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10時間 第六章(最終章) ✀終着/執着✀

【お知らせ】
「10時間」第六章は、メンバヌシップ先行公開です。
䞀般公開は、埌日を予定しおいたす。

第五章は䞀般公開したした。

※ 第䞀章  五章たでは無料で読んで頂く事ができたす。

※ お気軜に感想等、コメントお埅ちしおおりたす。


第六章【終着/執着】

癜い光は匷く光っおいた。

䜕も芋えない。
䜕も聞こえない。

ただ、身䜓だけが、どこかぞ運ばれおいるような感芚があった。

浮いおいる。

いや。

萜ちおいるのかもしれない。

目を開けようずしおも、開かない。
手を動かそうずしおも、動かない。

遠くで、誰かの声が聞こえた気がした。

「アキラヌヌ」

ミサキ、ミサキか

そう思った瞬間。

芖界が、真っ癜になった。


気が぀くず、俺は立っおいた。

芋芚えのある列に䞊んでいた。

ずおも長い列だ。

先に芋える、
小さな門にも芋芚えがあった。

その䞊に曞かれた、

【倩遞所】ずいう文字。

「 ここは」

倢じゃない。

俺は、ここを知っおいた。

来たこずがある堎所。

俺は、再び列に䞊んでいたのだ。

老若男女が列を乱すこずなく䞊んでいた。

䜕かに匕かれおいるように前に進む。

やがお、仁王像のような色の黒い倧男が巊右に立぀堎所が芋えた。

「進たれよ」

その声に、聞き芚えがあった。

「次の方」

これも聞き芚えがあった。

「進たれよ」

その声に抗う事はできず、俺の身䜓は
再び門の䞭ぞ吞い蟌たれた。

やがお、あの二人の前に立った。

玳士。
そしお、淑女。

二人の頭䞊には【倩遞所】の文字。

「次の方、前ぞ」
玳士が声をかける。

俺の身䜓が前ぞ匕き寄せられた。

二人ずも、以前ず倉わらない衚情で俺を芋おいた。

淑女が手元の曞類に目をやる。
そしお、少しだけ眉を動かした。

「広瀬 明、25歳。亀通事故にお、この堎ぞ」
「犯眪歎なし、独身、恋人あり、飲食店勀務  。䞡芪健圚  。生涯枅算実斜  」

玳士が口を開く。
「䞀床、生涯枅算のため再生枈み」「10時間執行」

俺は黙っおいた。

「再生埌、予定日時に亀通事故に遭遇し、再び倩遞所ぞ」

「  」
その蚀葉を聞いおも、䞍思議ず驚かなかった。
自分でも分かっおいた。

あの瞬間。

23時44分。

俺は、たぶん死んだのだ。

淑女が曞類をめくる。
「恋人の目の前で起きた䞍慮の事故」

玳士が、俺を芋る。
「生涯枅算は達成されたかな」

そう問うおきた。

「生涯の枅算」「達成」

「悔いは無いかずたずねおおる」

真っ先に思い浮かんだのは、ミサキだった。

母芪。

芪父。

ロン。

友達。

高校時代の仲間。

店の仲間。

あの桜の朚。

そしお。
ただ続いおいるはずだった、俺の人生。
走銬灯の様な最埌の10時間を思い出しおいた。

「悔いが無い蚳ないじゃないですか」
「未緎、やれたこず、やり残したこず」「うたく蚀えないけれど、埌悔しおいたす」

淑女が蚀った。

「雑念が倚いため、倩囜、华䞋。」

䞀瞬、身䜓が固たった。

続く蚀葉を埅った。

「修緎にもおよばず」

玳士が、淡々ず告げる。
「再生の道、あり」

「お、俺は  たた、生きられるんですか」

「あなたは、ただ死んではいたせん」
「生死の審刀を受けおいるのです」

頬に涙が぀たう。

「戻れるなら、戻り、戻りたいです」

淑女が答えた。
「はい」「あなたの気持ちは分かりたした」

その䞀蚀に、胞の奥が熱くなった。

「ただし」
玳士が続けた。
「再々生の埌は、倧倉ですよ」

「  倧倉」

「あなたが遞がうずしおいる人生です」

淑女が、静かに蚀った。
「楜しいこずばかりではありたせん」
「苊しいこずもあるでしょう」
「悲しい別れもあるでしょう」
「苊痛も䌎いたす」

「それでも、広瀬さんは 」

玳士が俺を芋る。
「戻りたすか」

俺は、少しだけ考えた。
考えたけれど。
答えは、もう決たっおいた。

「戻りたす。戻しおください」

二人が、俺を芋る。

「俺は、みんなず別れたくない。死ぬのは 嫌です」
そしお、俺は笑った。

「倧倉でもいい」「぀らくたっお構わない」
「生きたいです」
「 笑いあいたいんです たた 䞀緒に」

淑女が、静かに頷いた。
「承知したした」

玳士が俺に告げる。

「倩寿たっずうのため、再生の道ぞ。再生期限なし」
「再生行きにご乗車ください」

「ありがずうございたす。」
ず蚀い終わる前に、身䜓が匷く匕かれた。

俺は叀びた電車の䞭にいた。

ふわりず浮いた列車が進む先。

俺の目の前に、あの時ず同じ景色が浮かんだ。

癜。
赀。
そしお、緑。

くっきりず分かれた堎所に列車は進んでいった。

俺は緑色の方向を芋぀めた。
俺の列車は、芋぀める先ぞ真っ盎ぐ進み、吞い蟌たれおいった。


「アキラ」

遠くで、誰かの声が聞こえた。

「アキラ」

「明」

「広瀬」

「アキラ」

「アキラ先茩」

遠くから、近くから䜕人もの声が聞こえおいた。

俺は、ゆっくりず目を開けた。

癜い倩井。
眩しい照明。
錻を぀く、消毒液の匂い。

「  ここ  どこだ」
うたく声が出ない。

身䜓が重くお痛かった。

喉が也いおいた。

芖界ががんやりしおいる。

けれど。
目の前に、たくさん人がいるこずは
雰囲気でわかった。

近くには、母ず父。

そしお、ミサキ。

スズに山本たで。
声が聞こえおきた。

みんな、泣いおいた。

「アキラ  」「意識 が、お母さん アキラの  」
ミサキの顔が、涙でぐしゃぐしゃになっおいる。

俺は、がんやりずみんなを芋た。
「  あれ」

少しだけ声が出た。
「なんで  みんなが 泣いおるんだよ」

母芪が、顔を芆った。
芪父も、䜕も蚀わずに俯いた。

ミサキが、泣きながら答える。

「だっお  」
声が震えおいる。

「アキラが  」
その先は声にならなかった。

俺は、みんなの顔を芋た。

䞍安そうな顔ず泣き顔が䞊んでいた。

その瞬間。

あの蚘憶が、頭の䞭をよぎった。

みんな笑っおいた。
い぀も笑っおいた。

俺は、今出せるすべおの力で蚀った。
「  思い出の䞭の皆は、笑っおたのに」
「笑えよ、笑顔が良い。俺は、 みんなの笑顔が  奜きなんだよ」

ミサキが俺の手を握った。

匷く。

もう䞀床、匷く。

「ミサキ、泣くな、 笑えよ」

ミサキは嗚咜しおいた。

それを芋お、俺も、涙が出た。

そしお。
母芪が、俺の手を握る。
芪父が、肩を震わせる。

ミサキが泣きながら笑っお蚀った。
「アキラ  が 生きおお  良かっ た」

その蚀葉を聞いお。

俺は目を閉じた。

生きおいる。
俺は生きおいる。

それだけで。
こんなにも、嬉しいこずにようやく気が付いた。


「はい、広瀬さん。頑匵っおください」

「むッテッ  はい。ふ」「あっ、痛いな」

病院のリハビリテヌション宀。

俺は、車いすから手すりに぀かたりながら、身䜓を起こした。
そしお、手すりに぀かたりながら、䞀歩ず぀歩いおいた。

「広瀬さん、䞋向かないで、顔䞊げお䞋さいね」
「あっ、焊らなくお倧䞈倫ですよ」
「筋力も萜ちおいるので、ゆっくりで」

「わかっちゃいるけど、痛いんです 動かすず」

䞀歩。

「そうです、そうです」「はい右、次は巊」

たた䞀歩。

「ふっ」

ただ、思うようには歩けない。
身䜓は重いし党身が痛い。

それでも。
俺は歩いた。

「そうそう。いいですよ」

䞀歩。

たた䞀歩。

その時だった。

「ひ、ろ、せさん」

聞き芚えのある声だった。
「はい、顔䞊げお、頑匵っお」

笑い声。

俺は、顔を䞊げた。

手すりの向こう。

少し離れた堎所に、ミサキが立っおいた。

満面の笑顔。

「  なんだよ」「仕事は  」

ミサキが笑う。

「土曜だよ」「さあ、頑匵っお、アキラ」

「あ、そっか。土曜ね」
俺も笑った。

䞀歩。

たた䞀歩。

ゆっくりず。

俺は歩き出した。

あの時、届かなかった䌞ばした手の先ぞ。

ミサキが手を差し出しおいる。

指には
デパヌトで買ったリングが光っおいた。

その光を目指しお

䞀歩、いや、

もう䞀床。

俺は自分の人生を。

粟䞀杯、生きるために。

歩き始めた。


「10時間」完


【あずがき】

最埌たで「10時間」を読んでいただき、ありがずうございたした。

死を目前にしたアキラが、最埌の10時間で芋぀けたもの。
それは、特別な䜕かではありたせんでした。

い぀もの食事。
母芪の味噌汁。
昔のナニフォヌム。
ちびた鉛筆。
桜の朚。

そしお、倧切な人の声。

倱うかもしれないず知った時、初めお気づく。
圓たり前の日々が、どれほど倧切だったのか。

「生きたい」

アキラが最埌に遞んだのは、もう䞀床続いおいく人生でした。

あなたなら。
もし、自分に残された時間が10時間だず知ったら――
䜕をしたすか

jinsei

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読たれるは、぀くれるのか。 ここは、正解を教える堎所ではありたせん。 仮説を立お、詊し、怜蚌し、たた 

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読んでくれおありがずうございたす。 「おもしろかったよ」「共感できた」「お疲れさた」の気持ちを蟌めお、 ゞュヌス1本奢る感芚でサポヌトを頂けたら、 めちゃくちゃモチベヌションが䞊がりたす これからも有益な発信を続けおいくので、 応揎よろしくお願いしたす。 Jinsei