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回想録|『VS嵐』を 毎週見ていたあの頃

    〜 manoの Life Goes On58 〜嵐を見ていた木曜日の話〜


    「大変だ!manoさん、もう木曜日だよ!」


    あの頃、木曜19時は『VS嵐』の放映時間だった。


    役職定年を待ち望んでいたかのように、
    夫は、毎日残業ゼロで帰宅するようになった。

    再雇用期間に入ってからは、
    さらに、
    「自分時間を最優先」に決めたのだろう。
    残業ゼロの毎日に、ニコニコしていた。
    再雇用期間でお給料が減っても、
    夫はそんなことは全く気にならなかったみたいだ。

    「収入の少ない年金生活になる前の準備期間だよ」って
    ひょうひょうと自分時間を楽しむ夫。
    趣味に没頭したり、スマホゲームのツムツムをしたり、
    毎日、上機嫌だった。
    気管支喘息の持病もあり、体も弱々な夫の生活は規則正しい。
    朝7時過ぎに起きて、
    自分で焙煎した珈琲豆を挽いて、私の分まで淹れて、
    朝食を食べ、身支度をして、
    7時50分には、自宅からわずか5分の会社に出勤する。
    昼休みには自宅に戻って、昼食を食べる。
    12時55分にまた出勤。
    17時に会社を出て、17時5分には帰宅するウィークデー。

    かたや、
    フリーランスの私の時間割は、不規則極まりなく、
    外仕事の無い時は、ずっと家で制作と雑事をしているけれど、
    いったん外出したら、取材・営業・集金・納品に追われ、
    何時に帰るかわからない状態だった。

    そんなこんなで、規則正しい夫の方が、
    夕食を作ることが自然と多くなっていた。

    外仕事の時は、夕方には夫に連絡をする。
    「7時ごろに帰るよぉ」
    夫からの返事は
    「わかった。ご飯炊いとくね。
     なんかテキトーに作っておくよ」

    お酒を一切飲めない夫の食欲は食べ物に全振りだ。
    食べたいものを食べるためには料理だって厭わない。
    ちょっとよさげな調味料を買ったり、
    週末に道の駅やスーパーで買った旬の食材を買っては、
    楽しげに調理してた。

    楽しげな夫との夕食を共にしたくて、
    私も、だいたい7時頃には帰宅するようにしていた。
    一緒に食事をするという夫婦の醍醐味を逃したくないからだった。

    子育ても卒業した私たち夫婦の一番イベントは
    『今日、何食べる?」だった。
    毎日、今日何食べるかの大問題に真剣に取り組む。

    楽しかった。
    毎日毎日が、妙に楽しかった。

    そんな毎日に
    一週間ごとの区切りを知らせてくれる番組が
    いつのまにかの『VS嵐』だったんだ。

    不規則な私だけど、
    たぶん、木曜19時は在宅率が高かったんだろうと思う。

    中高年アルアルのひとつで、
    私たち夫婦も、アイドルの顔の見分けがつかない世代。
    他のアイドルは名前も覚えられなかったけど、
    嵐くらいは、
    さすがにメンバー全員それぞれの顔と名前を覚えられたものだった。
    ふたりとも別にジャニーズファンだったわけじゃない。
    ただ、なんとなくTVをつけてたら、
    ふたりして、いつのまにか毎週見てたという感じ。
    嵐メンバーとゲストチームがお金かけたセットで毎週競い合うゲームバラエティ。

    平和な日本ならではのバラエティに
    するりと馴染んだ平和な中高年夫婦の夕食時。

    ビュンビュンと流れる年月の中、

    「わー! こないだ見たと思ったのに、また木曜日だよ」と夫がいえば、
    「わー! たいへんだたいへんだ。また1週間経っちゃったよ」と私が答える。

    『VS嵐』はそんな番組だった。



    ねぇ、パパ。
    今日で、嵐が活動終了だってさ。

    ねぇ、パパ。
    あの頃、毎日が平和で楽しかったね。

    ねぇ、パパ。
    今日、何食べよっか?

    ねぇ、パパ。
    答えてよ。ねぇ…。



    それではまた。
    嵐の活動終了のニュースを見てたら、
    思い出と涙がボロボロ溢れ出てしまいました。
    そんな思い出話を、
    今日も読んでくださって、ありがとうございました。
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    良かったら、よろしくお願い申し上げます。


    2026年 5月31日 記

     
     
    1962年高知出身 兵庫在住 夫との出会いは1984年。2022年1月死別。夫の遺してくれた古い家に姉妹猫2匹と暮らしてます。 Life goes on...それでも続く日々の中で思うことや 過去書き溜めたものを少しずつ書いていきたいと思います。 スキ、コメント、フォロー大歓迎。

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