
間に合わなかった。でも見えてきた父の思い「新出雲物語」
父が書いた小説『新出雲物語』の投稿を始めたのは、3月26日。
気がつけば、3か月ほどが経っていた。
連載を始めた途中で「創作大賞2026」の募集が始まり、「少しでも多くの人に読まれるきっかけになれば」という思いから応募してみた。
ありがたいことに、感想を書いてくださる方に取り上げていただき、連載作品ならではのタイトルの付け方についても貴重なアドバイスをいただいた。本当に感謝しかない。
ただ、現実はなかなか思うようにはいかない。
『新出雲物語』は全九章構成で、一つの章で最低一万文字以上ある。しかも父の手書き原稿を解読しながら文字起こしをしているため、とても時間がかかる。
現在ようやく第六章に入ったところ。
創作大賞の応募締切である7月8日までに完結させることは、どう考えても間に合わない。
もともと創作大賞への応募を目的に始めたわけではない。
それでも、どこか悔しい。
アドバイスをくださった方にも、そして何より父にも、少し申し訳ない気持ちになってしまう。
でも、第六章まで読み進めてきた今、一つだけ大きな収穫があった。
ようやく父が本当に伝えたかったことが見えてきた気がするのだ。
最初は、須佐之男命を主人公にした日本神話のオマージュ作品なのだと思っていた。
しかし、読み進めるうちにそうではないのでは?と考え始めた。
父にとってこれは神話ではなく、「実話」だったのではないか。
第六章で日巫女や伊邪那岐が登場したことで、確信に近い感覚になった。
長年研究してきた独自の歴史解釈を、多くの人に伝えるために、物語という形を選んだのではないだろうか。
そんな気がしてならない。
後年、父が日本各地の歴史を調べ歩いていたことは母から聞いていた。
その長年の研究の集大成が、この『新出雲物語』なのかもしれない。
創作大賞には間に合わなかった。
それでも、この作品を最後までnoteで連載し、完結させることには大きな意味があると思っている。
コロナ禍の隔離された病室で、家族に見守られることなく旅立った父。
その父が残した作品を世に送り出すことは、自分にできる供養の一つなのではないか。
そう信じている。
だから焦らず、一話ずつ。
『新出雲物語』を最後まで届けたい。
それが今の自分の使命だと思っている。