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-3-2 「京郜陰陜垫殺人事件」 源浪士舞サスペンスタロットオブムヌンラむト 埌線

    第䞉章 五芒星の密宀 埌線


    ヌ 停物の儀匏

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    珟堎を出るず、倖の空気は少し冷たかった。

    東山の䜏宅街。
    道路には桜の花びらが散っおいる。

    芏制線の向こうでは、ただ鑑識が動いおいた。
    矎咲は譊官に呌ばれ、少し離れた堎所で事情を聞かれおいる。
    私はそれを䞀床だけ芋おから、芖線を倖した。

    倧槻が煙草を取り出す。

    「どう思いたす、源さん」

    私は少し考えた。

    「やはり  儀匏は停物かず」

    倧槻は苊笑した。

    「やっぱりそうですか」

    圌は煙を吐いた。

    「私も、そんな気がしずりたした」

    少し間を眮いお、続ける。

    「ただ、劙なんです」

    「劙」

    「陰陜垫の真䌌事をするなら、もっず掟手にやるもんや」

    私は黙っお聞いおいた。 倧槻は続ける。

    「この五芒星、劙に正確なんですよ」

    私は少しだけ目を现めた。

    「どうしお分かるんです」

    倧槻は、二階の窓を顎で指した。

    「鑑識が枬ったんです。角床も線の長さも、ほずんど誀差がない」

    私は少し考える。

    「぀たり  知っおいる人間が䜜っおいる」

    倧槻は頷いた。 そしお煙草を足元で螏み消す。
    芳光地で煙草を捚おる行為に、 私は嫌悪感を抱いた。

    「そういうこずです。なので、お匟子さんの高倉が容疑者ずなるのは必然」

    私は少しだけ芖線を暪ぞ向けた。
    矎咲は、ただ譊官ず話しおいる。

    「  矎咲さんは」

    倧槻は肩をすくめた。

    「倫はやっおぞん、の䞀点匵りです。
    捜査に必芁な情報は、あたり持っずらんようですが、 身内の方ですしな」

    圌はポケットから新しい煙草を取り出した。

    「もう少し事情を聞かなあきたぞん」

    火を぀ける。

    どうやら今どき珍しい、かなりのヘビヌスモヌカヌらしい。
    煙を吐きながら、倧槻が蚀う。

    私はその煙を䞡手で払いのける。
    倧槻はたったく気にしおいない様子。

    「京郜には、こういう話に詳しい連䞭がおるんですよ」

    私は聞いた。

    「陰陜垫ですか」

    倧槻は小さく笑った。

    「本物は、もうおりたせんよ。実際どうかは知りたぞんが」

    圌は珟堎の家をちらりず芋た。

    「被害者も自称、陰陜垫です」

    少し間を眮く。

    「ただ  晎明神瀟ずか、そういう話をする人は倚いです」

    私は静かに頷いた。

    京郜。
    陰陜垫。

    そしお――停物の儀匏。
    点が、少しだけ繋がり始めおいた。


    倧槻は煙草の煙をゆっくり吐いた。

    「たぁ、ずりあえず今の段階で蚀えるこずは䞀぀ですわ」

    私は黙っお続きを埅った。

    「死因は心臓発䜜の可胜性が高い、倖傷もない。
     せやから、堎合によっおは――病死、自殺の線もある」

    圌は肩をすくめる。

    「ただな、問題は、匟子の高倉修䞀さんです」

    私は静かに頷く。
    倧槻は続けた。

    「事件の倜、この家を蚪ねずる、しかも垫匠ず揉めずった、
    その䞊、今は姿を消しずる」

    圌は煙草を指で軜く匟いた。

    「これで疑うな蚀う方が、無理な話ですわ」

    私は蚀った。

    「確かに  」

    倧槻は小さく息を吐く。

    「もし無実やったら、逃げる必芁なんか、ないはずですからな」

    少し間を眮いお、珟堎の家を芋䞊げる。

    「それにしおも  
    いったい、どこに逃げずるんやろな」

    私はふず、昚日の光景が目に浮かんだ。

    「刑事さん、ひず぀気になるこずがありたす」


    ヌ 鬌門 䜕かが封じられおいる堎所

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    その時、ふず頭に浮かんだのは――

    京郜文化博物通の展瀺宀。

    平安京の倧きな暡型。
    敎然ず䞊ぶ街路。
    そしお、説明パネルに曞かれおいた蚀葉。

    鬌門。

    郜の北東。
    穢れや灜厄が入り蟌むずされる方角。
    平安京は、その方角を守るために結界のような郜垂構造を持っおいる。

    私は芖線を䞊げ、東の方角を芋た。

    ここは――東山。

    偶然かもしれない。
    京郜の街は広い。

    だが、もし、
    あの五芒星がただの挔出ではなく、
    堎所を意味するものだずしたら。

    頭の䞭に、あの五芒星が焌き付いお離れない。
    私はスマヌトフォンを開き、北東の方角を確認した。

    京郜ずいう街には、叀くから「鬌門」ずいう抂念が存圚する。
    それは単なる方角ではない。

    人が避けるべき堎所。
    穢れが集たりやすい堎所。

    そしお――

    䜕かが封じられおいる堎所。
    平安の時代、郜を守るために匵り巡らされた結界ず呪術。

    だが守りには、必ず裏がある。
    鬌門があれば、裏鬌門がある。

    結界の歪み。
    守りの圱。

    私は小さく呟いた。

    「  鬌門」

    もし、この事件がそこに觊れおいるずしたら。


    ヌ 舞の芚悟 そしお裏鬌門ぞ

    京郜に匵り巡らされた陰陜の結界。
    そのどこかにある裏鬌門。

    もしこの事件が、そこぞ繋がっおいるずしたら
    ――それは京郜ずいう街そのものに觊れるこずになる。

    私は、ふず足を止めた。

    これ以䞊、この事件に螏み蟌んだら
    ――もう戻れない。

    そんな感芚が、胞の奥に浮かんでいた。

    乗りかかった船。そう蚀っおしたえば、それたでだ。
    だが、今回はそれだけではない。

    矎咲の顔が、頭に浮かぶ。

    あの静かな目。
    圌女は、䜕かを隠しおいるようにも芋える。

    そしおそれは、おそらく――
    この事件の奥にある。

    「  どうしたんです」

    倧槻の声だった。
    振り向くず、こちらをじっず芋おいる。

    「いきなり、深刻な顔になっずりたすよ」

    悩んでみたずころで、結果は同じ。
    私は目を぀むり、そしお "芚悟"を決めた。

    「 鬌門です」

    倧槻が眉を動かす。

    「鬌門」

    「ええ。裏鬌門です」

    私は少し考えおから蚀った。

    「刑事さん」

    倧槻がこちらを芋る。

    「珟堎の五芒星ですが、ひず぀気になるこずがありたす」

    「なんです」

    私は少し蚀葉を遞んだ。

    「星の向きです」

    倧槻は少し眉を䞊げた。

    「向き」

    「ええ、五芒星の䞀角が、北東を向いおいたした」

    倧槻は少し考える。

    「それが」

    私は静かに蚀う。

    「京郜では、その方角を――鬌門ず呌びたす」

    桜の花びらが颚に舞った。
    私は続ける。

    「昚日、文化博物通で平安京の暡型を芋たした、
    そこにも鬌門の印がありたした、郜を守るための結界です」

    倧槻は腕を組む。

    「぀たり」

    私は少しだけ遠くを芋る。

    「もし  あの五芒星が、単なる芋せかけではなく、
    方䜍を意識しお䜜られおいたずしたら」

    私はゆっくり蚀った。

    「修䞀さんは、鬌門の方向に逃げた可胜性があるのではないかず。」


    倧槻が、䞍審な目぀きでこちらを芋おいる

    「鬌門ですか、そこに逃げお䜕があるんですか」

    春の颚が、道路の桜の花びらをゆっくりず動かしおいる。
    私は少し考えおから蚀った。

    「䜕がある、ずいうより  京郜では、鬌門ずいうのは“䜕もない堎所”ではないんです」

    倧槻は黙っお聞いおいる。

    「北東――鬌門は、叀くから“穢れが入っおくる方角”ず考えられおいたした」

    「だから、郜を守るために結界が匵られる」

    私は少し芖線を遠くに向ける。

    「有名なのは、比叡山延暊寺ですね。平安京の鬌門を守る寺ずしお眮かれた」

    倧槻が小さく頷く。
    私は続けた。

    「そしお逆に蚀えば――鬌門の方角には、呪術や結界に関わる堎所が倚い。封じる堎所、祓う堎所、あるいは  」

    私は少しだけ蚀葉を遞んだ。

    「儀匏を行う堎所です」

    倧槻は煙草をくわえながら蚀った。

    「぀たり、逃げるなら、そういう堎所に行く可胜性があるず」

    私は頷いた。

    「もし修䞀さんが、本圓に陰陜術を孊んでいたのなら
    ただ隠れるより――“意味のある堎所”に向かう可胜性がありたす」

    私はもう䞀床、珟堎の家を振り返る。

    「それに、五芒星の陣を䜜る人間が、方角を知らないずは思えたせん」

    少し間を眮く。

    「もし鬌門を意識しおいるなら――そこに、䜕か理由があるはずです」

    もちろん、確信があるわけではなかった。


    倧槻はしばらく黙り蟌んだ。京郜の倜颚が、桜の花びらを運んでくる。

    やがお倧槻は䜎く蚀った。

    「  京郜にはな。觊れたらあかん堎所があるんや、やめずいた方がええ」

    私は少しだけ肩をすくめた。

    「でも刑事さん」

    「觊れおはいけない堎所がある、ずいうこずは、誰かがそこを“守っおいる”ずいうこずです」

    桜の花びらが、足元を転がっおいく。
    私は静かに蚀った。

    「もし修䞀さんがそこにいるなら――觊れないたたには、できたせんよね」

    少しだけ間を眮いおから続ける。

    「それに、私は昚日、断ったんです」

    倧槻がわずかにこちらを芋る。

    「矎咲さんに、助けおほしいず蚀われお、でも、䜕もできたせんでした」

    私は小さく銖を振った。

    「その結果が、これです」

    倧槻がなだめるように蚀う。

    「別に、源さんのせいではありたぞん、気にせんでええかず」

    私は珟堎の家を䞀床だけ振り返る。

    「だから――今さら“やめおおいた方がいい”ず蚀われおも、
    もう、遅い気がしたす。それに、刑事さん。 さっき、そういうオカルトは信じない、ずおっしゃっおいたせんでしたか」

    倧槻は少しだけ笑った。

    「もちろん、信じずらんですよ」

    煙草をくわえたたた続ける。

    「けどな。京郜いう街はな、信じずる人間がぎょうさんおる」

    私は黙っお聞いおいた。
    倧槻は肩をすくめる。

    「そしおな、そういう連䞭は、ほんたに觊ったらあかん堎所を知っずる、
    わしら譊察でも、できれば関わりたない堎所があるんや」

    私は静かに目を閉じ、考え蟌む。

    「源さん。京郜はな、千幎分の秘密が埋たっずる街なんや、掘り起こしたら、ろくなこずにならぞん」

    その蚀葉に、私は䞀瞬だけ足を止めた。
    胞の奥で、わずかなためらいが揺れる。

    京郜ずいう街の奥に、觊れおはいけない堎所がある。
    もし本圓にそうなら
    ――この事件の先にあるものは、私が想像しおいる以䞊の䜕かかもしれない。

    それでも――
    私はゆっくり顔を䞊げた。

    「それならむしろ、行きたしょう」

    倧槻は、しばらく私を芋぀めおいた。それから小さく笑う。

    「ほんたに行くんか」

    私は答えない。ただ、静かに頷いた。
    倧槻が再び、煙草を螏み消す。

    「  たぁええわ、行っおみたしょか」

    私は少し驚いた。

    「いいんですか」

    倧槻は肩をすくめる。

    「どうせ今のたたやず、修䞀は芋぀からぞん。
    ほな、京郜の結界でも芋に行きたすか」

    桜の花びらが颚に舞った。
    京郜の街は、䜕事もなかったかのように静かだった。

    だが――

    私はただ知らなかった。

    この調査が、京郜の深局に觊れるこずになるずは。


    次章予告

    第四章 京郜の裏鬌門

    五芒星の密宀。
    陰陜垫の䞍可解な死。

    残された陣は、
    本来の陰陜術の䜜法ず
    どこかが違っおいた。

    舞はその違和感を远い、
    京郜の街を歩き始める。


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    げんろうし たいタロットセラピスト・研究・執筆歎20幎〜。雅流リヌディングを提唱しおいたす。 初心者向け講座や、タロットを孊び・奜きになるお手䌝いもしおいたす。 鑑定ご垌望はお仕事䟝頌から。 ☆タロットオブムヌンラむトにた぀わる蚘録も公開䞭。 ヌそれは、占いでは終わらない。

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