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Photo byjotm5

まばゆく解かれた春

    ゆえにまにまに

    花びらを
    野に散りばめられた
    日だまりの欠片たちを
    手のひらの上
    ぽつぽつと灯らせて

    陽光に
    なごむ芽吹きが
    ぱちぱちと開いたら
    その束の間の瞬きを
    空へと響かせてゆく

    黄金色に
    咲き返る
    野原のひかりを
    弾ける油の調べにのせて

    サクサクと
    噛みしめるたび
    まばゆく解かれた春が
    ゆるやかに
    体の芯を巡りだす

    𖥧 𖥧.⋆。

    学生の頃、仲良くしていた友人達とたんぽぽの天ぷらを揚げた日の事を、春になると思い出す。まだ少し冷たい土にしゃがみこんで、黄色い花をモリモリと摘み、揚げたてを頬張った。うっ…苦っ!と面白がって口に運んだそれは、意外にもほのかに甘く、衣の軽やかな香ばしさの奥に土と陽だまりの匂いが微かに残っていた。ほんの少しの苦みさえも、冬を越えてきた証のようで、体の奥にやさしく染みていく気がした。

    野に芽吹くものを食べると、冬の間眠っていた体がゆっくり目を覚ますんだよと教えてくれたのは、「早くお母さんになりたい」を口癖にしていた、料理上手で世話好きな本当にお母さんみたいな子だった。天ぷら係は交代制だったけれど、みんなべちょっとやらかすから、気がつけば殆どをその子がサクサクと揚げてくれていた。

    たんぽぽや春の菜には、特別な薬のような力があるわけではないのかもしれない。それでも、「良薬口に苦し」とほろ苦さを少しずつ体に取り入れることで、滞っていたものがほどけていくような、そんな感覚がある。温かい天ぷらやおひたしにして口に運ぶと、季節の変わり目に辛い冷えがちな体やだるさ、そして揺らぎやすい心、月経前の重さやむくみ等、女性ならではの細やかで避けられない不調に静かに寄り添ってくれる気がする。

    興味津々で食べた、初めてのたんぽぽの味はただの思い出ではなくて、季節と共に自分を整える為の、小さな知恵として今も心の片隅にしっかりと残っている。


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