
ルータ間リンクのIP設定漏れ/間違い『ネットワーク層の話⑨』
現場で「物理リンクはUpなのに、pingが返らない」「OSPF/EIGRPのネイバーが上がらない」という話が出たら、原因の一つにIPアドレス設定漏れ/設定間違いがあります。L2は生きている(LED点灯・CDP/LLDPで相手が見える)のに、L3が張れていない典型パターン。作業差し替えや設定流用の際にインターフェースへIPを入れ忘れた/別ポートへ入れてしまったことがまれにあります。
症状の出方
show ip interface briefで対象IFがunassignedのまま
show cdp neighbors detail(またはLLDP)では対向装置が見えるのに、pingが不達
OSPF/EIGRP/BGPのネイバー未形成(Hello/DISCOVERYが見えない)
物理・L2はup/upで、エラーやCRCは無し
なぜ起きるか(代表例)
ポート差し替え:Gi0/0→Gi0/1へ配線を変えたが、IP設定を移さず空ポートに残置
部分コンフィグのコピペで、ip address行だけ抜け落ち
サブインターフェース前提の設計だが、物理IFに入れるべきを忘れた
片側だけ**/30と/31を取り違え**(マスク不整合で同一セグメントにならない)
図:片側が未設定の例
[R1] Gi0/0 ---------------- Gi0/0 [R2]
10.0.12.1/30 (未設定)
R1:
interface Gi0/0
ip address 10.0.12.1 255.255.255.252
R2:
interface Gi0/0
(ip address の記述なし) ← これが原因
この状態ではL2はつながっていても同一IPネットワークが成立せず、到達性はゼロ、動的ルーティングの隣接も不成立です。
確認コマンド(Cisco IOSの例)
まず全体像:show ip interface brief(IP/Status/Protocol)
相手が見えるか:show cdp neighbors detail / show lldp neighbors detail
当該IFの詳細とマスク:show running-config interface Gi0/0
ルーティング側の副作用:show ip ospf interface / show ip eigrp interfaces / show ip route
復旧手順(実作業の流れ)
設計シートを確認:対向のIP/マスク(例:10.0.12.1/30と10.0.12.2/30)
両端IFに正しいIPとマスクを設定
conf t interface GigabitEthernet0/0 ip address 10.0.12.2 255.255.255.252 ← /30の例 no shutdown end
到達確認:ping双方向、必要ならtraceroute
プロトコル確認:show ip ospf neighbors / show ip eigrp neighbors 等で隣接形成を確認
経路確認:show ip routeで学習経路が載るかを確認
それでもダメなときの切り分け
マスク不一致がないか両側の設定を比較(/30↔/31など値相違)
VRF違いがないいか確認(想定してないVRFに所属してると、別のインターフェースからパケットが出ていくことも)
ACL/インターフェースポリシーでICMPやプロトコルマルチキャスト(224.0.0.5/224.0.0.10等)を遮断していないか確認(ICMP遮断してると切り分けが厳しい。動的ルーティングの制御パケットを遮断してると、正しくルーティングが構成されない)
再発防止(チェックリスト化)
変更手順書に**「対向IP/マスク/VRF」突き合わせ項目**を追加
アドレッシング表を最新版に一本化(機器名/IF名/IPv4/マスク/備考)
作業前後で**show ip interface briefとshow cdp neighbors detailのBefore/After**を保存
配線差し替え時は説明(description)に対向装置/IFを記載し、設計との差分を可視化
まとめ
リンクがup(L2レベルで正常)なのに到達しない場合、まず**「IPが入っているか」を確認するのが最短です。
show ip interface briefでunassignedなら、設計シート通りに両端へIP/マスクを設定**——これだけで多くの“隣接しない・届かない”問題は解消します。