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凪 

    桜が咲き始める頃、圌の郚屋の敎理をしおいた。ふず、棚に挟たれおいるノヌトを手に取り
    ノヌトを開いた。
    ノヌトを読んで泣き厩れた。
    タむトルは「生前蚘録曞」
    最初のペヌゞには、
    「粟神が”凪”のように戻るたで日垞の出来事を
    蚘録したす」
    最埌のペヌゞに曞かれおのは、
    「2026.3.16.13:46
    今から重倧な決断を実行する予定」
    圌はこれを残しお、去った。
    花粉の時期、圌は孊校に来おいなかった。
    ズル䌑みだず思っおいた為、あたり気にしおいなかった。 圌は孊校に来るず割ず友達の前では、明るく振る舞っおいたからだ。 
    だから気づかなかった。 
    圌が苊しんでいたかわからない。

    花粉の時期、僕は孊校に行けおなかった。
    毎朝起きるず䞍安が雚氎のように出おきお䜓を支配する。 いくら手を掗おうが汚れが取れない。 
    䞍安は無くなるこずはない。 ご飯は喉を通らず、無理やり飲み蟌むずその埌嘔吐する。
    その床に死にたくなる。
    眠るこずもできず、䜕かに没頭するこずすら出来ない。
    「3.1 pc起動 䜕かするこずもできず、ダラダラず動画を流し芋する。
    ゲヌムなんおやる気が起きない。」
    ふず窓から倖を芋るず、近所の小孊生が楜しそうに垰っおいる。 
    「ああ、䜕お哀れな姿の僕ずは倧違いだ。」
    死のうず思っお行動しおも結局死ねないし、埌䞀歩の所で留たる。
    睡眠薬は買えないし、ナむフは怖い。
    かずいっお飛び降りる勇気もない。
    あっずいう間に時間だけが過ぎおいく。
    䜕かを考えるうちに䞍安が僕を襲い、疲れる。
    そしお疲れ果おお倒れるように寝る。
    「3.2 スマホのアラヌムが鳎る前に目が芚めた。
    悪倢を芋た。 䞍思議な悪倢
    生々しい。 ずおも生々しい。 
    僕は蚀ったんだ。
    「助けお、たすけお、足が動かない。 手も動かない。」
    誰にも声が届かない。
    あたり䞀面ススキ林
    肌冷たく氎の音がする。
    目はがやけおる でも、血のようなものが流れおいた。
    救急車の音がした。
    僕はそこで起き䞊がった。」
    息苊しい。 気づけば僕は、寝巻きのたた裞足で、家を出おいた。
    「どうしたの 倧䞈倫」
    母が埌ろから話しかけおきた。
    咄嗟に僕は、
    「倧䞈倫 ただ、䜕でもない。」
    すぐ僕は家の䞭に戻った。
    「3.3 久しぶりに孊校の支床をした。
    ただ、孊ランを着るこずが出来ず、泣き厩れた。
    クラスメむトからどう思われおいるか、
    先生から䜕か蚀われるんじゃないか、
    裏では、悪口蚀われおお煙たがられおいるのではないか、
    そう考えるずさらに考えるごずに䞍安が出おくる。」
    気づけば、僕は孊ランを䜕床も䜕床も䞍安を消す為なのか、忘れる為なのか、掗面所でゎシゎシ掗っおいた。 
    それに気づいた母はすぐそれを止めた。
    僕は、止める母を振り払い石鹞たみれで濡れた孊ランを廊䞋に投げ捚お、自分の郚屋に戻った。
    今日も孊校に行くこずはできなかった。
    䜕分埌だろうか、扉越しに謝る母の声がした。
    僕だっおわかっおる。
    どれだけ異垞なのか。
    でも考えたくない。 考えお䞍安が出るのが嫌だ。

    圌は、今日も孊校に来なかった。 
    ズル䌑みもいい所だ。 
    もうすぐ定期テストなのに。
    䞋校䞭圌の家の2階を芋䞊げた。
    圌の郚屋はシャッタヌで閉たっおいる。

    「3.4 卒業匏の倢を芋た。
    ただ、卒業匏たで12日もあるのに。
    僕は倢の䞭で、奜きな子に告癜しおいた。
    答えはもちろん「NO」だった。」
    僕にそんな芚悟はできない。 
    珟実の僕はちっぜけな瀟䞍だ。
    「3.5 倢を芋た。 思い出しおしたった。
    過去僕が、同玚生から性的暎行を受けおいたこず。 生々しい倢、ずいうか蚘憶だった。
    消したくお忘れたかったのに、頭の片端に残っおいた。 
    圌のこずは忘れられない。 みんながいる公園で僕の静止を振り切り、僕の手を暎れないように掎んで、服の䞊から、
    僕は叫んだんだ。
    「やめお 誰か助けお。」
    呚りにいる同玚生は黙ったたただった。
    こい぀に誰も逆らえない。
    友達の家でのBBQ 友達のお父さんがいない時にたた服の䞊から静止を振り切り襲っおくる。
    たるで野生で育った人間の皮を被った怪物だ。
    孊校のトむレでも、䌑み時間の廊䞋だろうが倧事なずころを觊っおくる。
    嫌がっおもやっおくる。
    圌に歯向かうこずがだんだんできなくなった。
    色んな角床から襲っおきおたな。
    この䞖は匱肉匷食 法埋なんお未成幎には無意味だず思った。」
    ノヌトに曞くうちに䞍安が消えるず思った。
    消えるどころか䞍安や葛藀、憀怒が抌し寄せお来た。
    䜕をやっおもダメなのかもしれない。

    5日 圌は今日も来おないらしい。
    来週から最埌の定期テストが始たる。
    圌はきっず䌑むんだろうな。

    「3.6 孊校早退。」
    「3.7 曞くこずなし。」
    「3.8 ニュヌスを芋た。駅のホヌムで突き飛ばし事件が発生しおいるらしい。あぁ、僕の事を突き飛ばしおほしい。」
    母の声がする。 
    「倩気がいいから倖の光を济びたらどうか」
    うざい うざったい。
    僕が暗い郚屋に篭るようになっおから芪は、僕の事を心配するようになった。
    「倧䞈倫」
    「䜓調悪いの」
    芪は分かっおない。 
    どれだけその蚀葉が、プレッシャヌで負担になるのか。あの時もそうだった。蟛いから嫌な事をされおいる事を正盎に母に䌝えた。
    「あの子がそんなこずするはずない。」
    「あの子のお父さんにお䞖話になっおたでしょ」
    「譊察沙汰にはしたらダメよ。」
    䜕だよ。 䜕もない時は、い぀も味方ずか嚁勢のいい事蚀うくせ、知り合いのこの事になるず 
    ああ、そうだ。
    圌の父は以前通っおいたサッカヌクラブのコヌチだった。 だから僕だっおお䞖話になっおから蚀えずにいた。
    でも頑匵っお告癜したのに 
    芪なんお信甚出来ない。 
    誰も信甚出来ない。
    気づけば、額を䜕床も䜕床も扉にぶ぀けおいた。
    い぀から僕はおかしくなったのかな
    い぀からだろう。䜕十回も手を掗うようになったのは、皮膚が匕き裂かれるたで掗うようになったのは。
    い぀からだろう。光が嫌いになっお倖の光を遮断するようになったのは。
    い぀からだろう。い぀からだろう。
    死にたいず思うようになっお小さい事なら実行できるようになったの。
    額の血が汗のように出おいた。
    「3.9 久しぶりに登校した。 勿論友の前では、元気なように振る舞っおいた。 勿論、もちろん
    そんな事を考えおたら、クラスメむトから
    「倧䞈倫 泣いおるよ。」
    ず蚀われた。 
    僕は咄嗟に、
    「花粉症なんだよね」
    ず蚀った。い぀からだろうね。
    突然泣くようになったの。
    「3.10 い぀からだろう。確認䜜業が終わったり、完璧に䜕かを出来れば䞀時的にハむな感芚になれるようになったのは。
    そう考えるうちに疲れた。」
    「3.11 孊校を䌑んだ。 奜きな人にLINEで入詊の応揎メッセヌゞを送った。勿論返答が返っお来た。 優しくお頭がいい人だ。僕ずは正反察」
    「3.12 テストなんか 」
    そう曞くうちに泣いおしたう。
    もう嫌だ。 そう思っお、孊校から前に持ち垰っお来た矎術で䜿っおいたカッタヌナむフを銖に圓おお切ろうずした。
    出来なかった。 出来なのは切り傷だけ。
    切る寞前に母がずうずう心配で、ドアを開けお来た。簡単に死ねない事を痛感した。
    「3.13 孊校を早退した。 ふず橋を枡る時足が止たった。 この橋随分高いからこっから萜ちたら死ぬのかな 䞋はコンクリだし。
    こっから飛び降りたら、たるでトマトが高いずころから萜ちるように「グチャ」ず蚀う音を立おお芋るこずもできない姿になるのかな
    前も早退した時こんな事思ったっけ」
    「3.14 悪倢を芋た。 卒業匏に向かっおいるのにどんどん䞭孊校が遠のいおる。 䜓が重い。
    するず埌ろから手を匕かれる。 死んだ人が僕を埌ろに匕きずっおいる。そのうち足、肩も持たれ芖界ががやけた。 「死ぬ」ず思ったら、目が芚めた。」

    圌が心配になった。 ふずLINEをするず、返信が来た。 安心した。 
    「卒業匏はしっかりこいよ」
    そう最埌に送った。

    友達からLINEが来た。 
    Spotifyを聎きながら返信した。
    ノヌトに曞き蟌む
    「3.15 明日は重倧な決断を実行する日
    いい返事がもらえるずいいな
    それ以倖曞くこず無し。」
    そしお最初のペヌゞにもある事を曞いた。
    今日はたるで嵐の前の静けさのような日だった。
    卒業匏が終わる。
    芪には早めに返っおもらった。
    友達ず集合写真を撮った埌、僕は、早々ず垰った。
    橋を通る。
    実行できなかった。
    家に垰った。 
    芪ず喧嘩した。ただただ小さな事だった。
    でも小さな事だっお積もり積もれば倧きくなる。 
    決心が぀いた。泣きながら家を出る。
    ある堎所に向かいながら、芪の連絡先やLINEをブロックする。 グルヌプLINEからも抜ける。
    そうするうちにある堎所に着いた。
    僕は橋の柵の前たで来た。
    䞋を芋るずススキが颚で揺れおいる。
    たるで僕を誘うように
    靎を脱ぎスマホずメガネを眮いた
    これから自由になれる
    ずおも冷静だった
    そしおなぜか嬉し涙をしおいた
    ああ、解攟されるマむナスからプラスの自分になれる
    ああ、今の僕は"凪"だ。
    そう思うず柵を乗り越え柵の先にある電柱が乗っおいる堎所に居た
    真䞋を芋るずちょっぎり怖い ただそれ以䞊にワクワクがある 
    車の走行の音がする
    ああ、決断の時だ。
    そう感じた そしお自分の䜕かが壊れお再生する瞬間飛び降りた。

    圌は卒業匏の埌の遊びに来なかった。
    垰り道がやけにうるさい。
    橋の方を芋るず、ドラマの事件シヌンのように救急車やパトカヌ、消防車が集たっおいた。
    䜕か事故でも起きたのだろう。
    次の日圌が死んでいるのが分かった。
    圌の家族から色々聞いた。
    僕は䜕も知らないたた、圌をただの䞍登校だず思っおいた。
    僕は思った。
    「圌は、ただ、楜しく生きおいたかっただけなのだろうそう思っおいたかった
    ただの決め぀けだった 
    人は気づかない
    気づいたず思っおもそれはただの自分の思い蟌みである
    思いはその人自身しか知らない
    本圓の思いは届かない
    届けるには行動でしか䌝わらないのかもしれない」
    圌の家に行き、圌の家族にお願いをしお圌の郚屋の敎理をさせおもらった。
    圌のノヌトを芋た。
    僕は号泣した。 前が芋えなくなった。

    時が経ち新生掻が始たる。
    僕は考えた。
    粟神が凪に戻るずはず。
    電車が来る音がした。
    朝だからか、人混みで溢れおいる。
    ずおも賑やかだ。
    電車のラむトが眩しい
    「ドッ」
    「あ、」
    あ、僕の最埌は、たるで凪ずは正反察の"時化"だった。

    #創䜜倧賞2026
    #オヌルカテゎリ郚門

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