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神保町リベンジ

    さこう

    遠い昔に神保町を歩いたことがあった。
    あれは・・・後楽園の試合がキャンセルになったかなにかで、急に暇になったのではないかと思う。
    もちろん、そのころにはすでに「古本屋の街」として知られていたし、知を探訪する人々や、怪しげな芸術家や、むさい学生などもたくさん往き交っていたが、今日のようにWelcomeな(今がどうなのか実際には知らないから行ってみるのだ)雰囲気ではなかったと思う。
    当時わたしは社会人だったが、安い給料は北千住の家賃とどぶ板通りの酒代に消えて余裕は無く、店番のオジサンの眼鏡越しの視線に値踏みされたような気がして、そそくさと離れて行くことしかできなかった記憶がある。
    そうだ、リベンジなのだ。
    今回の神保町訪問は、あの時あの街角に置き忘れた、物書きの魂とかプライドとか(いやいやそんなものはハナから無い)文化の薫りに気圧されしてビビッて逃げた自分の弱さをもう一度拾いに行くのだ。
    少ないながらも給料をいただいて生活は安定していて、もう少しで年金受給者になるという世間的にはゆとりの世代のはずの自分。還暦も過ぎてちょっとやそっとじゃビビらない不感症の自分。困ったことがあってもきっと慰めてくれる友の存在。
    それらが、わたしをして「神保町リベンジ」へと駆り立てるのだ。

    一首献上
    世の中の仕組みも知らぬ年頃に
    置き忘れたるこころ探さむ

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    定年退職後、嘱託として動画編集を生業にしています。技術畑のむかし話や下手な短歌を詠んだりしています。近頃#なんのはなしですか に沼ってます。

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