【高島回顧録】釣道具の話(6)磯靴
磯へ上がって釣るにあたり、一番先に必要だったのは磯靴。
デコボコがひどい磯では、ゴム底の動きやすい靴では滑ったり曲がったり、足下に気遣って釣りに集中できません。釣れないだけならマシで、どうかするとケガをしてしまいます。
さっそく釣り具店へ買いに走ったのはスパイクシューズ。
しかし、一口に磯靴といっても価格はピンキリ、また仕様もまちまち。
まず、ゴム長か短靴か。潮を被って強いのはゴム長。磯際で釣るときには、圧倒的に有利になる反面、(とりわけ夏は)暑い。ダイワやがまかつのゴム長でも、数年の使用でゴムが劣化して穴があきます。先輩たちは、その穴にシューガムなどの樹脂接着剤で補修しながら使っていました。
それを見て私も真似。ただし有名処は高いので、底がスパイクになっている安価な奴を選んで。
これが癖者。ソックスを履くのでゴムの甲から上は良いのですが、ソール、表底のスパイクを打ったゴム部が軟らかすぎて、磯を歩くとスパイクの腰が曲がって折れる。コンニャクを踏んでいるような、すなわち歩き心地がグニャグニャという感じで、すこぶる気持ち悪い。(笑)
やはりダイワやシマノ、がまかつには一日の長があるもの。ブランドの信頼は信じるに値するものと思いを正し、2万円を超えるダイワの「ベリピタ」システムを購入。
スパイクには、大きく分けて2種の底仕様がありました。
一つは(腰がしっかりした)スパイクピンが打ち込んである底。直径1mmほどの金属ピンが、ソールのデザインに合わせてビッシリと植え付けてあるもので、歩けば「カツカツ」と金属が触れる音が聞こえます。
いま一つは、フエルトスパイクと呼ばれるもので、底全面にフエルトが貼ってあり、そのフエルトへ規則的に多数の金属ピンが埋め込んであるソール。
渓流で毛鈎釣りに没頭していた当時、このフエルト底を愛用。コケの生えた岩でも滑りにくく、沢歩きや岩へずりには威力を発揮しました。そこで磯でもコレコレとばかりに──。
しかし渓流と磯では勝手が違います。たしかに磯でも海苔が貼り付いていたり、ツルツルの堆積岩や石灰岩の岩肌もあり、フエルト底が優位かと思ったのですが、これが意外と滑る。岩海苔に限っては、ほぼ無意味。
さらにデメリットが2つ。フエルトが潮を含んで、水道水で洗浄しても潮は抜けきらないので、まもなくフエルトは海水の腐敗臭は発するようになって、それはもうクルマの中が地獄絵。(笑)
一番困ったのは、屈伸を繰り返す使用で、底を貼り付けているベルクロ、文字通り「ベリッ」と剥がして「ピタッ」と貼り付ける「ベリピタ」の爪先に剥離が起こりました。
前下がりの磯際にあって真剣に釣っていて、靴の爪先が磯の凹凸に引っ掛かったら、ほとんど目の前の海へダイブするだけ。おっそろしい。
それでも高い靴でした。捨てるにはもったいなくて、強力な接着剤で爪先のソールが剥がれないように固定しましたが、フエルトスパイクにも懲りていたので、あっさり買い替え。
今度はピンスパイク、スニーカータイプの紐靴。陸をあるくと金属の音がしますが、磯の上では思いの侭に動けます。ただしFRPの船床は滑ります。
現在の靴が、スパイクにして3代目。
爪先や踝は硬質樹脂が埋め込んであって足を護ってくれます。表底はゴムと金属ピンだけで、靴の本体はメッシュの樹脂なので、陸に帰ったら水道水で流せば潮抜きも(少なくともフエルトより)簡単。
注意一秒ケガ一生。磯から落ちたお話は、また別の機会に。(;´Д`)

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タです。メンズファッションの創生期にVANショップとして、アイビーファッションの真ん中を歩んできました。デフレファッション、ファストファッションが主流になって久しいこの業界で生き残る本物の男ファッションとは何だろうか。たんなる昔話ではなく、温故知新の傍らでnoteを綴ってみます。高島のヒラマサカゴ釣り、ヒストリックカー道楽も。
