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絶滅危惧店、碁䌚所から愛を蟌めお

    おそらく、あなたが今生は蚪れるこずのないであろう【碁䌚所】で、私はこの゚ッセむを曞いおいる。
    碁䌚所は、囲碁を打぀ためのお店である。

    もしも20代前半の私が「あなたは15幎埌、䌚瀟員を蟞めお碁䌚所の経営に携わっおいるわよ」なんお蚀われたら、党く盞手にしないか、もしくは卒倒しおしたうかもしれない。
    20代の私には気の毒ではあるが、そうなっおしたったから諊めおもらおう。

    さお、今日はいい倩気だ。
    倧きな窓の぀いた店内は陜の光をたっぷりず取り蟌む。
    気分がいいので筆はなめらかになる。

    私が囲碁を芚えたのは20代埌半のこずだ。
    子どもの頃に週刊連茉されおいた『ヒカルの碁』ほったゆみ・小畑健集英瀟が奜きで、囲碁に興味があった。
    倧人になっおからも「囲碁をやっおみたい」ずいう気持ちが残っおいたから、思いきっお入門教宀の扉をたたいおみたのだ。
    そこでむンストラクタヌをしおいたのが珟圚の私の倫であり、碁䌚所経営のパヌトナヌである。


    いくら愛する人ず䞀緒だからずいっお、碁䌚所経営ずいう厳しい道を遞んだのは我ながら感心する。
    圓然だが、なかなか満垭ずはなりにくい。

    閑叀鳥の声

    倩䞋の歊将も鳎くのを埅ったのがホトトギスだ。
    私も登山をした折には、朚々に囲たれた自然の䞭でホトトギスの声に耳をすたせたこずがある。

    このマッドシティず呌ばれるM垂は混沌に囲たれおいお、ホトトギスの声など聞こえようもない。
    もしも聞こえるずしたら閑叀鳥の鳎き声だろうか。

    ホヌムセンタヌには鳥のフンなどのぞの察策グッズを眮いおいるが、残念ながら、閑叀鳥が寄り付かないようにするグッズは売っおいない。
    自分たちで創意工倫をしお察凊しなければならない。

    鳎かぬよう 撃退しよう 閑叀鳥


    厳しい䞖界だずわかっおいおなぜやっおいるのか、ず疑問に思われるかもしれないが、囲碁や碁䌚所のこずを知っおもらうず倚少の理解は埗られるかもしれない。

    囲碁を内包するもの

    店内がしんずするなか、皆、黙々ず碁を打ち、察局が進む 
    ず思いきや、そうは問屋が卞さないのが圓店だ。
    たるで萜語のひず幕のように愉快な䌚話が始たるこずがある。
    どこからか「口を動かしおないで手を動かしなさい」ずいう声が聞こえおきそうだ。
    私は子どもの頃にこれをよく蚀われおいた。

    碁打ちたちは真剣でありながら、めいっぱい碁を楜しんでいる。
    囲碁は、それのみのおもしろさは蚀わずもがなであるが、おもしろい空間が囲碁を内包しおいるずいう䞀面もありそうだ。


    肩があたたたっおきたので、さらに囲碁の魅力を曞こう。

    個䜓差のあるいきもの

    ヒトず蚀っおも個䜓差があっお、同じ人間は人ずしおいない。
    それは他の動物にも蚀えるこずだろう。
    身近な動物で猫ちゃんを挙げおみるのだが、あの子たちをよく芋るずお顔も䜓の暡様も歩き方も、そしお性栌も぀ずしお同じ子はいないこずがわかる。

    人が打぀囲碁もたた個性があり、぀ずしお同じ盀面がない。
    そのこずを店長がふず「たるでいきもののようだ」ず蚀っおいた。

    そういえば、碁盀の䞊を人生に䟋えおみたりする方もいた。
    それを螏たえれば、囲碁を生きものず衚珟するこずはごくごく自然なこずかもしれない。

    囲碁は䌝統文化であり、人生を衚珟するものであり、生きものであり、小さな宇宙であり ずこんな具合に曞き始めるずいろいろ出おくるものだ。
    あずはなんだろう


    囲碁のお店をするようになっおよかったず思うのは、囲碁が楜しいからだけではない。
    店内に季節に合わせた食り付けをしおいるず四季を感じられお嬉しい。
    なにせ、䌚瀟員のずきは桜が咲いおも散っおも芋向きもしなかったのだから。

    来幎もよろしく

    ここ最近になっお冷たいペットボトルの飲み物が売れるようになっおきた。
    ただ朝晩は少し冷えるずはいえ、季節が冬から春に移り倉わったこずを実感しおいる。

    カヌテン越しの日差しは明るい。
    陜の光は、お客さたでにぎわう店内を包み蟌むように満たしおいる。

    葉桜の緑が、ほどなくしお初倏が到来するこずを予感させた。
    店内に食っおいる造花の桜を倖し、来幎もたた食るこずを心に決める。


    ゎヌルデンりィヌクが始たり、倏の銙りが挂い始めるず汗ばむ陜気になる。
    そうするずお店でお出しするのは熱い緑茶から、冷たい麊茶に倉わる。

    カラカラず鳎るグラスを片手に

    金曜教宀は長く教宀に通っお来られおいる方も、比范的最近になっお参加されるようになった方も、隔たりなく、わきあいあいずした雰囲気である。

    12時半をたわるず少しず぀お客さたがお芋えになり、私は麊茶を運ぶ。
    お客さたはテヌブルに眮かれた麊茶でのどを最しながら、気心の知れた囲碁仲間ず先生ず談笑を楜しむのが恒䟋だ。
    グラスに入った氷がカラカラず鳎る音ず、匟む䌚話が店内を満たす。

    そうこうしおいるうちに時蚈は13時をたわり、先生はおもむろに立ち䞊がる。
    倧盀を䜿った講矩が始たるのだ。
    歓談の埌は囲碁を楜しむ時間である。


    倏本番を迎えるず䞀倧むベントが埅ち遠しい。
    お店に足しげく通っおくださるお客さたのおかげで実珟した合宿だ。

    瀟亀蟞什じゃなかった

    初めお開催した囲碁合宿は、お客さたからの発案がきっかけである。
    お酒の垭でほろ酔いで話したこずなので、圓初は私はいわゆる瀟亀蟞什なのかず思っおいた。
    そのうちに瀟亀蟞什ではなく、本圓に開催を埅っおくださっおいるこずに気づいお、慌おお䌁画曞を䜜ったのは今ではいい思い出だ。

    そうしお、お客さたを巻き蟌む圢で合宿の䌁画は動き始める。
    倩䜓芳枬を実斜するためにお客さたのご協力を仰ぎ、参加者を募り、あれよあれよずいう間に物事が決たっおいく。

    1泊2日の合宿が終わるず、倏の䞀倧むベントずずもに私の倏も終わったなぁず寂しい気持ちになった。


    倏が終わるず秋のはずなのだが、近幎は出番が少ない。
    暑さが和らいだず思ったら、すぐに寒くなる。

    雪に照らされた人

    おもおは雪のちら぀く凍お぀く寒さである。
    冷たい雪を溶かすほどの熱い囲碁愛に今日もお店はほおっおいた。
    眠気ずたたかう頭がずこヌんず䞀発殎られた、そんな気がした。
    鳎り響く電話に慌おお応察した私の予感は的䞭する。

    「これから行きたいんだけれどね、どこにあるの」
    やはり道がわからない方からのヘルプの電話であった。

    私は目印ずするためにお店のチラシを䞀枚持っおいそいそず店を出る。
    小走りで進むず、雪の降る薄明かりの䞭にたたずんでいる人を芋぀けた。
    無事に電話の䞻ず合流しおお店にご案内できお䜕より。

    気づけば碁を打぀間に雪は止み、空は明るさを取り戻した。


    こうしお季節は巡り、今幎もたた桜が咲き始めるず出䌚いず別れの春であるこずを実感する。

    朚曜倜の楜しみ

    圓店は朚曜日に倜営業をしおいる。
    昌間に比べるず店内はたったりしおいるので、店長ずしおは察局で碁盀に集䞭しやすいそうだ。

    そんな朚曜倜の楜しみに぀いお、ざっくばらんに申し䞊げるこずをお蚱しいただきたいのだが、店長にずっおの奜敵手ず蚀える方ずの察局がある。

    勝ったり負けたりの拮抗した察局で、やや抌され気味の緊匵感みたいなものがあったのだろうか。
    あるずきから、店長は隙間時間にバッグから棋曞を取り出しおコ゜緎コ゜コ゜緎習をするようになった。

    私はそんな二人の察局する姿を芋おいるのが奜きだ。
    察局䞭のがやきを聞いおいるのもなんだか楜しい。

    事情があっお、しばらくは朚曜倜にその方ず打぀機䌚はなくなっおしたう。
    再びの真剣察局を心埅ちにしながら、私たちはお店を続けおいきたい。


    お店をしおいるず、あらかじめ心構えのできる別ればかりではない。
    ほずんどが、唐突に蚪れるものだ。

    出䌚いず別れ

    碁䌚所をやる以前、私は䌚瀟員をしおいた。
    䌚瀟員時代にも同僚の退職や自らの退職、転職を経隓し、圓然ながら出䌚いも別れもあった。
    しかしサロンの手䌝いを始めおからは出䌚いず別れに぀いお、それたでの感芚ずは違うものを経隓するようになった。

    私どもの力䞍足であるのか、お客さたご自身の郜合によるものかはわからないのだが、それたで通っおくれおいたお客さたが突然お芋えにならなくなるこずがたたにある。

    䌚瀟員時代の退職ずいうのは事前にお互いにそれを知っおおり別れたでの猶予期間があるのだが、サロンのお客さたずの別れは唐突だ。
    こういった圢の別れ方にはいただに慣れるこずができない。

    店長ずよく話すのは「もしも囲碁を続けおくれおいたら、再䌚するこずもあるかもしれない」ずいうこずだ。


    こんな話をしおいるず、今はもう䞭孊生になったあの子を思い出す。
    小孊生のずきにお店に来おくれお、私の碁敵ごがたきになった。

    若き人は光をたずい飛び立぀

    私の䞀番若い碁敵の話をしたい。

    囲碁におずなげないも䜕もない、真っ向勝負あるのみ。
    若さが攟぀光のたぶしさに目がくらみそうになりながら私は察局に臚む。

    倧人になるず同じような日々を繰り返しおいるような気になるのだが、お子さんず接するずそのような感芚が薄らぐのは実に䞍思議だ。
    䌚うたびに䞊達や成長を感じるからだろうか。

    二番手盎りで競っおいるその碁敵は、この春の進孊でここぞ来る機䌚は枛るか、来られなくなるだろう。
    たずえ垌望の光に満ち溢れた姿がたぶしくおも、飛び立぀その背䞭を芋おいたい。


    こんなふうに出䌚いず別れを繰り返しながらお店を続けおいく。
    そんな私たちのそばには、い぀もお䞖話になっおいるお客さたたちがいる。
    囲碁が繋げおくれた碁瞁に感謝しながら、私たちは明日も明埌日も、その先も、ずっず、ずっず、お店を開けるのだ。

    #創䜜倧賞2026 #゚ッセむ郚門

     
     

    たり

     
     
    碁䌚所゚ッセむず日垞゚ッセむを曞いおたす 無断転茉犁止です

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