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Neon Diver 外伝編 ― お酒にまつわる疑問 ―

「いらっしゃいませ」

「どうぞ、こちらの席へ」

俺は、案内され、ソファに腰掛けた。

​席に座るまでの間に、お店の状況をざっと見ていた。

俺の癖だ。

照明は暗く絞られている。
壁、絨毯、テーブル、ソファ。
要所要所は丁寧に照らされ、どこを見ても、安物の気配はない。

店内の中央には、グランドピアノがあり、
プロのミュージシャンがジャズを奏でていた。

ボックス席が中心の大箱で、俺の見立てでは、ざっと100名は入れそうだ。

前に一度、利用したことがあるが、
常連と呼ぶには程遠い。

見える範囲で6〜7組。
客数は20名ほどだろうか。

平日の21時。
悪くない入りだ。

子供はいない、大人の社交場。
ピアノの音が、店内の隅々まで静かに染み込んでいた。

ジャズと談笑の声が、互いを邪魔しない距離感で混ざり合っている。

俺は、タバコを手に持ったまま店内を眺めていた。

夜の街に潜ることが生活の一部になっている俺だが、
こういった高級店をはじめ、キャバクラやスナックで飲んでいると、
ふと考えることがある。

「なぜ、客は大金を払ってまで、その店に通うのだろう」かと。

冷静に考えれば、同じ酒なら居酒屋や自宅のほうが圧倒的に安い。
経済的な合理性だけで考えれば、

「そんなに金を使って、何してるんだ」という話になる。

普通に考えれば、浪費だ。
はたまた、見栄っ張りか。
それとも、現代社会のストレスから逃れるためなのか。
あるいは、
もっと別の何かがあるのか。

そんなことを考えていると、

俺の席にキャストがやって来た。


「いらっしゃ〜い!Renkonさん」「久しぶりね♡」

「久しぶり! 乾杯しようか」

「いいの? ありがとう♪」

「もちろん、どうぞ!」

こうして、飲み会は静かに始まる。

​「乾杯」

グラスが触れ合う。

その瞬間、距離が縮まる。

笑う。
話す。
酒を飲む。

そして、楽しい時間を過ごす。


ふと思った。

もしかすると、
客がお金を払っているのは、酒そのものではないのかもと。。。

例えば、

・ 心地良い距離感や安心感。
・ 普段なら得られない解放感。
・ 誰かに話を聞いてもらえること。
・ 肯定してもらえること。

そして、
笑顔や相槌、会話そのものにも、
彼女たちの「技術」がある。

お酒を楽しく飲ませるプロ集団だから。

そう考えると、そこに支払うお金は、
単なる酒代ではないのだろう。

余計なお世話だが
店には家賃もある。
人件費もある。
音響や照明、空調、内装。
店を維持するための、さまざまな費用も必要だ。

そういったものを全部ひっくるめて、
俺たちは、その空間にお金を払っているのかもしれない。

一見すると不可解な「高い酒」の裏側には、
目には見えないものが含まれているのかもしれない。

ただ、それを必要としている人がいる。

俺自身も、その一人なのかもしれない。


「なぜ、客は大金を払ってまで、その店に通うのだろう」


人によって、その答えは違う。

それは、決して浪費や見栄だけではなく、その人には必要なものなのかもしれない。
俺たちは、お酒だけを飲みに夜の街へ来ているわけではない。


「楽しかったよ!」

「また、待ってるね」

「おう、じゃあまた」

店を​後にする。
夜の街は、俺たちを誘惑し続けていた。
俺は、その夜の海へ、また潜っていく。

今回、俺が見つけたのは、
酒の値段だけでは測れない、

「人が人に払う価値」だったのかもしれない。​

ND Renkon


今回は、「# 疑問が学びに変わるとき」にNeon Diverとしての
学びを書かせて頂きました。

何度、後悔しても二日酔いになり、
学びもへったくれも無いのですが

高いお勉強代を払いながらも
楽しんでる自分がいます。

いつも、最後まで読んでくださり、ありがとうございます。
ネオン街で会ったら、一杯、ご馳走させて頂きますww。

引き続きよろしくお願いします。

Jinsei

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