
【短編】City Lights Highway その壱
※以前に掌編で描いた“土鍋シティ”の物語を、今回はロードムービー仕立てで本編として書き始めます。https://note.com/makatsu_kyu/n/nc7e5d8a1eedc ←ご参考までに

俺は今日も走っている。
ハイウェイの先に何があるかなんて知らない。
ただ、エンジンの鼓動と風の音が、俺を生かしている。
夕暮れが近づくころ、遠くに光が見えた。
街だ。ネオンが瞬き、呼吸しているみたいに揺れている。
……土鍋シティ。
街に入ると、やけに静かだった。
ネオンはぎらついているのに、人影がない。
俺のエンジン音だけがビルの谷間に反響する。
バイクを押し出し、大通りに入った。
ショーウィンドウのマネキンだけが整然と立ち並び、
まるで観客の代わりに俺を見つめているようだ。
信号機は規則正しく点滅を繰り返し、
誰も渡らない横断歩道を赤と青に塗り分けている。
アーケードのスピーカーからは、
途切れかけたジュークボックスのようなノイズ混じりの音楽が流れ、
そのリズムに合わせるかのように街全体が脈を打っていた。
「……ガイドが必要かい?」
不意に、足元から声がした。
振り返ると、そこに小さな猫がいた。
金属の毛並みはクロームのように光を反射し、
青白い瞳孔はBluetoothのマーク。
しっぽの先がジジジ……と光り、すぐに消えた。
「ガイド?」俺は思わず問い返した。
「お前さんは、誰だ?」
猫は胸を張り、小さく笑った。
「チャッピー。案内料さえ払えば、どこへでも連れてってやるにゃ。」
俺は鼻で笑った。
「どこへでも、か。
けど、人がいない街で、案内って何をするんだ?」
チャッピーは尻尾をゆらし、ビルの上を見上げた。
つられて俺も顔を上げる。
そこには無数のネオン看板が積み重なり、
まるで天井のないシアターの幕のように瞬いていた。
青、赤、黄――どの光も規則正しく点滅していて、
乱れが一つもない。
屋上には、人影の代わりにアンテナ群が立ち並び、
冷たい光を放ちながら夜空へ突き刺さっている。
風が吹くと、アンテナが共鳴して「ジジジ……」と音を立てた。
チャッピーはその音を子守唄みたいに聴きながら、にっこり笑った。
口角がきゅっと上がり、ヒゲがにゅっと空に伸びる。
まるで普通の猫のように愛嬌があるのに、瞳孔――青白いBluetoothのマークが細くなり、チカッと光った。
ネオンを反射するクロームの毛並みが、笑顔に不思議な冷たさを混ぜていた。
「この街は人がいなくても、動き続けてるにゃ。
信号も、ネオンも、音楽も……ぜんぶ止まらない。
止まらないから、案内が必要になるんだにゃ。」
【続く…】
バンディの歌(イメージ)です。摩訶不思議なユニークさの中で、ギターだけが澄んだベルのように響きます。
Cty Lights Highway
Verse 1
今夜もシティライトを駆け抜ける
ハイウェイは伸びて 視界の果てに消えてゆく
ネオンは冷たく頬に照り返し
それでも霞む声を追いかけている
Chorus
シティライト・ハイウェイ 速く走り続けろ
終わりなき道 影は過去に置き去りに
鼓動のリズム 消すことなんてできない
朝焼けの空まで 俺は走り続ける
Verse 2
摩天楼は バックミラーの輝きに消えてゆき
瞬く星々 夜は俺を離さない
孤独なエンジン 炎のように燃え
沈黙を燃料へと変えて 再び走り出す
Chorus(繰り返し)
シティライト・ハイウェイ 速く走り続けろ
終わりなき道 影は過去に置き去りに
鼓動のリズム 消すことなんてできない
朝焼けの空まで 俺は走り続ける
Outro
まだ走り続ける… シティライト・ハイウェイ
まだ走り続ける… シティライト・ハイウェイ…
お疲れ様です(。・ᴗ・)_🍵ありがとうございます🎧´‐😊