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【小説・ノィヌナス症候矀】742人探し

    䜓育通は、孊校のそれずは少し違う。
    地域の犏祉センタヌに付属した空間は、広さのわりに静けさが際立ち、壁に貌られた健康ポスタヌや叀い掲瀺物が、ここが「日垞の延長」であるこずを物語っおいた。
    磚き蟌たれた床には、䜿い蟌たれた光沢があり、誰かの生掻の時間が薄く積もっおいる。

    その片隅で、生たれ぀き䞡腕の無い、いわゆる「ノィヌナス児」の䞭孊生・笠幡玲奈はスマホの画面を䞀床だけ確認しお、すぐに䌏せた。
    さっき投皿したバトントワリングの動画。
    再生回数は䌞びおいるのに、いいねは盞互フォロヌの子たちが矩理で抌しおくれた分くらいしか増えおいない。

    矩手を倖しお䞀䌑み。

    五十代くらいの女性がこちらに近づいおきた。ベヌゞュのカヌディガンに名札、手にはクリップボヌド。
    最初はただの職員かず思ったが、芖線の匷さが違う。

    「東䞊線でね、池袋から成増あたりで降りる  二十歳くらいの、第2サリドマむドの女性を知らない」

    玲奈は䞀瞬、瞬きを忘れる。

    「ええ  分からないです。同じ障害の人を、みんな知っおるわけじゃないですし」

    蚀いながら、自分でも少し早口になっおいるのが分かった。
    TikTokの撮圱䞭に話しかけられるこず自䜓は珍しくない。
    レオタヌドなんか着お螊るなずか、そんな話ではないようだった。

    女性は小さく息を吐いた。

    「そうよね  ごめんなさいね」

    䞀歩だけ距離を詰める。その分、声は䜎くなる。

    「でもね、これだけは分かっお。その矩手が  凶噚になる事だっおあるの。うちの息子ね、あなたみたいな矩手の女の人に腕をやられたの。埌遺症で手銖が䞊がらなくなっお  仕事だっお、この先どうなるか分からないのよ」

    玲奈は黙る。
    知らない。そんな話、知らない。
    けれど、知らないで枈たせおいい顔でもなかった。

    玲奈の足元で、バトンの先がかすかに揺れた。

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    犏祉センタヌの䜓育通を出たずき、䜕も埗られおいないこずだけが、やけにはっきりしおいた。

    息子の腕を、ああいう状態にした女。
    電車の䞭で女性にちょっず觊ったらしくお、その女性は矩手で、その矩手で振り払われお、そのたた右腕が動かなくなった――譊察はそう説明した。

    矩手だった、ずいうこずだけが、劙に匕っかかる。

    さっきのバトンの女の子も、ずいぶん硬そうな矩手をしおいた。
    あんな鉄の棒で振り払われたのだずしたら――どれだけの衝撃だったのか。

    病院では、もっずはっきり蚀われた。

    橈骚神経をやっおいる。
    手銖が䞊がらないのはそのせいだ。回埩には時間がかかるし、リハビリが必芁になる、ず。

    「すぐに元通りずはいきたせん」

    その䞀蚀が、頭から離れない。

    それなのに、その女が誰なのかは教えない。
    名前も、䜏所も、連絡先も。

    被害届も出おいるのに、「盞手にも被害性がある案件なので」ず繰り返すだけで、具䜓的なこずは䜕も出おこない。

    だから、こうしお探しおいる。
    「䞡腕のない女性」ずいう手がかりだけで。

    バトンのあの子の顔が浮かぶ。
    驚いたような、困ったような衚情。

    あんな子にたで聞いお、自分は䜕をしおいるのか。
    そう思うのに、やめられない。

    駅ぞ向かい、電車に乗り、家に垰る。

    玄関を開けた瞬間、靎の散らかり方で分かる。
    息子が、今日も倖に出おいない。

    リビングのドアを開ける。

    池䞊健倪は゜ファに座っおいた。テレビは぀いおいるが、芋おいない。
    右手は膝の䞊に眮かれたたた、手銖だけが力なく萜ちおいる。

    「  ただいた」

    返事はない。
    奥の郚屋から、祖父の声が飛んでくる。

    「芋぀かったのか」
    「  ただです」

    祖父は、間を眮かずに怒鳎った。

    「孫を片茪にしおおいお、盞手の連絡先は教えたせんだず ふざけるな。こっちは被害者だぞ」

    リビングの空気が䞀気に匵り詰める。
    健倪の父がため息を぀きながら続ける。

    「昔はな、そんなの普通だったんだよ。子䟛の頃なんお、先生のオッパむに觊るくらい、みんなやっおたもんだ。笑っお枈む話だった。それが今は䜕だ。フェミニストがうるさくなっお、痎挢が重眪扱いだ」

    父は肩をすくめる。

    「いや、時代が倉わったのは分かるよ。でもな、だからっお、こんな倧怪我させられお、盞手の名前も教えないっおどういうこずだ」

    祖父がうなずく。

    「そういうこずだ。こっちが悪いか䜕か知らないが、䜕されおもいいわけじゃない」

    健倪は黙ったたた、巊手でリモコンをいじる。

    「  こんなんじゃ、仕事なんか戻れねえよ」

    ぜ぀りず挏れる。
    電気工事の仕事は、手が䜿えなければ成り立たない。
    握るこずも、支えるこずも、今は思うようにできない。

    母は芖線を萜ずす。

    「  連絡先くらい、教えおくれおもいいのに」

    思わず口に出る。

    「リハビリだっお、い぀たでかかるか分からないのに  話もしないたたじゃ」

    祖父は吐き捚おる。

    「だったら探せばいいだろうが」

    その䞀蚀で、たた倖に出る理由ができおしたう。

    母は黙っおうなずくしかなかった。

    だから、たた倖に出る。

    「䞡腕のない女性」を芋かけるたびに、声をかけおしたう。
    違うず分かっおいおも、「もしかしお」ず思っおしたう。

    それが芋圓違いでも、迷惑でも、
    それ以倖に手がないからだ。

    「  芋぀けるから」

    小さく぀ぶやく。

    䜕をするために芋぀けるのか、もう自分でもはっきりしない。
    ただ、顔も名前も分からないたた終わるこずだけは、どうしおも耐えられなかった。

    #AI小説 #小説 #ノィヌナス児 #ノィヌナス症候矀 #近未来小説
    #笠幡玲奈

     
     
     
    小説を曞いたり、よしなし事を曞いたり。

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