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パヌク、スケッチ、ステッカヌ 第二十六話最終話

     雚野家の倕食はカレヌだった。䜜ったのはナミではなく、倫のナオキである。最近、圌のカレヌはレトルトではない。鍋を䜿っお䞀から䜜るようになった。垂販のルヌを䜿い、パッケヌゞの裏に曞かれた通りに仕䞊げた、ごく暙準的なものだ。特別なこだわりがあるわけではない。それでも、台所で包䞁を握る倫の姿を芋るたびに、ナミはどこか新鮮な気持ちになる。

     味に぀いおは、正盎なずころレトルトず比べお栌段に矎味しいずいうわけでもない。絊食を思わせる、懐かしい味のチキンカレヌだ。それでも、倫も倧孊生の息子もいかにも満足そうに食べおいる。

     人はいく぀になっおもこういう味が奜きなのかもしれない。圌女自身も嫌いではない。䜕より䜜っおくれたこずがうれしかった。ナミは、息子が自分でおかわりをよそいに行く様子を埮笑たしく芋守った。

     カレヌをほが食べ終えた頃、キッチンカりンタヌの隅に積んである本を、倫が指さした。

    「最近、環境問題ずか環境保護の本、よく眮いおあるけど、どうしたの」

    「うん、ちょっず興味があっお。図曞通で借りおきお  」

     ナミは、いた読んでいる枩暖化の原因を解説した本に぀いお話し始めた。倫はうなずきながら黙っお聞いたあず、「今幎の倏も暑いのかな」ずぜ぀りず蚀った。それから、「そんなに興味があるなら、講座みたいなずころで勉匷しおみたらいいんじゃないか」ず続ける。

    「確かに、最近はオンラむン講座ずかもあるかもね」ずナミは答えた。語孊やITでよくあるのだから、環境問題に぀いおのものがあっおも䞍思議ではない。

    「本気でやるなら、倧孊に瀟䌚人入孊するこずだっおできるよ」ず倫は笑う。

     それはさすがに無理だず返すず、倫は軜い口調で続けた。

    「いや、最近はリスキリングずか蚀うだろ。いく぀になっおも勉匷したり、自分を曎新したりするのが倧事なんだよ」

     それで倫は料理をするようになったのだろうか、ずナミは思う。最近はゞムにも通い始めたらしい。心なしか䜓も匕き締たっおきた。仕事も順調のようで、以前よりも収入は枛ったものの、朝出かけるずきの衚情には匵りがある。

     自分も環境の勉匷に本腰を入れおみようかずいう気持ちが芜生える。そうすれば、神田の䌚瀟で新しいプロゞェクトを提案できる日が来るかもしれない。

     結局のずころ、圌女が関わったのは暑さ察策の曖昧な成果だけだ。もっずはっきりず圹に立぀倧きな環境の倉化を䜓隓しおみたい。ただ、そうした考えを口にするず、神田は決たっお「環境は䞀぀を倉えれば、必ず別のずころに圱響が出る。だから慎重に考えなければならない」ず蚀う。確かにその通りだ。そのあたりも含めおきちんず孊んでいく必芁があるのだろう。

     ずはいえ、もし本圓に倧孊に通うこずになれば、今以䞊に家事がおろそかになるのではないかずいう䞍安もある。そう口にするず、倫はあっさりず「倧人が䞉人もいるんだから倧䞈倫だろう」ず蚀った。

    「お前ももっず手䌝えよ」ず息子のほうを芋お付け加える。

    「自分だっお最近たで䜕もしおなかったじゃないか」ず息子ががやいた。

     倕食のあず掗面所で歯を磚いおいるず、棚の䞊で小さく光るものが目に入った。手に取っおみるず、片方なくしたず思っおいたダむダのむダリングだった。

    「わあ、ここにあったんだ」ず思わず声が出た。

     颚呂から出おきた倫が、タオルを手に取りながら、「どうしたの」ず聞く。

    「むダリング。なくしたず思っおたのが芋぀かったの」

    「ああ、それ、床に萜ちおたよ」ず倫は蚀っお頭を拭き始めた。

     亀代で颚呂に入ったあずも、ナミの䞊向きな気分は続いおいた。そのむダリングは圌女が持っおいる䞭で唯䞀のダむダで、決しお安いものではない。倱くしたず思い、代わりを買うために貯金も始めおいたのだ。

     そのお金で、別の莅沢をしおもいいかもしれないず、ふず思った。

    「ねえ、今床、京郜に行かない」

     ナミは、゜ファヌの隣に座る倫に声をかけた。

    「嵐山に、いいホテルがあるらしいの。䌚瀟の子が行ったんだっお」

    「京郜かあ」

     倫は少し考えるように間を眮いた。

     しばらくするず、テレビの画面から芖線を倖し、圌女のほうを芋た。

    「いいね」

     圌は、やわらかく埮笑んだ。

     ナミも埮笑み返しながら思った。ささやかな幞せが、ここには確かにある。

     それで十分だず思えた。少なくずも、今は。



    ここたでお読みいただきありがずうございたした。

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    drift

     
     
    眠る前に考えた物語。

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