
アプリ開発に1千万円かけて、見事に失敗した話
貯金を全額つぎ込んだ。
会社員を辞めて、自分の会社を立ち上げて、1千万円かけてアプリを作った。
結果、ユーザーはほぼゼロ。1千万円は綺麗に溶けた。
これは成功者の美談じゃない。
「こうやったら失敗する」というリアルな記録です。
これからアプリを作りたい人、起業を考えている人、自分のサービスを世に出したい人。
同じ失敗をしてほしくないから、全部書きます。
会社員時代、ずっとアプリのことを考えていた
新卒でエンジニアとして入社して、3年間働いた。
1年目はICT支援員として小学校で子どもたちにパソコンの使い方を教える仕事。
2年目以降は企業に出向して、社内のPC運用管理をやっていた。
仕事は安定していた。
でも、ずっと頭の中にあったのは「自分のサービスを作りたい」という気持ちだった。
作りたかったのはスケジュールアプリ。
ただのカレンダーアプリじゃない。
友人同士でスケジュールを共有できて、SNSのようにIDで検索してフォローし合える。
お互いの予定が見えるし、予定に招待もできた。
さらに、配信者やYouTuber、イベント事業者が「公式アカウント」として予定を発信し、一般ユーザーがそれをフォローするとカレンダーに自動で反映される。
そこが他のアプリとの差別化ポイントだった。
ターゲットも明確に見えていた。
公式アカウントを使ってくれる著名人や企業が増えれば、そのフォロワーが自然に流入してくる。
そういう設計だった。
少なくとも、当時の自分にはそう見えていた。
退職。そして1千万円を全額つぎ込んだ
3年間働いて貯めた貯金が、だいたい1千万円。(副収入あり)
会社を辞めて、自分の会社を立ち上げた。
作りたいアプリは頭の中で完成していたから、あとは外注先に言語化して伝えるだけだと思っていた。
大体、
開発費に700万円
要件定義に200万円
サーバー維持費に100万円
合計、約1千万円。全部、自分の貯金だった。
退職してから1年足らずでアプリは完成し、無事にリリースできた。開発自体は予定どおりだった。ここまでは順調だった。
ここまでは。
「終わったな」と思った瞬間
実は、開発を始める数ヶ月前に事件が起きていた。
大手のT社が、自分が考えていたのとほぼ同じ機能をリリースした。
その知らせを見た瞬間の気持ちは、一言で言うと「終わったな」だった。
でも、もう開発は動き出していた。
お金も使い始めていた。
ここでやめたら、それまでの投資が無駄になる。そう思って、続行した。
今振り返ると、この判断が最大のミスだった。
「ここで止める」という選択肢を、当時の自分は持てなかった。
リリース後、現実を知った
アプリはリリースできた。でも、ユーザーは来なかった。
当たり前だった。誰もこのアプリの存在を知らない。
当時の自分は、本気でこう思っていた。
「リリースすれば、自然と知ってもらえるだろう」と。
甘かった。
世の中に数え切れないほどのアプリがある中で、ストアに並べただけで気づいてもらえるわけがなかった。
じゃあどうするか。自分で営業するしかなかった。
配信者やYouTuber、企業に片っ端から連絡した。何百件も送った。
メール、DM、問い合わせフォーム。ありとあらゆる手段で営業をかけた。
結果。公式アカウントとして使ってくれた企業や配信者は、ゼロだった。
返信があっただけマシで、ほとんどは既読スルーか、そもそも読まれていなかった。当然だと思う。
どこの誰かもわからない人間から突然連絡が来て、「うちのアプリ使ってください」と言われて、使う人はいない。
リリースから約1ヶ月。「これはダメだ」と悟った。
何百件も連絡して、成果はゼロ。貯金はほぼ底をついていた。
正直、鬱になるくらい追い込まれていた。
ただ、自分は割と精神的に強い方だったから、そうはならなかった。
でもギリギリだったと思う。
本当に大事だったのは「開発」じゃなかった
1千万円を溶かして、やっと気づいた。
大事だったのは開発じゃなかった。マーケティングだった。
どれだけ良い機能を作っても、知ってもらえなければ存在しないのと同じだった。
アプリは使ってもらって初めてサービスとして成立する。
そのためには「認知」が絶対に必要で、認知を獲得するには戦略と、多くの場合、お金がいる。
実は、このこと自体は最初からなんとなく知っていた。
でも「企業や配信者が使ってくれれば、そこからユーザーが広がるはず」という都合のいいシナリオで上書きしていた。
実際、多くの人気アプリは広告に莫大な費用をかけている。
自分は開発費に全額つぎ込んでしまったから、広告費がゼロだった。
これが致命的だった。
今、AIでアプリが簡単に作れる時代になった。
でも、作れることと使ってもらえることは全く別の話です。
ここを甘く見ると、自分と同じことになります。
1千万円がなくなった時の気持ち
正直に言うと、「無」だった。
悔しさも、不甲斐なさも、怒りもあった。
でもそれを全部ひっくるめて「無」としか表現できない感覚だった。
家族は有難いことに、あまりその話題に触れてこなかった。
応援してくれていたし、何も聞かずにいてくれた。
何も聞いてほしくない状態だったから、あの距離感には今でも感謝している。
自分自身が一番悔しさを感じていたから、追い打ちをかけられていたら本当にきつかった。
友達には、そもそもアプリの進捗を一切話していなかった。
「アプリ作るんだ」とだけ言っていて、その後の状況は何も共有していない。
結果が出てから言おうと思っていた。
結果は出なかった。だから、言わなくてよかったと今でも思っている。
もう一つの反省:相談相手がいなかった
振り返ると、技術的な失敗よりも「孤立していたこと」のほうが致命的だった。
周りに起業している人がいなかった。相談できる相手がいなかった。
起業家のコミュニティやイベントは存在していたし、参加すれば状況は変わっていたかもしれない。
でも、当時の自分は内向的で、そういう場に飛び込むのを避けていた。
経営者としてあるまじき行為だったと思う。
1人で全部抱えて、1人で全部判断して、1人で全部失敗した。
誰かに相談していたら
「その機能、もうT社がやってるよ。方向転換した方がいいんじゃない?」と言ってもらえたかもしれない。
「開発費に全額突っ込むのは危険だよ」と止めてもらえたかもしれない。
失敗から動き出すまで
落ち込んだ。でも、止まっていても意味がないと思った。
落ち込むこと自体は悪いことじゃない。
ただ、自分はその時間がもったいないと感じてしまうタイプだった。
だから考えることは止めなかった。
失敗してから初めて、行きつけの美容院の店長に相談した。
その人も経営者だった。
最初からこの人に相談しておけばよかったと心底思った。
話しているうちに「一緒に何か事業をやろう」という流れになった。
自分には小学校での業務経験がある。
エンジニアとしての知識もある程度ある。
店長はちょうど教育事業に興味を持っていた。
パズルのピースが合うように、プログラミングスクールのフランチャイズという選択肢が見えた。
ノウハウも教材もゼロから作る余力はなかったから、フランチャイズという形が一番現実的だった。
こうして今、プログラミングスクールを運営している。
1千万円の失敗が教えてくれたこと
最後に、この経験から学んだことをまとめておきます。
❌作ることより、届けることの方がずっと難しかった。
開発は計画どおりに終わった。
でも「知ってもらう」ためのシナリオが完全に甘かった。
リリースはゴールじゃない。スタートラインだった。
❌競合が先に動いたら、立ち止まって考え直すべきだった。
「終わったな」と思ったのに続行した。
あの時に止まる勇気があれば、1千万円は溶けなかったかもしれない。
❌一人で全部やろうとしてはいけなかった。
相談相手がいなかったことが、判断ミスを連鎖させた。
経営者こそ、外の人間とつながるべきだった。
❌全額を開発費に使ってはいけなかった。
どれだけ良いものを作っても、広告費がゼロなら誰にも届かない。
予算配分は「開発 < マーケティング」で考えないといけなかった。
1千万円は戻ってこない。
でも、この失敗がなければ今の自分はいない。
負け惜しみじゃなく、本当にそう思っている。
今は事業を運営しながら、AIを使って再挑戦している最中。
今度は1人で抱え込まず、発信しながらやっていくことにした。
このnoteは、その記録の第一歩です。
※このnoteでは、起業のリアル、失敗から学んだこと、AIを実務で試した記録を書いていきます。 気になった方はフォローしてもらえると嬉しいです。