
#3 休職が始まった日
休職に入った最初の1週間。
「会社に行かなくてもいい」
その事実だけで、少し心が軽くなった気がした。
でも、安心できたのはほんの一瞬だった。
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夜中に目が覚める。
午前3時、時計の音がやけに大きく聞こえる。
そのとき頭に浮かぶのは――お金のこと。
「給料はどうなるんだろう」
「子どもの学費、払えるのか?」
「住宅ローンは? 生活費は?」
考えれば考えるほど、不安が雪だるまのように大きくなっていった。

妻が「大丈夫だよ」と声をかけてくれる。
その優しさが嬉しい反面、情けなさも込み上げてくる。
「俺がしっかりしなきゃいけないのに…」
「家族を支える立場なのに…」
休んでいる自分を責める気持ちが、どんどん強くなる。
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子どもたちの顔を見ると、心の中で何度もつぶやいてしまう。
「ごめんな…。こんな父親で」
大学に通う長男の学費。
高校に進学したばかりの娘の制服代や部活費用。
一つひとつの現実が、心にのしかかる。

「休むことが必要」だと頭では分かっている。
でも心は、どうしても受け入れられない。
「早く戻らなきゃ」
「こんなに休んでいたら、もう会社に居場所はないんじゃないか」
ベッドの中で天井を見つめながら、そんな思いがぐるぐると巡る毎日だった。