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☀️第1話 『日本人は“涼しさを食べていた”——かき氷、そうめん、風鈴に隠された夏の知恵』

    最近、毎年のように聞く。

    「観測史上最高気温」
    「危険な暑さ」
    「不要不急の外出を控えて下さい」

    昔より明らかに暑い。
    正直、(子供の頃、こんなに暑かったっけ?)
    と思う。

    そんなある日、ふと思った。


    私
    「ねえ、ソクラ。」
    「冷たい物って胃腸に悪いって言うよね?」
    「なのに、なんで日本人って夏になると、
    そうめんとか、かき氷とか、
    冷たい物ばっか食べるの?」

    ソクラ
    「ほう。」
    「そこに気づくか。」
    「それはな——」

    日本人が“涼しさを食べる民族”だからだ。


    私
    「え? 涼しさを食べる?」
    でも、なんとも日本人らしい表現で好き!

    ソクラ
    「そうですなあ。」

    「日本人は昔から、“味”だけを食べておらん。」

    “季節そのもの”を食べてきた民族なのだ。

    少し考えてほしい。
    夏になると、
    なぜか食べたくなる物がある。

    そうめん。
    冷やし中華。
    麦茶。
    スイカ。
    かき氷。
    冷奴。

    正直、
    栄養効率だけなら、
    もっと良い食べ物はある。
    なのに、なぜ人は、
    夏になると、

    “あの味”

    を求めるのか。

    ソクラ
    「いやあ。」
    「食べているのは“冷たさ”ではない。」

    “涼しさ”なのだ。

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    “涼しさを食べる民族”

    たとえば、

    そうめん。
    透明なガラスの器。
    氷水。

    ツルっとした喉越し。
    流しそうめんなら、
    音まで涼しい。

    あれは、
    ただ麺を食べているのではない。

    ☀️“夏を食べている”

    のだ。

    私
    「あー……なんかわかる。」
    「かき氷もそんな感じかも。」

    ソクラ
    「そうですなあ。」
    「かき氷は、甘味でありながら——」

    “頭を冷やす体験”

    でもある。
    シャリシャリ。
    冷気。透明感。

    そして、一瞬で身体が冷える感覚。
    あれは、

    ただ甘い物ではない。

    “暑さから逃げる儀式”

    なのだ。

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    夏バテしてる人々

    私
    しかし——ここで疑問が出る。
    「でもさ。」
    「冷たい物って胃腸に悪いんでしょ?」

    ソクラ
    「半分正しい。」
    冷たい物を摂り過ぎると、
    胃腸の血流は下がる。
    消化力も落ちる。
    お腹を壊す人もいる。
    夏バテの原因にもなる。

    つまり、

    “冷やしすぎ”は身体に良くない。


    私
    「じゃあ、やっぱり悪いんじゃん。」

    ソクラ
    「いやあ。」
    「だが、日本には別の問題がある。」

    湿気だ。

    日本の夏は、
    暑いだけではない。

    蒸し暑い。

    汗をかいても蒸発しない。
    身体が熱を逃がせない。

    つまり、

    “蒸される暑さ”

    なのだ。

    ソクラ
    「腹を守るか。」
    「身体の熱を逃がすか。」
    「祖先は後者を選んだ。」

    私
    「なるほど……。」
    「多少、胃腸に悪くても、
    生き残る方を優先したってこと?」

    ソクラ
    「そうですなあ。」
    「ただし——」

    昔の“冷たい”は、今ほど冷たくなかった。

    ここが面白い。
    現代人は、コンビニで

    キンキンに冷えた飲み物
    を飲む。
    冷蔵庫は当たり前。
    氷も大量。

    だが、
    江戸時代は違う。
    冷蔵庫など無い。
    氷は超高級品。
    将軍クラスの贅沢。
    庶民が感じる“冷たい”は、

    井戸水くらい。
    つまり——

    15〜20℃くらいの、優しい冷たさ。

    私
    「え!? じゃあ江戸時代の人って、そんなに冷えてないの?」

    ソクラ
    「いやあ。」
    「わしらの頃は(笑)」
    「身体を壊すほどキンキンにはせん。」

    つまり、現代は、

    “冷やしすぎ文明”

    なのかもしれない。
    だが、
    江戸の人も、
    ちゃんと夏を乗り切る知恵を持っていた。

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    打ち水する女性

    打ち水。
    すだれ。
    縁側。
    風通し。
    そして——

    風鈴。

    私
    「風鈴って、今考えると不思議だよね。」
    「1℃も下がらないじゃん。」

    ソクラ
    「ほう。」
    「だが、日本人は温度だけで生きておらん。」

    風鈴の音。
    青いガラス。
    透明な器。
    怪談話。
    夕暮れ。

    蚊取り線香。

    これらは全部、

    “脳に涼しさを感じさせる知恵”

    なのだ。

    つまり日本人は、
    温度だけではなく、

    “感覚で冷えていた民族”

    だった。

    私
    「なんか、日本人って面白いな。」
    「暑さに勝とうとするんじゃなくて、工夫してたんだ。」

    ソクラ
    「そうですなあ。」
    「日本人は、夏に勝とうとはしなかった。」

    「その代わり——」

    “涼しさを作った”

    のだ。

    私
    「だから、かき氷も、そうめんも、風鈴も……」
    「ただの夏の風物詩じゃないんだ。」

    ソクラ
    「いやあ。」
    「祖先は——」

    “夏を食べていた”

    のだよ。

    そして、ふと思う。
    最近の夏は、
    少し暑くなりすぎた。
    もしかすると、

    昔の知恵を、
    もう一度見直す時代なのかもしれない。

    私
    これからも、日本人として
    “涼しさを食べる民族”で
    いたいものです。

    次回——

    「なぜ日本人は昼寝しないのか?」
    中東と真逆の“我慢する夏”の正体へ。


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