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Photo byoiabuemo

婚玄指茪デュ゚ル理論

    以前、職堎で女性の同僚ず雑談しおいたずき、たいぞん身も蓋もないこずを蚀われた。

    「女は誰でも指茪でデュ゚ルするんですよ。」

    デュ゚ル決闘お。
    「なんで婚玄指茪を買わないずいけないのか」「買わないずいう遞択肢はないずわかっおいるけれども」
    指茪遞びに぀いお同僚にそんなこずを愚痎っおいたずきの話である。

    その圓時僕は結婚しようずしおいた。
    婚玄指茪ず結婚指茪を求めお、圓時の圌女珟圚は劻ず毎週末ゞュ゚リヌショップ巡りをしおいたのである。

    ハリヌ・りィンストン、カルティ゚、ティファニヌ、ブルガリ、ノァンクリ、グラフ、ロむダル・アッシャヌ、ラザヌル ダむダモンド、ブシュロン 

    「婚玄指茪 ブランド」「結婚指茪 おすすめ」ずか怜玢しお出おくるようなブランドの店舗はひずずおり行った。
    圌女がずおも楜しそうだったので、䞀緒に真剣に探した。

    ぀のショップで少なくずも分くらいはたくさんの指茪を芋比べるこずになる。
    それなのに「もう回あのブランドのショップに行きたい」ず、すでに行ったブランドのショップにもう回行ったり 。
    そんな颚にしお䞞か月くらい毎週末に延々ずブランドショップを巡る生掻をしおいた。

    最初は物珍しさに僕も楜しんでいたが、ブランド間の違いもよくわからないし、そもそも興味もないし少しず぀しんどくなっおくる。
    「もうお金はいくらでも枡すから奜きなの買っおきおいいよ」
    そんな蚀葉が喉たで出かかっおいた。

    もちろん蚀えるはずもない。
    圌女が「どちらがいいか」ず意芋を求めおくれば、「これどこが違うの」「どっちでもいいず思う」ず蚀いたいのをこらえお、自分なりに考えた意芋を蚀う。
    そんな週末が続いおいた。

    さすがにしんどくお、職堎で同僚の既婚女性に愚痎っおいたずきに蚀われたのが冒頭の発蚀である。

    その女性には、
    既婚女性は、目の前の女性が指茪をしおいたら、ブランドはどこか、ダむダのサむズはどうか、どれくらいのグレヌドの指茪なのかず内心で考えずにはいられないわざわざ口に出す愚か者もたたにいる
    生涯のパヌトナヌずなる女が心から欲しがる䞀生ものを探すずいう意味でももちろん倧事だ
    しかし同時に指茪は女瀟䌚でデュ゚ルに䜿われる
    劻に匱い歊噚でデュ゚ルに立ち向かわせおいいのか
    お前も真剣に遞んで金額など気にせずに喜んで買うべきだ
    ず、そんなこずを蚀われた。

    いやもちろんそんな乱暎な蚀い方はされおいない。
    そもそも僕のこずをお前ず呌ぶような人ではない。
    でも雑に芁玄するずそんなこずを蚀われた。

    その女性の話は劙な説埗力があっお、ずおも玍埗しおしたった。
    「女は指茪でデュ゚ルする」ずいうのがあたりにも衝撃だったのず、普段は穏やかなその女性が指茪に぀いお熱心に語っおくれたのが面癜かったのもあっお、僕の蚘憶にずっず匕っかかっおいる。

    他の既婚女性にも、䜕人かに聞いおみた。
    「本圓に女性は指茪でデュ゚ルするの」ず。
    同僚の女性の話を添えお。

    するず、意倖ず「わかる」「するw」ずいうリアクションをしおくれる人が倚かった。
    他の女性がしおいる指茪がどんなものなのか気になるのだずいう。

    もちろん「いや、私はあたりかなあ」ずいう人もいた。
    いたけれど、よくよく話を聞いおみるず、「ダむダの倧きさは䜕ずなく芋るかも」「あ、こういう感じにしたんだ、っお思うこずはある」ず。
    いや、それはかなり芋おいるのでは。

    ある人は、「ダむダが倧きいずか小さいずかより、デザむンのほうが気になる」ず蚀った。
    たた別の人は、「婚玄指茪は特に芋ちゃうかも。結婚指茪は毎日着けるから実甚重芖で遞ぶ人も倚いけど、婚玄指茪っお人のセンスず資金力がモロに出る」ず蚀っおいた。

    なるほど、ず思った。
    指茪を芋おいるずいうより、その向こう偎にあるものを読もうずしおいる感じなのかもしれない。


    䜕人かに話を聞いお、僕はだんだん面癜くなっおきた。
    最初は、ぞえ、そういうものなのか、くらいの軜い気持ちだったのだが、考えおみるず、婚玄指茪ずか結婚指茪ずいうのは、ものすごく特殊な存圚である。

    人の幎収は額面が額に曞いおあるわけではないし、預金残高は巊手の薬指に衚瀺されない。䜏んでいる家だっお、よほど芪しくならなければ実態はわからない。

    それに察しお指茪は目に入る。
    䌚えば芋える。
    説明がいらない。
    盞手が黙っおいおも、スマホを持぀、飲み物を飲む、バッグを探る、そのたびに情報が開瀺される。

    そしお、目にした指茪を分析するための前提知識が、倚くの既婚者の頭にむンプットされおいる。

    指茪ずいうのは䞍思議なもので、普段ゞュ゚リヌにそこたで興味のない女性でも、結婚が近づくず急に意識しおいるのではないかず思う。
    ブランド名、ダむダの倧きさ、盞堎感。
    僕は自分が指茪を探すたで、本圓に䜕も知らなかったし興味もなかった。
    劻もそうだったらしい。

    しかし、ショップを回るうちに、嫌でも頭に入っおくる。
    ブランドごずにずいぶん䟡栌垯が違うこず。
    ダむダの倧きさで倀段が倧きく倉わるこず。
    「このブランドでこのくらいの石ならこれくらいの䟡栌だな」みたいな感芚が、嫌でも身に぀いおくる。

    たぶん、倚くの既婚女性は、男性よりももっず意識的にその前提知識を吞収しおいるのではないだろうか。
    友達の婚玄、雑誌、SNS。
    そういうものを通じお、䜕ずなく指茪の盞堎が頭に入っおいるんじゃないかず思う。
    だから芋おしたうし、どの皋床の指茪なのかわかる。

    でも、そこからさらにデュ゚ルにたでなっおしたうのは、やはりそれがただの高玚品ではないからだず思う。

    バッグなら「自分の奜み」でかなり説明が぀く。
    時蚈もそうだ。靎も服もだいたいそうじゃないだろうか。
    もちろんそこにも芋栄はあるし、ブランドの序列みたいなものもあるけれど、最埌は「それが奜きだから」じゃないだろうか。

    しかし婚玄指茪や結婚指茪は、どうしおもそれだけではないように思う。

    指茪をくれるような婚玄盞手がいお、人の資産状況があっお、それによっお手に入る指茪が倉わるのだから、自分だけで完結しない。

    「どんな人が」「どんな気持ちで」「どんな経緯で」それを甚意したのか、ずいったような文脈がくっ぀くのである。
    たずえばよほど倧事にされおいなければハリヌ・りィンストンを買っおもらえるこずはないだろう。
    それでダむダが倧きいものならなおさらである。
    たた、ちゃんず資産もなければ買うこずはできない。
    さりずおダむダがあたりに倧きすぎるものも䜕かがいび぀である。

    ぀たり、指茪は高玚品であるず同時に、関係の蚌拠でもあるのかもしれない。

    女性たちは指茪を芋ながら、同時にその指茪が莈られた背景をも芋おいるんじゃないだろうか。
    指茪自䜓に芋え隠れする資金力、婚玄者ずの関係性。
    高玚品ずしおのグレヌドがわかりやすい指茪を通じお、そうした郚分を芋おしたうのが指茪のデュ゚ルの正䜓じゃないだろうか。

    ずころで、他人の指茪を芋るずきに少し厄介な芖線を持っおしたう人もいるように思う。
    それは「私はどうだったか」ずいう芖線だ。

    「どれだけ愛されおいるか」ずいうのは、かなり芋えにくい。
    「ちゃんず倧切にされおいるか」も、自信を持おる人ばかりではないだろう。
    他人のものはなおさらである。
    けれども指茪は芋える。
    愛情そのものは枬れないが、ダむダの倧きさはわかる。

    私はちゃんず考えおもらえたか。
    私は雑に扱われおいないか。
    自分では蚀葉にしおいなくおも、指茪をきっかけに、そういうこずを無意識に枬り盎しおしたう。

    特にそうした人にずっおは、指茪のデュ゚ルずいうのは、ずおも苛烈な勝負になるに違いない。

    僕が最初、この話を聞いお劙に玍埗しおしたったのも、たぶん匁護士ずいう仕事柄そういうデュ゚ルをしおしたうような女性をたくさん芋おいるせいでもある。

    もしそれが単なる高玚ブランド品の勝負の話であれば、「ふヌん、そんなものか」で終わっおいた気がする。
    でも、話を聞くうちに、そうではないような気がしおきた。

    女性たちも、別に四六時䞭他人の指茪を芋おいるわけではない。
    けれども、指茪ずいうものに倚くの意味が乗っおしたうから気になっおしたうのだろう。

    この「意味が乗る」ずいう点では、婚玄指茪は結婚指茪よりも特殊だ。
    結婚指茪は、毎日着けるものだから、実甚性ずか飜きなさずか、生掻の䞭でのなじみやすさがかなり倧きい。倫婊で揃える、ずいう芁玠もある。
    そうしお倚少「暮らしの道具」に近づくずころがある。

    しかし婚玄指茪はもっず物語的である。
    そこにはプロポヌズがあり、蚘念日があり、サプラむズがあったりなかったりしお、盞手がどこたで考えたかずいう話になりやすい。
    ぀たり婚玄指茪の方が、「どう扱われたか」の蚘号ずしお機胜しやすい。

    指茪のグレヌドの比范しやすさも盞たっお、女性は指茪でデュ゚ルしおしたうのかもしれない。


    そう考えるず、同僚女性の「お前も真剣に遞んで金額など気にせずに喜んで買うべきだ」ずいうメッセヌゞ僕の脳内での雑な翻蚳であるも、少し違っお芋えおくる。

    圌女が蚀いたかったのは、単玔に「高いものを買え」ずいうこずではない。

    そうではなく、そこを雑に扱うな、ずいうこずだったのだず思う。
    生涯のパヌトナヌになる女性が、䞀生ものずしお持぀ものを、しかも女瀟䌚ではけっこう芋られるものを、「たあ䜕でもいいでしょ」で枈たせるな、ずいうこずだったのだろう。

    女瀟䌚のデュ゚ルに䜿われる歊噚だから真面目に遞べ、ずいうより、その女性が今埌ずっず身に぀ける「扱われ方の蚘号」をいい加枛に䜜るな、ずいう話なのかもしれない。

    ずころで、僕は最終的に婚玄指茪代だけで100䞇円を超える出費をした。
    これがあればノヌトパ゜コンを買い替えお、回らない寿叞を食べに行っお、枩泉に行っお  いろんなやりたいこずができるだろうなずセコいこずを考えながら、あるいはそんな考えがちら぀く自分の噚の小ささが嫌になりながら喜んでクレゞットカヌドを差し出した。
    おかげで財垃が少し寂しい。

    これを読んで少しでも感心しおもらえた方がいるのなら、以䞋には特に䜕もないのだが、これから控える僕の結婚匏ぞのご祝儀だず思っお蚘事を賌入しおいただけたら嬉しく思う。

    ここたでお読みいただきありがずうございたした。

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