
"怪異"は「存在する/存在しない」ではなく「認識できる/認識できない」の問題。エントロピーを用いて分類し、比較し、展望してみた。【怪異を科学する】本文2万3千字+おまけ一次資料10万4千字

"怪異"は「怖いけど体験したい」という矛盾を人間に起こさせる。
怪異が一方的に人間に寄って来てるように見える場合もあるし、
怪異が気まぐれで何も起こさないように見える場合もある。
怪異が気分屋のように見える現象も含め、
仮説を立てながら分析してみた。

実は俺は「幽霊が見えない人」だ。
生まれてこのかた「幽霊」を見たことは無い。ただし遭遇したことは何度もある。
ただただ「俺の目には見えない」。
「妖怪」は何度も遭遇したし、姿を見たし、触りもしたのだが
「幽霊」だけは姿を見たことが無い。
周囲には「昼間から幽霊が見える人間」が多々いるから
「幽霊はいない」と強弁するのは妙な話だ。
そもそも、
幽霊や心霊現象を「ある/無い」「存在する/存在しない」で
色分けしようとすることが認識の間違いだ
――と俺は考えている。
"人間の個体差"による「認識する/認識しない」が正しい表現だ
――と、俺は自分の体験から強く考えている。

参考までに:
俺は妖怪と遭遇し、俺が妖怪の肩をひっつかまえたことがある。
また、幽霊にタックルされて俺が吹き飛ばされたこともある。
俺は、あくまでも「幽霊だけは見えない人」なのだ。

「幽霊は何がしかの電磁データだ」という
仮説を立てられる貴重な幽霊体験がある。
平成27年=2015年10月
京都市内の演芸ホール『A』にて。

『A』で消防設備点検があり、俺はビル管理アルバイトの業務として、業者に付き添うこととなった。『A』の衣装室は「昼間から幽霊が見える」ことで有名だ。点検業者の新人4人は「幽霊を是非みたい」と、はしゃいでいた。
「衣装室」のドア前で業者のリーダーは新人4人に真剣な表情で言い聞かせた。
「ドアを開けた瞬間、お前らは"見たくないもの"を見る。京都市内はこんな場所ばかりだ。怖くても仕事はきちんとやれ」。
新人4人は、はしゃいでおり「早く早く!」「大丈夫、大丈夫!」と軽いノリで笑っていた。
「ようし、ドアを開けるぞ! 中へ入って点検して来い」
リーダーが部屋のドアを開けた瞬間、新人4人はまるで伊勢エビよろしく一斉に後ずさりし、Uターンしてから廊下を走って逃げ出した。
「こら! ちゃんと点検して来い!」
リーダーが雷を落とし、新人4人は戻って来た。「早く幽霊が見たい」とおちゃらけていた新人4人の顔は真っ青になって涙ぐんでいた。1人が泣き声でリーダーに申し出た。
「あれはダメです! 勘弁してください! 無理です! 無理!」
他の3人も「会社を辞めます」「このまま帰らせてください」「死にたくないです」と、涙を流しながら口々に訴えた。
俺は(泣くほどのものかよ?)と改めて衣装室の中を覗き込んだが、俺には何も見えなかった。
「何がおるの?」と彼らに訊くと「ど派手なピンクのドレスを着た女性が上目つかいの怖い顔でドアを睨みつけている」とのことだ。しかし、俺には何も見えない。
「どこにおるの?」と俺がずけずけと衣装室内へ入っていくと、彼らは「危ない!」と一斉に叫び始めた。俺が室内をまっすぐ進むと、彼らは「真正面です、真正面! あっ! ぶつかる!」と叫んで、顔を両手で覆った。しかし、俺には何も見えないし、何の感触も無かった。
「俺が代わりに点検してやろうか」と申し出ると、リーダーは新人4人を説得した。
「あの人(=俺)は幽霊の隣に立っても平気だろ? あの幽霊は立っているだけだ。幽霊に襲われないから心配するな。幽霊の真横に消防設備がある。4人で一緒に行って点検して来い。何かあれば助けてやる」。
5分間ほどすすり泣いた新人4人は気を取り直して、改めて衣装室の中へ入って来た。俺は「どんな幽霊? 説明して」と4人に報告してもらった。
――セミロングの、茶髪のカールヘアー
――派手な舞台メイクしている
――ふっくら顔の、割と美人
――上目づかいでドアを睨みつけている
――肩をいからせて、じっと立っている
――ずっと同じ姿勢をしている
彼らが言うには、俺は何度も何度も幽霊に「ぶつかった」らしい。ところが、そのたびに俺の体が幽霊の体をすり抜けたそうだ。「その様子を見て、だいぶ落ち着きました」と彼らは笑顔を見せた。
――近付いてもピクリとも動かない
――じっとしており、マネキン人形みたいだ
――割とスタイルの良い女性だ
――若そう。25歳くらいに見える
――オバサンではなくお姉さん
――声を出さない
――点検道具が幽霊の胸辺りに当たったが、空気みたいにすり抜けた
――プロジェクターの立体映像みたいだ
彼らは冷静に幽霊をレポートしてくれた。彼らは、幽霊にわざとぶつかったり触ったりしたところ、幽霊の体をすり抜けたため、「幽霊はホログラムの立体映像のような存在だ」ということが判明したそうだ。触ろうとしても体を通り抜けるので触れないそうだ。体に当たっても感触は無いそうだ。
彼らは消防設備点検を黙々とこなして、10分間ほどで衣装室を出て行った。彼らは「怖かった~」と叫んで大きく呼吸すると廊下に寝転がった。最初のようなパニック状態はもうなかった。

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