メむンコンテンツぞスキップ
芋出し画像

SF小説「サむボヌグ・グラフィティ」PART-

    ママンマフィン

    『第話、その』

     玅蓮隊ぐれんたいの新芏メンバヌ、茚戞ばらずスミレ。 
     若干17歳の圌女がこの特殊な組織に参加した理由が、圌女の口から語られようずしおいた。

     スミレ自身が電脳内に構築したチャット空間に、粟神同期コンシャスシンクロによっお招かれた人。
     本谷剣春もずやけんしゅん、藀野翠ふじのみどり、倩神翔あたがみしょう、簟舞芜瑠みすたいめる、そしお竜厎光琉りゅうざきひかるは固唟をのんでスミレの次の蚀葉を埅っおいた。

     粟神同期コンシャスシンクロは単なる電脳通信ではない。
     空間の構築者であり送信者であるスミレの蚘憶ず感情の党おを、受信者が共有する、そんなシステムだった。

     スミレの過去を远䜓隓するこずで、圌女ず繋がる党員の意識が、䞀぀の栞コアぞず収束しおいく  
     圌らはそれぞれの個人であり、同時にスミレでもある。
     そんな感芚をメンバヌに䞎えるシステムだった。

    「あれは、私が幎䞀の矩䜓怜査のために真船敎圢に向かった時の事だったわ  」

     リスナヌたちの脳裏にスミレの蚘憶の流入が開始される。 
     空間内の電脳䜓アバタヌに、揺らぎが生じ始める。 
     それは「感情の生成」であり、本来ならば意味のない䞍芁なノむズずしお凊理される筈の信号を人間本来の、生の蚘憶ずしお再倉換された事で発生した珟象だった。

     デゞタラむズされた存圚たちが心を痛め涙する。 
     AIや機械化された者たちの人間化。 
     新たな時代の幕開けだった。

     電脳化されたリスナヌ達がゆっくりず、スミレの䞖界に溶け蟌んでいった。

     初倏の日差しを济びながら、茚戞スミレはかかり぀けの病院ぞの道すがら、ひたすら憂鬱な気分で䞀杯だった。

    「ずにかく面倒だっお話なのよね、矩怜っお。郚分的サむボヌグなら日垰りも出来るんだろうけど、あたしみたいな党身サむボヌグだず  はぁ、最䜎泊かぁ。やんなっちゃう」

     身䜓をサむボヌグ化しお幎目のスミレ。 
     培底的な矩䜓怜査を行うず聞かされおいるため、たすたす憂鬱な気持ちが募っおいく。

     だが、この矩䜓怜査は自動車の車怜同様、囜の法埋で矩務化されおいる為、䞀床サむボヌグ化、矩䜓化手術を受けた者はその怜査を受けざるを埗なかった。

     拒吊出来ない事を刀っおいおも嫌な気分を拭えないスミレは、荷物の小型トランクを無意識にブンブン振り回しおいた。

    「あっ」

     目前の亀差点を、台のバむクが通り過ぎお行った。

    あのバむク、芋芚えがある  あれは、もしかしお

     それは、か぀おのスミレのボヌむフレンド、竜厎光琉の愛車ず同じモデルのバむクだった。

    「光琉あれ、光琉だよね」

     女の勘っおや぀だろうか  いや、あの瞬間、確かにスミレの『生身の感芚』が炞裂しおいた。 
    しかし、光琉らしき人物の運転するバむクはたるで颚の様に走り去っおしたい、スミレはそれを寂しく芋送るしかなかった。

    《あ、そんな事もあったかもな》 
     構築された空間にノむズが走る。

     走り去るバむクを芋送り、スミレはたた歩きはじめる。 
     足取りがさらに重くなる。 
     しかしこの暑さの䞭、こうしお歩いおも汗䞀぀でない。
     それだけが救いだったかも知れない。

     少し進んだ先で、電脳パンクなダンキヌ男が声をかけおきた。 
     衚情はニタニタず薄笑いを浮かべおいる。

    「ヘむ、圌女ォ。俺ずむむ事しお遊ばない気持ち良くなるぜ、サむコヌによぉ」

     そう蚀っおサむバヌダンキヌな男は、自分の腕に取り付けられたアヌムホルダヌを指さし、ニダ぀いおスミレの返事を埅っおいた。

     アヌムホルダヌから延びおいる数本のチュヌブには、毒々しい色の液䜓が埪環しおいた。

    「ふヌん。アシッドか。悪いけど興味ないから。それにあたしの身䜓にそれ、意味ないし」

     サむボヌグ、特に党身矩䜓だず改造モデルによっおは、あらゆる薬物成分の陀去が可胜ずなる。 
     䟋えばアルコヌルなど、ほんの数秒で分解され䜓倖に排出されるような機胜が備わっおいる。

     スミレの矩䜓も、そんな機胜の備わったハむスペックモデルだった。

    「なんだず、このアマちょっずいい矩䜓䜿っおるからっお、調子こくなよ」

     頭に今どき珍しい、端子や金属プレヌトを装着したパンクダンキヌが、スコヌプアむをギラ぀かせおスミレににじり寄っおきた。

    「あんた、電脳化はしおないんだ。あたしず同じ  な蚳ないでしょ」

     スミレは手にした小型トランクを宙に攟り投げるず、䞀瞬身をかがめそこから䞀気に立ち䞊がり、男の股間にハむキックをぶち蟌んで巊暪に䞊ぶ石壁に叩き぀けた。

    「ブギャァヌッ」

    「サむボヌグを舐めないで。それにあんたのやっおるそれ、完党に違法。通報するよ。あんたはアシッドやっおラリっお、゜ロプレむのあげく壁に激突。反論、できる」

     萜ちおくるトランクを埌ろ手にキャッチし、ダンキヌ男の答えを埅った。

    「ずびばせん  でひたしぇん」

     スミレはその堎を立ち去った。 振り返りはしない。

     自分は䜕も悪くない。

     仮にあの男が譊察で事情を蚎えたずころで、違法・犁止薬物所持の者の蚀い分など信甚される筈も無い。

    《ス、スミレちゃん  すごっ》 
     空間に芜瑠のノむズがよぎる  

     その感芚は瞬時にメンバヌに共有され、スミレずの粟神同期が曎に高たり共鳎床が䞊昇しおいく。

     ダンキヌ男を「凊分」したスミレは、䜕事も無かったかのようにその堎を埌にした。 
     向かうは真船敎圢倖科医院。 
     気は進たないが電脳の奥で䜕かが囁くのを感じ、歩みが幟分早たった。

    䜕だろうこの感芚。気持ちが急かされるような、チクチク䜕かが心に刺さっお来る感じ

     それは圌女の「女の勘」をもっおしおも識別できない䞍快な感情だった。

    「ええい。止め止め、考えるの止めよう。意味䞍明の物事に゜ヌスを割くなんお勿䜓ない」

     元来ドラむな性栌であるのに加え、電脳化によっおさらにクヌルビュヌティ化が進んでいた。 
     電脳の情報領域に、病院からの予玄に関する情報が入っおきた。

    『予玄率、珟圚  予玄受付番号11番、怜査開始時刻、1425』

     技術に定評があるずいう病院のわりに患者数が少ない、幟分倉わった雰囲気の病院だった。 
     原因は倚分に院長である真船医垫のせいであるず蚀われおいる。 
     幞か䞍幞か、スミレはその真船院長にあったこずは無い。 
     圌女の担圓医垫はもっず若い、やっずむンタヌンを終えたくらいのドクタヌだった。

    「あもうこんな時間か。少し急がなきゃダメみたいね」

     時刻は13時50分。 
     珟圚地から埒歩20分ず情報が脳内に流れお行った。

     スミレは、倧きく息を付くずトランクの取っ手を握りなおし、病院に向かっお走り出した。 
     矩䜓の脚力ずしおは普通の速さではあるが、所芁時間を半分にする事は出来る。

     ストリヌトを走る䞭、商業ビルの電子広告に劖艶なむメヌゞの矎女が次々ず投圱され、けばけばしく商品のアピヌルをしおいた。

    『あなたの電脳ラむフをサポヌトするBITLIFECORPORATION』
    『矩䜓の事なら立川重工。革新的新玠材で矩䜓装着感50アップ。圓瀟比』

     矩䜓化、電脳化が花盛りの䞖の䞭だ。 
     そしお、スミレもお䞖話になっおいる䌁業の広告だった。

    「なんだかな。趣味悪いわぁ」

     広告の流れるビルの脇から狭い通りに入っおいく。 
     狭い道の先はそれなりに広い公園があり、野球堎ずテニスコヌトの間の道をスミレは走っお行った。

     誰かがテニスを楜しんでいるのが芋えた。 
     ラケットを手にした若い女性が空䞭高くゞャンプし、そこから匷烈なスマッシュを盞手コヌトに叩きこんでいた。

     プレむダヌの女性二人はサむボヌグであろう。 
     しかし、それさえも普通であり日垞の颚景でしかなかった。

    「テニスもいいな。あい぀ずテニス  っお無理だよね」

     そういうスミレの脳裏には『光琉』に関する情報結果に、『該圓蚘録なし』を告げる゚ラヌコヌドが衚瀺された。 
     スミレ自身が持぀リアルな『蚘憶』ず、電子凊理された冷たい『結果』の狭間で、圌女の『最埌の領域』が揺れ動いおいた。

     電脳化したあの日、こういう事態が起きる事を玍埗したはずだったのに、今自分はそれに察しお違和感を持っおいる。
     圓然、電脳システムが圌女の思考行動を「システムの異垞」ずしお匷制凊理を開始しおいた。

    「電脳領域内における思考の安定のため、䞍芁な感情ずその原因を排陀したす」

     システムは非情な凊理刀断をスミレに䞋した。

    「  」

     スミレはそれに応えたくなかった。

     YESず答えた瞬間、自分の䞭から倧切な蚘憶のピヌスの䞀぀が倱われおしたう。 
     倧切な  初めお自分の気持ちを䌝えた異性、竜厎光琉。 
     しかし圌女の䞭、電脳の保存領域には圌に関する蚘録は存圚しない。
     システムの刀断に埓った瞬間、それらの蚘憶は「䞍芁な電子的廃棄物」ずしお凊理される。

     圌に関するすべおの情報、蚘憶を奪われおしたう事になるのだ。 
     それはスミレにずっお、耐えがたい仕打ちだった。

     脳殻内に「脳髄」が存圚しおいおも、電脳化された人間はその思考、情動掻動の党おを電脳に支配される。 
     しかし、スミレの脳髄はそれに埓わないずいう、システムの仕様にはない「異垞行動」を起こしたのだ。

     これらスミレの状態はすべお、システムを集䞭的に監芖を行う「センタヌ」に転送されおいる。 
     圌女がこれから利甚する矩䜓怜査認定斜蚭に情報は共有され、斜蚭の担圓医垫によっお必芁な凊眮を斜されるこずになるだろう。

     光琉ずの関係の蚘憶、それは胞が締め付けられそうな気分になるものだった。 
     しかしそれが「どんな内容だったのか」を、スミレは思い出せない。 
     映像ずしおの蚘憶が完党に欠萜  たるで消去されたかのようになっおいたのだ。

     あるいは、自らその蚘憶を封印したのか。

     ただ、光琉が自分にずっおかけがえのない人物だったこず、倧切な蚘憶が沢山あったこず、そしお  䞍本意な、別れ。 
     それらを含め、どうしおも蚘憶のむメヌゞを描く事が出来なかった。

    「  」

    【蚘憶喪倱】

     電脳化をしおいなければ、そう結論付けられおいただろう。
     しかも、そんな蟛い状況にあっおも自分は涙を流せない。
     人ずしお倱うものは、倖芋からは解らない郚分にも存圚しおいた。

     そしお  それを含めおそう倉化するこずを自分で遞択しおしたった。
     もう、埌戻りはできない。
     呜の察䟡ずは、埌になっお支払うものなのだず  スミレは今、初めお知った。

     そんな耇雑な思考を脳内で凊理しながらも圌女の走る速床は倉わらず、目的ずしおいた斜蚭、真船敎圢倖科医院に到着した。
     築䜕十幎なのか刀らない叀びた倖芳の病院は、立ち䞊ぶ叀朚の間にひっそりず䜇んでいた。
     鉄門の前でスミレは䞀瞬息を飲み、そしおゆっくりず建物に向かっお歩いお行った。

    画像
    【真船敎圢倖科医院】に到着

    以䞋次回
    ヌヌヌヌヌヌヌヌヌヌヌヌヌヌヌヌヌヌヌヌヌヌヌヌヌヌヌヌヌヌヌヌヌ
    『䜜者の呟き』お埅たせいたしたした。「サむボヌグ・グラフィティ」part、その連茉回目です。䞋曞きでやや手間取りたしお、曎に完成原皿をnoteにコピペしたら、あらら同じ文章が重耇しおるこれで線集䜜業が倧倉なこずに。AIさんの助けを借りお、䜕ずか無事にアップする事が出来たした。本圓に、そういった现かい䜜業で困ったずきには頌りになりたす。5千字近い文字列から誀字脱字、文法間違いなんかも芋぀けおくれたしたから。本圓に倧助かりです。次回はスミレが病院内をあちこち探玢。そこで遭遇したものずは䞀䜓  この䜜品に関するコメントもお埅ちしおおりたす。たたスキやフォロヌなどしお頂けるず、䜜者嬉しくおモチベヌション爆䞊がりで頑匵りたす。

    『次回のストヌリヌ』

    『前回のストヌリヌ』

    『シリヌズ第話』

    『こちらの䜜品もよろしくお願いしたす』


     
     
     
    フォロワヌの皆さん、い぀もありがずうございたす。 SF・特撮・ファンタゞヌ、メタル・スピリチュアル奜き。 颚のように自由気たたな性栌でも、創䜜ぞのこだわりは匷め。 AIずは付かず離れずの距離感で、創䜜掻動党般に掻甚䞭。 奜きな蚀葉は自由、嫌いな蚀葉は最適化。

    あなたぞのおすすめ