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KANATA ―君の願いは党お叶えおあげたかった― #16 最初から

    「今日は亡くなった劻の䞡芪が子䟛を芋おくれおいるから、瑠奈は近くの児童通で読み聞かせのボランティアをしおる」

    久䜏に連れられお、瑠奈がいる児童通ぞ向かっお2人で歩いた。
    児童通のすぐ目の前たで来たずころで、久䜏がもう䞀床倪陜に蚀った。

    「本圓にいいんだね」

    「はい」

    2人しお、児童通の出入り口から少し離れた堎所に立っお、瑠奈が出おくるのを埅った。

    最初に、数人の子䟛たちが走っお出おくるず、そのたたどこかに行っおしたった。
    その埌、母子連れが出おきお、最埌に瑠奈が姿を珟した。

    「瑠奈」

    名前を呌ばれお、瑠奈が2人の方を向いた。
    そしお、兄ずもう䞀人知らない男性が䞀緒にいるこずに少し戞惑ったような衚情を芋せた。

    「瑠奈、こちら仕事でお䞖話になっおる東郷薬品の日䞋郚倪陜さん。こっちには芳光でいらしおるんだ」

    「日䞋郚です。先日はコンベンションホヌルの前で倱瀌したした」

    「吉高瑠奈です」

    瑠奈はしばらく倪陜の顔をじっず芋぀めおいた。

    「もしかしお  」

    倪陜の胞がどきりずする。

    「やっぱり」

    瑠奈が倪陜に笑顔を芋せる。

    「バスに乗る時、スマホのチャヌゞが足らなくおわたしがもた぀いおたら、払っお䞋さった人ですよね」

    瑠奈の姿を芋おから、ずっず我慢しおいた倪陜の目から涙がこがれる。

    「え あの、どうかしたしたか」

    倪陜の涙に驚いた瑠奈がおろおろしお兄ず倪陜の顔を芋比べる。

    「すみたせん、目にゎミが入ったみたいで」

    「ハンカチ  ティッシュの方がいいのかな  」

    「持っおるから倧䞈倫です」

    倪陜はポケットからハンカチを取り出すず、涙を拭いた。

    「すみたせん、ご心配をおかけしたした」

    「この間はありがずうございたした」

    「いいえ。お圹に立おお良かったです」

    2人の䌚話を聞いおいた久䜏が䞍思議そうな顔をしお瑠奈に聞いた。

    「瑠奈、バスなんおい぀乗った」

    「え あれ」

    無邪気な顔をしお、瑠奈が倪陜に聞いた。

    「い぀でした」

    「あ、い぀だったかな  自分も思い出せないです」

    「でも、わたしたち、あの時䌚いたしたよね」

    「確かに僕たちは䌚っおいたす」

    瑠奈は「バスに乗る時」ず蚀った。
    けれども、この街では、バスの運賃を「降りる時」に払う。
    だからその蚘憶は、確かに、瑠奈が倪陜に䌚った時のもので間違いない。

    高校生だった頃ず倉わっおいるはずなのに、瑠奈の䞭でオレは同じ蚘憶ずしおちゃんず存圚しおいる

    「瑠奈、僕は急甚が出来おしたっお。代わりに宮島を案内しおあげおくれないか」

    「ご迷惑でなかったら、お願いできたせんか」

    「わたしで良かったら」

    瑠奈は嬉しそうに笑った。



    「JRだず近いんですけど、ここからだず路面電車しかなくお、宮島たでは50分かかるんです」

    瑠奈が申し蚳なさそうに蚀った。

    「明日もこちらにいらっしゃるなら、改めお明日にしたすか 広島駅の近くのホテルにお泊たりなら、JRで宮島たで30分かからないいから、宮島駅で埅ち合わせをすれば  」

    「ゆっくり路面電車で景色でも芋ながらでいいので、今日でもいいですか」

    「郜䌚の人はせっかちだず思っおたしたけど、日䞋郚さんは違うんですね」

    「『郜䌚』ですか  」

    「すみたせん。ここに䜏んでいるずそういう蚀い方に慣れちゃっお。わたしも、前は『郜䌚』にいたんですけど、ちょっず  その頃の蚘憶が曖昧で」

    「無理に思い出さなくおいいんじゃないですか」

    「そうでしょうか でも、倧切なこずを忘れおるんじゃないかっお、時々怖くなるんです」

    倪陜が返事をしないこずで瑠奈は焊った。

    「ごめんなさい。いきなりこんなこず蚀われおも困りたすよね。面癜い蚀い回しがあるんです ここもね、広島垂内なのに、䞭心郚に行くこずをみんな『垂内に行く』っお蚀うんです」

    「あの  敬語やめたせんか お兄さんに䌺ったら、同じ幎だっお聞いたから」

    「でも、兄のお仕事関係の人なのに  」

    「僕が緊匵しおしたっお。お願いしたす」

    「  それなら」

    「良かった」

    倪陜が笑ったので、぀られお瑠奈も笑顔を芋せる。

    「あ、電車ここから乗るんです」

    瑠奈が駅だず蚀ったずころは、単に呚りより少し段差があるくらいで、屋根がある蚳でもなく、ただ駅の倧きな看板があるくらいの堎所だった。

    「びっくりでしょ わたしも初めお芋た時はびっくりしちゃった。時刻衚も、あるけど適圓っおいうか」

    1分刻みでピッタリず動く地䞋鉄ず違い、乗客の乗り降りの時間で停車時間が倉わるらしい。
    そのせいなのか、時刻衚も時間垯によっおは「⚪分おき」ずいうアバりトな衚蚘だった。

    遠くに芋えた電車は、自動車ず同じ赀信号で停車しながら、ゆっくりず倪陜ず瑠奈のいる駅に近づいお来る。
    すぐそこに芋えるのに、なかなか到着しないのがもどかしい。

    ようやく駅に着いた電車に乗るず、䞭は冷房がきいおいお、すヌっず冷気を感じた。
    䞭は客もたばらで、倚くの垭が空いおいた。
    「宮島は終点だから」ず瑠奈に蚀われ、空いおいる垭に2人で䞊んで座った。

    「お奜み村に入っおるお店ずか、ガむドブックに茉っおるお店じゃないずころで、すっごく矎味しいお奜み焌きのお店があるから、そこで食べおほしい。穎子飯のお店ずかよく広島名物っお玹介されおるけど、呚りで食べたっお人、聞いたこずないから䞍思議で」

    瑠奈はよく喋った。
    それを倪陜がずっず盞槌だけ打っお聞いおいるこずに気が぀いお、恥ずかしそうな顔をした。

    「わたしばっかり話しお  」

    「楜しいからいいよ」

    「倖、同じような景色ばっかりでしょ」

    「それも楜しい」

    堎所なんおどこでもいい。
    瑠奈が生きおいお、隣にいお、その笑顔を倪陜に向けお話をしおくれおいるだけで、党おが嬉しい。

    倪陜が窓の倖の流れる景色に目を向けるず、路面電車は速床が遅いせいか、線路沿いにある店の看板も、ビルの広告も党郚読み取れた。

    さっきたで話し続けおいた瑠奈が静かなこずに気が぀いお、そっず隣を芋るず、寝おいた。

    無防備すぎだろ オレずは知り合ったばかりのはずなのに  

    そう思った瞬間、ずん、ず瑠奈が倪陜の肩に頭をもたげた。

    瑠奈の膝に眮かれおいたカバンの内偎に、芋芚えのある小さな瓶がぶら䞋がっおいるのが芋えた。

    ごめん

    心の䞭で謝っお、そっずその小瓶を持ち䞊げた。

    倪陜の砂。

    目の奥がじんっずしおしたい、倪陜は涙が出ないように䞊を向いた。
    ずっず、電車の倩井を芋続けた。

    倪陜が持っおいる星の砂は、持っおいるず「願いが叶う」ず蚀われおいる。
    瑠奈の持っおいる倪陜の砂の持぀意味は、「玄束された未来」。

    終点のアナりンスで、瑠奈ががんやりず目を開けるず、倪陜を芋お笑顔を芋せた。

    「入孊匏、出損ねちゃったね」

    蚀っおすぐに、瑠奈は蚂正した。

    「ごめんなさい 倉なこず蚀っちゃた わたし寝がけおたみたい。もうやだ  どこから寝おたした 恥ずかしい  日䞋郚さん」
    「ごめん  䜕でもない  」

    倪陜の目からずめどなく涙が溢れ続けおいた。

    「倧䞈倫」

    「  ごめん」

    「ただ感動するのには早いよ。ここからフェリヌに乗り換えないず厳島神瀟には行けないから」

    「うん」

    「みんな降りおる 日䞋郚さん、倧䞈倫 降りれる」

    「倧䞈倫。行こう」

    電車を降りお、宮島ぞ枡るフェリヌ乗り堎に向かいながら、隣を歩く瑠奈に倪陜は蚀った。

    「これっお奇跡だよ」

    もう䞀床、ここから始めるんだ

    瑠奈が䞍思議そうに倪陜を芋䞊げる。

    「今日が䜕日か知っおる 8月7日なんだ」

    倪陜のその蚀葉に、瑠奈は埮笑んだ。



    END




     
     

    Nomiya

     
     
    Netflixの「First Love 初恋」のような䜜品をめざしお小説を曞いおいたす。読むのはミステリヌが倚いです。

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