単な質問でした。

plastic bagすら聞き取れない。

アメリカ生活、大丈夫かな。

そんなスタートでした。

最初の1年は、日本人向けの英語教室のようなESLにも通っていました。

英語ができないなりに、私なりに頑張っていたと思います。

ところが1年目が終わる頃、一時帰国で2か月ほど日本に滞在しました。

そこで突然、

「英語、いらないじゃん」

と思ってしまったんです(笑)。

アメリカにいると、自分は何もできない人みたいでした。

相手の言っていることは分からないし、自分の言いたいことも伝えられない。

通訳をお願いしないとできないこともある。

大人なのに、英語を話す子どもよりできないような感覚でした。

でも、日本に帰れば病院にも自分で行ける。

役所の手続きだってできる。

誰かに通訳してもらわなくても、全部自分でできる。

「私、大人じゃん」

当たり前なんですけど(笑)。

日本にいる間に、英語を勉強する気持ちがすっかり薄れてしまって、アメリカに戻ってからはESLにも通わなくなりました。

「もう英語、いいや」

その頃は本当にそんな感じでした。

それでも、アメリカで生活している以上、英語を使わないわけにはいきません。

2年目の半ばから後半くらいだったと思います。

レストランで店員さんが説明してくれた「今日のおすすめ」が、なんとなく聞き取れ、理解できたことがありました。


全部ではありません。

でも、

「あ、今この料理をおすすめしてるんだ」

と分かった。

昨日までただの音に近かったものが、少し意味のある言葉として聞こえた。

それがすごくうれしかったのを覚えています。

レストランのメニューも、最初は苦手でした。

全部大文字で書かれていると、知っている単語まで急に読めなくなる。

「……これ何だっけ?」

となる不思議。

英語が苦手な友人が、日本食レストランの英語メニューをGoogle翻訳で読みながら注文していたこともあって、

「あ、私だけじゃないんだ」

と安心したこともあります。

3年目以降、少しずつ私の姿勢も変わっていきました。

最初は、

「間違っていたら恥ずかしい」

「変な英語だと思われたらどうしよう」

そんな気持ちが強くて、伝わらなければ諦めることもありました。

でも、暮らしが長くなるにつれて、英語を使わなければいけない場面も少しずつ増えていきました。

聞きたいことは聞かないと困るし、伝えたいことは伝わらないと終わらない。

そのうち、

「もういいや。通じるまで言おう」

と思うことが増えていきました。

文法が合っているかは分からない。

単語の順番も怪しい。

伝わらなければ別の単語で言ってみる。

それでもダメなら身振り手振り。

(たぶん英語よりジェスチャーのほうが働いていた日もある。)

帰国する頃には、病院、学校、美容院、電話、個人売買のやり取りまで、自分で英語でするようになっていました。


あんなに読みづらかった大文字のメニューにも、いつの間にか抵抗がなくなっていました。

もちろん、英語がペラペラになったわけではありません。

聞き取れないこともあるし、言いたい言葉が出てこないこともある。

でも6年間で一番変わったのは、英語力そのものより、

「間違っても、とりあえず伝えてみる」

と思えるようになったことだった気がします。

新婚旅行では水を頼むだけで緊張していた私が、数年後には英語で電話までしている。

途中では「もう英語なんていいや」と勉強することをやめた時期もありました。

それでも、生活の中で必要になったことを一つずつやっていたら、気づけばできることが増えていました。

英語が得意になった、というより。

英語を間違えることが、前ほど怖くなくなった。

英語ほぼゼロで始まったアメリカ生活。

私の場合は、こんな6年間でした。

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