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Photo by423shibusan

高校の廊下でゴリラに吠えられる

    高校から頻繁に電話がくる。
    正確には高校の担任の携帯からだ。

    授業をボイコットしただの
    いたはずなのにいないだの
    生意気だの
    態度が悪いだの
    また授業をボイコットしただの

    ボイコットしすぎなんだよ。


    ある日、ついに高校に呼び出された。

    渋々学校に行くと、廊下でゴリラが吠えている。

    なんかやたらガタイのでかい先生が、明らかになにかに向かってめちゃめちゃ怒っている。

    「こんっな生徒、見たことねぇよ!!!」

    そう吠えて振り向いた瞬間、わたしと目が合った。

    目が合ったゴリラは「やべぇ、保護者だ・・・」という表情をするかと思いきや、心持ち顎を上にあげて「お前が保護者か?」という顔をされた。

    相当お怒りのご様子だ。
    もしかしたらわたしもついでに怒られるパターンなのかもしれない。
    なにもしてないのに。
    ジャイアンを産んだだけなのに。

    聞けば生徒指導だかなんだかお偉い先生らしい。

    廊下で担任と学年主任までもが心なしか萎縮して控えている。

    そして通された説教部屋で、たっぷりこってり親のわたしも交えて怒られた。

    ゴリラ「お前学校続ける気あんのか!?」

    ジャイアン「あー、わっかんないっすねー」

    わたし「・・・・」

    またひとつ雷が落ちる。

    この状況でこの返答ができるバカ。

    頼むよ、ジャイアン。
    ここは「はい」一択だよ。


    結果
    「態度を改めるか学校辞めるかどっちにするか考えてこい」
    といわれてその場は放免された。

    いやいや、こっちは2、3ヶ月前に入学したばかりなんですよ?

    態度を改める以外の選択肢、選べます?

    入学して一学期も終わらない夏前に
    「今度なにかやったら退学な」
    という誓約書を書かされたうえ、ジャイアンはけっこう長めの謹慎処分を言い渡された。


    そうしてなんとか謹慎処分がとけ、ジャイアンも一応学校に通う日々が続いた。

    そして高校でできた友だちがうちに遊びに来るようになった。


    「ちわーす」

    そういって礼儀正しくうちに来る子たちのまぁガラの悪いこと悪いこと。

    あれかな?
    あの子はドラケンくんかな?
    東京卍会に出てくる子かな?

    なんでみんな、うちに来るの?

    そしてうちに来てジャイアンの部屋でおしゃべりしている彼らに飲み物を持って行ったりするとね。

    煙草吸おうとする奴とかいるんですよ。

    その場で没収です。

    部屋が煙草くさくなるの嫌ですからね。

    わたし「おい」(煙草よこせと手を出す)

    友だち「えー」

    わたし「つべこべいってるとジッポ没収するぞ」

    友だち「ジッポはやめてー」

    ジャイアン「うち禁煙なんだよー」

    うちじゃなくて、お前らはどこでも禁煙なんだよ。


    さらに夜8時頃になるとソワソワし始める。

    わたしが。

    あいつらお腹空いてるんじゃないかと思って。

    そこで「ラーメン食べるー?」と聞くと、

    「あざーす!」と元気な返事が返ってくる。

    何人前作るんだ・・・と思いながらも、ただでさえおバカな彼らが空腹を抱えたまま帰路につくと、イライラが高じてなにをするかわかったものではないという心配が先に立ち、とりあえず常時奴らの腹は満たしておこうと心に決める。


    そんなある日のことです。

    仕事帰りに駅に降り立ち、家に向かって歩いていたとき。

    コンビニの前でたむろしているガラの悪い連中がいるな、と思ったら自分の息子と目が合った。

    焼きそばUFO食べてる。

    わたしを見て「おぅ」とかなんとか声を上げ、隣にいた友だちもわたしに気づいて軽く会釈する。

    すると、どこぞの後輩か何か知らないが、周りにいた4人くらいの男子が
    「ジャイアンくんのお母さんだ」と気づき、一斉に立ち上がってわたしに挨拶してきた。

    「ちわっす!」
    「お疲れっす!」

    直立不動で口々に挨拶してくる。
    ほとんど姐さんを出迎える輩の姿勢だ。

    やめて欲しい。

    外聞が悪すぎる。

    「はぁ」とか「どうも」とか、わたしも返事をしたんだか、ワンチャンこの挨拶はわたしに向けたものではないというギリギリの空気感を出してその場を去った。

    仕事帰りのスクールカウンセラーが受けていい挨拶ではない。

    気が抜けない。

    それにしても、焼きそばUFO食べてたけどあいつ帰ったら晩ごはんは食べるのかな・・・

    そんなことを思いながら生きていた日々でした。

     
     
    臨床心理士歴26年✖️エッセイ 人を深く見つつ深刻に扱わない。 テーマは多岐に渡るけど最後はあなたの「くすっ」に届けたい。 ベテラン心理士7人によるユニット「魔女の館」にて 夜明けの魔女として臨床で出会ったできごと、 人の心、家族との日常などについて書いてます。

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