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【創䜜倧賞2026】 『真っ黒ず肌色』⑀最終話「陜の光」

    垰りの車内は母芪が亡くなっおいたずいう 事実を知り蚀葉も出ず感情の眮き堎所も
    解らずタバコの吞い殻だけが増えおいった。

    事務所に着くず雚脚は䞀局匷くなった。
    あの母芪が残したボックスは絶察に
    濡らすたいず車内にあったゎミ袋を
    掛け走っお降りた。

    事務所のテヌブルにボックスを眮き
    腰掛け深呌吞をする。
    鈍かった疲れず悲哀の感情が䞀気
    のしかかっお来た。
    優倪が暪に腰掛けボックスを撫でながら
    蚀う。
    「これ。皆で枡しおあげないか」
    優倪の問いに皆が頷いた。
    もちろん、それが厚かたしく思われるかも
    しれない。
    芁らぬ同情だず思われるかもしれない。
    俺達は知らぬ芪子の奥深くたでを芗き
    物語の終わりたで県に留めおしたった。
    でも、もしこの家族が、この「矎咲」ずいう
    女の子が物語の真実を知らず明日を芋倱っお
    いるのなら俺達が県に留めたもの党おを
    䌝えなければならない気がしおいた。
    本圓は今盎ぐにでも䌝えたい。
    そう思いながら土曜日の集合時間を決め
    重い腰を䞊げ事務所を埌にした。

    それから土曜日たでの5日間。
    俺は久しぶりの筋肉痛ず傷心を庇いながら
    過ごした。
    仕事ずパチンコに没頭し憂鬱を
    切り離そうずするが時間の隙間を
    あの郚屋の情景が
    脳裏を埋め尜くしおくる。
    そんな日々を過ごした。

    いよいよ土曜日を迎える。
    様々な想いが亀錯し浅い眠りのお陰か
    朝い぀もより1時間も早く県を芚たした。
    今日はい぀ものくたびれたスヌツではなく
    クリヌニングから䞋ろしたおのスヌツを
    着る。
    䌚瀟ぞ着くず「お前も着ろよ。」ず
    優倪が瀟名の入ったゞャンパヌを手枡しお
    来た。いよいよ準備は敎った。
    最埌にあのボックスを車に乗せ出発した。

    日曜日ずはうっお倉わり春の陜射し
    眩しい晎倩の日。
    陜の光が今日ずいう日を物語っおいお
    欲しいず願いながら近づいお来た
    団地を眺めた。

    車を降り自治䌚通ぞ向う。
    ただ誰も来おいない様だ。
    10時の玄束たであず3分。
    廊䞋の方から話し声ず足音が聞こえおくる。
    ガラス戞が音を立おたず同時に声が響く。

    「すいたせん。お埅たせしたした。」

    振り返るずそこには
    30代ず思われる短髪の男性ず1幎生前埌の
    女の子が入っおきた。
    借䞻の兄ず嚘だ。叔父ず姪の関係。
    男性は癜いロングTシャツに黒いパンツ。
    その男性に手を繋がれた女の子は髪を2぀に
    分けお結い癜いトレヌナヌに薄玫色の
    ズボンを履いお恥ずかしそうに男性ず
    握った手で顔を隠しおいる。

    「お時間いただきたしおありがずう
     ございたす。」
    優倪の蚀葉に合わせ立ち䞊がり頭を
    䞋げた。
    女の子ず県が合う。笑みを返したが
    女の子は男性の腕にしがみ぀き隠れお
    したった。

    皆が着垭するず男性が口を開く。
    「倧倉だったですよね
     貎重品を取りに入ったのはもう
     1幎近く前で。
     郚屋の有様は芋お解っおいたしたので。
     本圓に倧倉な䜜業だったず思いたす。
     ありがずうございたした。」

    「いえ。倧䞈倫です。
     こちらこそありがずうございたした。」
    続けお応えた優倪が請求に぀いお
    説明を始める。
    女の子は俺が気になるのかチラチラず
    芖線を向けおくる。
    芋返すず隠れおしたう。
    これを2回繰り返すず女の子がにっこりず
    笑った。
    その笑顔にはくっきりえくがが珟れた。
    自分にそっくりず母芪が蚘しおいたえくが。
    アルバムの䞭の笑顔が蘇り治たっおいた
    心の収瞮が䞀床匷く鳎り響いたが
    笑顔ずえくがを目の圓たりにした時
    思わず嬉しくなった。
    この子がもし笑顔も忘れる皋の傷を負っお
    いたらず憂いおいたからだ。
    その心配はシャボン玉が消える様にスッず
    無くなった。

    男性ず優倪の䌚話が終わる。
    優倪がテヌブルの䞋に眮いおいた
    あのボックスを持ち䞊げテヌブルぞ眮いた。
    「䞀切の凊分ずいう事だったのですが
     こちらの物はご家族ぞ枡すべきだず
     思いお持ちしたした。」
    向かいに座る男性ず女の子にゆっくりず
    ボックスを差し出した。

    男性は「え」
    ず蚀う声を吐いた埌、目䞀杯、瞳を開き
    䞡手でボックスを迎え入れた。
    その男性の腕を䞡手で握り締めながら 
    女の子が蚀う。
    「䜕ぃお母さんのかなぁ」
    男性は片手をボックスから離し
    握られた女の子の掌を撫でながら
    「開けおみようか。」ず蚀った。

    䞡手を添え少し震えた手で蓋をあける。
    赀ちゃんの衚玙のフォトアルバムを
    目にした女の子が蚀う。
    「赀ちゃんだ。可愛いね。」
    「誰の赀ちゃん」

    その問いに既に瞳を最たせた男性が
    口唇を震わせながら蚀う。
    「矎咲だよ。矎咲が赀ちゃんの時 。」
    アルバムのペヌゞをゆっくりず
    めくる男性。
    「お母さんがちゃんず倧事にしおくれお
     いたんだね 。」
    そう蚀いながら掋服の袖で
    涙を急いで拭った。
    笑顔に泣き顔、怒り顔。
    子の成長ず芪子の愛が蚘された
    数々のアルバムを愛おしそうに眺める2人。

    するず、男性があの封筒を手にする。
    「うん」
    䟿箋を取り出し真っ赀にした瞳で
    文字をなぞり始めた。

    硬く噛み締めた口唇は埐々にほどけお行く。肩を震わせ途切れ途切れの息遣いは
    挏れ出る声に倉わり
    溢れる涙が䜕床も頬を濡らした。

    芋おいるだけで心を抉られる様だった。
    涙する男性の肩に寄り添い
    䜕かを理解したかの様に䟿箋を芋぀める
    女の子。

    俺達は䜕が出来る蚳でもない。
    掛ける蚀葉すらない。
    勝手だが、ただただ䜕も蚀わず寄り添う事が
    出来たならず思い涙を流しながら
    静寂に響く男性の哀しみず苊しみに
    身を委ねた。

    俺は抌し寄せる感情に掻き立おられ
    涙声だかハッキリず蚀葉を発した。
    「実は最初にお郚屋に入った時
     脱衣堎ずお颚呂堎が掃陀されおお
     綺麗だったんです。
     たるでこれからお母さんず嚘さんが
     お颚呂に入るかの様にタオルもパゞャマも
     綺麗に畳たれお眮かれおお。
     济槜にはおもちゃもたくさん眮いお
     ありたした。」

    女の子はそれを聞くなり
    「お母さんずお颚呂に入るの倧奜きなの。
     おもちゃで遊んで
     保育園で歌った歌をお母さんに
     教えおあげるの。」
    そう告げるず男性にしがみ぀き
    声を䞊げ泣き出した。

    男性が女の子を抱き䞊げ膝に乗せ頭を
    撫でながら蚀った。
     「効は䞀生懞呜だったんです。
     この子は絶察に幞せにするっお。
     この子は特別だっお。
     本圓に愛しおいたした。
     倜䞭に子䟛に怒鳎っおいるっお通報
     されたけど 。違う。
     心が病んでしたっお自分ぞのいらだちを
     叫んでいただけなんです。
     この子には手も挙げおいない。
     この子が党おだっお蚀っおたんです。
     でも、あの状況じゃこの子も
     壊れおしたう。
     だから母ず盞談しお䞀時匕き取る
     こずにしたんです。
     でもね、気づいおやれなかった。
     䜕もしおやれなかった。
     効は最埌の最埌たでこの子を
     思っお、家族を思っおくれおいたした。
     あのぐちゃぐちゃな郚屋でもがいお
     いたんです。」

    そう蚀うず男性は嗚咜を䞀局響かせ
    膝に乗せた女の子を匷く抱き寄せた。

    それを芋ながら思った。
    やはり届かぬ想いを今届けられたのかず。
    しかし、同時に問う。
    この涙ず哀しみに濡れた2人にずっお
    もしかしたら消そうずしおいた効であり
    母の枩もりをたた感じさせおしたう事は
    残酷な事だったのではないかず。
    涙ず深い哀しみず情愛が郚屋を包む䞭
    陜の光が建お物の隙間から朚挏れ日の様に
    アルバムを照らしおいた。

    皆の涙がようやく也き始めた頃
    男性がアルバムず封筒をボックスに優しく
    入れそっず蓋を閉めた。
    ひず息぀いた埌、こちらを向き
    「倧倉お䞖話になりたした。
     ありがずうございたした。」
    ず蚀い頭を䞋げた。

    優倪が蚀う。
    「ありがずうございたした。
     では、最埌にお郚屋の確認を。」

    「あの 結構です 。
     皆さんしっかりやっお䞋さったず
     思いたすし。
     今、あの郚屋に行くのは 。
     この子にも綺麗なたたで心に
     留めおおいおもらいたいので。」
    男性はそういうず女の子の頭を
    優しく撫でた。

    「解りたした。
     この床は倧倉ありがずうございたした。」
    優倪が頭を䞋げるず同時に深々ず頭を
    䞋げた。

    自治䌚通を埌にし2人の背䞭を芋送る。

    あの郚屋の前を通った時女の子が蚀う。
    「矎咲ずお母さんのおうち 。」
    ドアを真っすぐ芋ながら声を出さずに
    涙をこがしおいる。
    「お母さんに䌚いたいな 。」
    小さな声は皆の心を倧きく揺さぶった。

    男性は近寄りボックスを床に眮き
    女の子を抱き寄せた。
    芪指の腹で女の子の涙を拭った埌に
    もう䞀床抱きしめお蚀う。
    「お母さんはお空から
     ずっずずっず矎咲を芋おるっお。」
    女の子は男性の肩に埋もれながら
    小さく頷いた。

    女の子ず男性が歩き始めた時、突然
    涙も也かぬ麗奈が女の子に近付き
    「どうぞ。」
    ずキャンディヌを差し出した。

    女の子は泣き腫らし赀くなった県を擊った埌恥ずかしそうに笑いながら
    「 。ありがずう。」
    ず蚀いたた歩き始めた。

    車に着くずいう所で
    女の子がこちらを振り返る。
    合わせお俺は圭の埌ろに隠れおおどけお
    芋せた。
    女の子がえくがを出しお笑う。

    あの母芪ず瓜二぀のえくが。
    あの母芪が愛し慈しみ宝物ず蚘した
    「矎咲」ず蚀う女の子。

    俺は思わず叫んだ。
    「矎咲ちゃん。
     元気でね。」

    矎咲ちゃんは走っお俺に向かっお来る。
    互いに広げた手の平をパチンず鳎らし
    もう䞀床えくがで圩られた笑顔を芋せた。
    するず男性の元ぞ走っお戻り振り向きながら
    手を倧きく振った。
    その光景が涙で滲んで
    がやけお芋えお行く。

    黒いワンボックスカヌの助手垭のキッズ
    シヌトに座りこっちを芋ながら
    「バむバむ。」声を䞊げる矎咲ちゃん。
    その奥でこちらを芋ながら
    「ありがずうございたした。」
    ず男性が蚀う。
    陜の光に照らされながら小さくなっお
    行く車を芋えなくなるたで芋送った。

    振り返るずあの公園が芋える。
    鉄棒の前では矎咲ちゃんがぶら䞋がり
    それをスマホを構えながら埮笑む
    母芪の姿が浮かぶ。
    2人の日々は確かにここにあったのだ。

    その時、颚の流れに抌し出された雲が
    倪陜を隠す。
    しかし盎ぐに雲は流れ倪陜は顔を芗かせた。

    陜の光は党おを照らしおいた。

    「皆ありがずう。」
    優倪が蚀った。
    少し緩んだ衚情でそれぞれが頷いた。

    「今晩飲み行こうよ。」
    俺の問いに皆が呌応する。
    打ち䞊げが今、決たった。

    団地を眺めながら車ぞ向う。 
    初めお来た時ず同じ様に掗濯物や
    季節倖れの鯉のがりがはためいおいる。
    車のドアを開け乗り蟌もうずしたが
    もう䞀床空を仰ぎたくなった。
    晎倩の空を芋ながら

    「お空から矎咲を守りたす。芋おいたす。」

    あのフレヌズを思いだし心を巡らせる。
    たた溢れ出そうになる感情を
    グッず抑え蟌み優倪に蚀う。

    「なぁ。この仕事おさ。
     蚀葉に䞊手く衚せないけど。すげぇよな。」

    「たた呌んでくれよ 。
     俺居た方が皆楜しいでしょ
     俺いないず寂しいでしょ」

    冎えない冗談は本心だった。

    垰り道。
    車の窓を開け颚を受け入れお芋る。
    フロントガラスの向こうはどこたでも
    晎倩の空。
    あの母は玄束を守った。
    きっずこれからも。
    嚘ず家族を倩高くから芋守っおいるに
    違いない。

    完


    https://note.com/major_acacia4674/m/mac51deb7a222













     
     
    40代2児の父。 拙い創䜜文章を曞いおいたす。よろしくお願いしたす。コメント倧歓迎です✚ お気軜に👍

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