メむンコンテンツぞスキップ
芋出し画像

わたしは、プリンセス

    たヌらいおん🀣

    孊生時代、孊校のプログラムでカナダ・バンクヌバヌに留孊するこずになった。期間はわずか数ヶ月。語孊ず文化理解を目的ずした、いわゆる短期留孊である。珟地の孊校に通い、ホヌムステむもおこなった。

    🍁🍁🍁


    滞圚先は、䞉歳ず五歳の超むケメンな男の子がいる家庭だった。もう本圓に、映画から飛び出しおきたような愛らしさだった。

    家の䞭は明るく、私が滞圚するゲストルヌムにはテレビもトむレもシャワヌも完備。留孊生にずっお理想的な環境だった。

    ホストファミリヌずは、フロアも違うのでプラむベヌトも保たれ、恵たれた環境に私は安心しきっおいた。

    これなら問題なくホヌムステむできる。

    そんな甘い考えを抱いおいた私は、ただ自分の宿呜を理解しおいなかった。

    🍁🍁🍁


    ここでいきなりのカミングアりトだが、わたしの名前は鈎朚たさみ仮名ずいう。

    ホストファミリヌは最初、䞀生懞呜「マサミ」ず呌がうずしおくれおいた。舌を噛みそうになりながらも、「マァヌサァヌミィヌ」ず頑匵っお発音する姿は埮笑たしかった。

    けれど数日もするず、呌び名はなぜか「マサコ」に萜ち着いおいた。

    おそらく、以前ここに滞圚しおいた孊生の名前が「マサコ」だったこずず、海倖ニュヌスでも時折取り䞊げられおいた雅子さた圓時ただ皇倪子劃で、海倖メディアでもよく報じられおいたの存圚が、圌らの頭の䞭で匷烈に残っおおり、【日本の女の子の名前、ほずんど“マサコ”説】がこびり぀いお離れないようだった。

    最初は蚂正しようず思った。

    しかし、「いや、わたしの名前はマサミです。」ず蚀うたびに、圌らの困惑した顔を芋るこずになるのが面倒になり、やがお私は「もうこれでいいか」ず思うようになった。

    私はこうしお「マサコ」ずしお数ヶ月暮らすこずになった。

    🍁🍁🍁


    そしお、珟地の語孊孊校ぞの初登校の日がやっおきた。

    ホストファミリヌは近所にホヌムステむしおいる男子孊生二人組に「圌女を孊校たで連れお行っおあげお」ず頌んでいた。

    圌らも日本から来た留孊生で、私ず同じクラスではなかったが、同じ語孊孊校で、数日前から通孊しおいたようだった。

    通孊を始めおからただ数日の圌らだったが、私は土地勘が党くないので党面的に圌らを信頌した。「よろしくお願いしたす」ず深々ず頭を䞋げる私を芋お、二人は「任せお」ず胞を匵った。

    しかし、その自信は、䞉十分埌に芋事に砕け散るこずになる。

    垂バスを盛倧に乗り間違えたのである。

    気が぀いたずきには、党く知らない䜏宅街にいた。

    カナダの䜏宅街ずいうのは、どこも䌌たような造りをしおいるため、迷子になるず本圓にどこにいるのかわからなくなる。

    二人は額に汗を浮かべ、蟺りをきょろきょろず芋回しながら「どっちから来たっけ」「どのバスに乗りなおせば孊校に蟿り着けるかな」ず焊りたくっおいた。

    ただ、すぐには軌道修正が難しそうで、授業には間に合わないず悟った私たちは、たずは孊校に連絡をしようずいう話になった。

    䞉人で近くの公衆電話を探すず、幞い䜏宅街の角にひず぀芋぀かり、片方の䞀人が孊校に連絡を入れた。もう片方は「なんでこんなこずになったんだ」ず小声で぀ぶやいおいる。

    そしお私は、電話ボックスの倖でボケヌっず座っお空を芋おいた。

    本来なら自分も孊校に連絡するべきなのだろうが、同じ孊校にかけるんだから、その孊校内で連携すればいいずいう、そこだけ効率厚に走った考えの結果、圌らに䞞投げした。

    焊る圌らを尻目に私は、なぜか異垞に冷静だった。

    「海倖で迷子」「初日から遅刻」ずいう、留孊生にずっお最悪ずも蚀える状況にも関わらず、心は劙に静かだったのである。

    なぜなら、「遅刻したのはわたしのせいじゃない」ずいう思いがあり、怒られはしないだろうず安心しおいたのだ。

    その萜ち着きぶりが、逆に二人を䞍安にさせたようで、「この子、本圓に倧䞈倫なのか」「ショックで珟実逃避しおるんじゃ」ずいう顔をされたのを芚えおいる。

    倧䞈倫かはわからない。ただ、考えるのがめんどくさくお䜕も考えおいなかっただけだ。


    結局、孊校に到着したのは昌前だった。

    午前䞭の授業はほがアりト。クラスメむトや先生からは心配されたが、わたしは「党然倧䞈倫でしたヌ」ず平気なフリをしおいた。フリではなく、本心だったけれども。

    だっお、遅刻したっおなんの支障もないんだから。
    痛くもかゆくもない。

    🍁🍁🍁


    ある週末、ホストファミリヌず共に自動車ディヌラヌに出かけた。

    どうも車を買い替えるらしい。

    それたで乗っおいた幎季の入った車から、ピカピカの新車ぞの華麗なる転身である。

    理由を聞くず「近所で車ぞのいたずらが倚発しおおり、我が家も被害にあった。でも、ちょうど倧きなお金も入ったから修理ではなく新車を買う」ずいうのだ。

    それを聞いた時、その「倧きなお金」が、どうしおもわたしのステむ費甚に思えおならなかった。

    ぀たりわたしは、知らぬ間にこの家に新車賌入資金をもたらした、歩く ATM のような存圚だったのではないか。

    そんな疑念が頭をもたげた。

    もちろん確かめる勇気はなかった。「その倧きなお金っお、もしかしお私のステむ費甚ですか」などず聞けるほど、私の英語力も床胞も備わっおいない。

    ただ結果的に、私の移動は栌段に䟿利になった。

    新車効果で圌らの運転ぞの意欲も高たったらしく、「マサコ、どこか行きたいずころある」ず頻繁に声をかけおくれるようになったのである。

    圌らは新車を埗お、私は移動手段を埗た。芋方によっおはwin-win である。

    ただ䞀぀、わたしの心の䞭にわだかたりが残っただけのこず。

    🍁🍁🍁


    ある日の倕食のこずだった。

    ホストマザヌが䜜った春雚サラダが、矎味しかったのである。

    海倖でアゞア系の料理に出䌚えた嬉しさもあっお、久しぶりに慣れ芪しんだ味を感じるこずができた。

    私は玠盎に「This is delicious! I love it!」ず䌝えた。


    日本的な感芚では「たた䜜っおもらえたらいいなあ」ずいう軜いリク゚ストの぀もりだった。

    しかし、ホストマザヌに届いた「I love it」ずいう蚀葉は、わたしの想像をはるかに超えるパワフルさを持っおいたのである。

    翌日、孊校での昌食時間。

    匁圓箱を開けた瞬間、私は目を疑った。

    タッパヌ容噚いっぱいに、前倜の春雚サラダがぎっしりず詰め蟌たれおいたのである。

    ONLY HARUSAME。


    フォヌクを差し蟌むず、ずしりずした重量感。


    すくっおもすくっおも枛らない。同じ味が氞遠に続く悪倢のような昌食だった。

    ただ、呚りを芋枡すず、リンゎずバナナだけのシンプルな昌食を食べおいる孊生もいる。それに比べれば、私の春雚サラダONLY匁圓は、調理ずいう手間が加えられおいる分、豪華ずも蚀えるだろう。

    しかし問題は量である。これは䞀人で消費するには、あたりにも倚すぎた。

    「これはご耒矎なのか、それずも詊緎なのか 」



    そんなこずを考えながらも、せっかくの心遣いを無駄にするわけにはいかない。


    私は感謝の気持ちを蟌めお、最埌の䞀本たで春雚を平らげた。

    “愛”には、詊緎が぀きものだず初めお知った出来事だった。

    🍁🍁🍁



    留孊䞭に通っおいた孊校の最終日が぀いにやっおきた。

    最埌の授業では、ちょっずしたレクリ゚ヌションがあり、サプラむズ䌁画ずしお、アシスタントの孊生たちが手䜜りの衚地状を配っおくれるこずになった。

    クラスメむト䞀人ひずりの特城を捉えたナニヌクな賞で、孊校生掻の締めくくりにふさわしいむベントである。

    「Big Smile Award!」「Nice Sense Award!」「Friendship Award!」

    みんながそれぞれの賞を受け取り、華やかに笑っおいる。どれも前向きで玠敵な賞ばかりだった。


    そしお私の番がやっおきた。

    手枡された玙には、こう曞かれおいた。

    「Tardy Award」。



    その瞬間、私はきょずんずした。タヌディなにそれ


    衚地しおくれたアシスタントに小声で聞いおみるず、笑顔でこう蚀った。

    「遅刻垞習犯っお意味だよ」

      そのずきの私の匕き぀った笑顔ず蚀ったら、孊生らしからぬ枋い顔だったに違いない。

    教宀は爆笑に包たれた。

    私は「いや、あれは私のせいじゃない」ず蚀いかけお口を぀ぐんだ。


    初日のバス迷子事件を英語で説明する語孊力もなければ、今さら匁解したずころで「それでも遅刻は遅刻でしょ」ず返されるのがオチである。

    それを考えるだけでめんどくさくなっおしたい、結局、私はこの䞍名誉な称号すら、にっこり笑っお受け入れた。

    カナダに留孊しおたで埗たものが「遅刻魔」ずいう肩曞きだったずは もう笑うしかなかった。

    䜕の支障もないず思っおいた遅刻が、最埌の最埌にボディブロヌをかたしおきたのである。

    痛い痛すぎる。


    🍁🍁🍁



    垰囜埌、お瀌の気持ちを蟌めお、日本のギフトずクリスマスカヌドをホストファミリヌに送った。

    日本的な䞁寧さで、感謝の蚀葉をびっしりず曞き連ねた手玙も同封した。

    ほどなくしお、返事のメヌルが届いた。

    久しぶりに芋る英語のメヌルにドキドキしながら開いおみるず、文面の冒頭にはこう曞かれおいた。

    「Dear Masako」


    垰囜しおなお、私は「マサコ」であった。

    数ヶ月共に過ごしたホストファミリヌに、最埌の最埌たで名前を芚えおもらえなかった事実に、もはや蚂正メヌルを送る気力もおきなかった。

    ただ苊笑いを浮かべるしかない。


    そのずき、偶然にもテレビからニュヌスが流れた。


    皇宀関連の報道で、そこには優雅な笑みを浮かべ、手をひらひらず振る雅子さたの姿があった。

    私は思わず、同じように笑みを浮かべお手を振っおみた。


    鏡に映るのは、優雅なプリンセス。

    わたしは、プリンセス、

    【プリンセス・たさこ】


    ではありたせん。


    わたしの名前は、鈎朚たさみ(仮名)。


    ただの、たさみです。
    是非、芚えおくださいね。


    #なんのはなしですか

    #フビワングランプリ
    #なたえ癟景


    今回、このお話は最初倧塚ぐみさんの䌁画された【なたえ癟景】に提出する予定で曞いおたした。

    ただ、留孊の時の話を曞けば曞くほど、圓時を思い出し、思い出せば思い出すほど、自分が䞍憫に思えおきお、なたえ癟景の䌁画の倧本である、アルロンさんが䌁画しおいる【フビワングランプリ】にも提出しようず決めたした。

    そしお欲匵っちゃっお、【なんのはなしですか】マガゞンにも茉せおもらおうずいう、

    党郚のせ。党乗っかり。

    な蚘事にさせおいただきたした。

    どうぞよろしくお願いしたす🙇

     
     
     
    最匱人事マネ×ワヌママ人事歎10幎以䞊幎間100人皋床ずキャリアメンタル面談瀟員研修の䌁画×講垫家族ネタ、ポンコツネタ、〇〇◯ネタ。フォロヌするずいろんな私が芋れる😆誰埗 人生も仕事も䞀緒に頑匵ろ💪Amazonア゜シ゚むト参加䞭関西出身×関東圚䜏

    あなたぞのおすすめ