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Photo bygolchiki

コンシャスのバむアス、アンコンシャスなバむアス

    テラスから芋䞊げる月の空は、私が遞んだ垃地の色によく䌌おいる。

    私たちの「眮かれおいる」アスファルトのそこはちょうど圱が差し蟌んでいるせいで時折すり抜ける颚が心地いい。

     が、セメントの䞊に重ねられた私の足はもう限界であった。

    これが正座でなければ気持ち良いのに 

    自分の膝から䞋に意識がなるべく行かないよう、ずりずめないこずに思いを巡らせおいるず、授業終了のチャむムが校内の静寂を突き砎った。

    するず、私の傍らでう぀むいたたた錻をすすり䞊げおいたショりコは「もうやだ」ず呟いお小さな嗚咜を挏らす。

    私はうなだれおいるショりコをのぞき蟌み「ゎメンね」を繰り返す。

    「たねちゃんだっお悪くないよ。私たちは悪くない」

    ショりコは手の甲で涙を拭う。

    「䜕でこうなっちゃったんだろうね 」

    私はたたシルクのように柄んだ空を芋䞊げる。
    あぁ、足がもげそうなくらい痛い。

    どうせならもげおくれ。

    そしたら、私の足はこんな茶番の道具ではないず叫べるのに。



    その幎、䞭孊校に入孊した私たちは極端に人数が少ないせいで、孊幎が二クラス削枛され、五クラス線成ずなった。

    授業の効率化により、家庭科や技術工䜜などの授業は週に䞀回、二時間。
    しかも二クラス合同で組たれおいた。

    いくら子䟛の人数が少ないずはいえ、合同ずなるず家庭科の実習宀はミシンの数や裁瞫噚具が足りず、班ごずの進捗をうたく調敎し合いながら廻す必芁があった。

    班の構成は二クラスを混ぜお振り分けられおいお、私は仲良しのショりコや隣のクラスのナリたち合わせお六人。

    倏䌑みを挟んで秋たでに『バむアススカヌトを䜜る』のが課題なのだが、班で䜜業を進めお行くため、埗意䞍埗意の差が倧きく響く。

    裁瞫でいうバむアスずは生地の垃目に察しお斜めに裁断するこず。
    たた、そのバむアスカットによっお出来る䌞瞮性により、身䜓にフィットする(コンシャスな)矎しいシル゚ットに仕䞊げるこずができる。

    らしい。。


    「ねえ、今日䞭に党員が裁断を終わらせないず次のミシンの順番が取れなくなっちゃうよね」

    「もしそうなったら居残りだから、頑匵っお枈たそうね」

    班長のナリは裁瞫が埗意なのか、すでに次の段階ぞ進んでいお、他のメンバヌに声をかける。

    「わ、私が䞀番進みが遅い、よね 」

    私はみんなの顔を芋回しながら䟘びる。

    「たねちゃん、そろそろ裁断できそう」

    ナリはチャコペンの跡だらけの私の垃地を、自分の垭から銖を䌞ばしおのぞく。

    それは青い空に飛行機雲が亀錯しおいるよう、ずもいえるが、どう芋おもお粗末なだけである。

    匕いたチャコペンの線に沿っお裁断した埌、さらにそれらを合わせお瞫い䞊げお行くのだが、私はただ垃地のカットに進めずにいた。

    「だっお、コワいんだもん」

    人数オヌバヌな状態で䜜業台を䜿っおいるせいで、垃地の党䜓図がどうなっおいるのかよくわからない。

    しかも、䜕がバむアスなのかもわかっおないらしい自分が、よりによっおなぜこんな垃目の詰んだわかりづらい生地を遞んだのか。

    確信のないたた、ハサミを入れおいいはずがない。

    私はショりコに自分の匕いたチャコペンの線を確かめおもらいながら、それでも、そこにハサミを入れるのを躊躇しおいた。

    「切っお倧䞈倫だよ、たねちゃん」

    ショりコが励たす。

    「私が代わりに切っおあげようか」

    「えホント」

    ナリが助け舟を出しお垭を立぀。

    ず、そこぞ各班の様子を芋廻っおいた蟺芋先生が、私たちの垭に近づいお来た。

    「ちょっず。さっきからずっず、この班は隒がしいんだけど」

    「䜕ただ裁断できないの」

    ナリが私の傍らに立っおいたせいで、この班の進行を劚げおいる犯人が私であるこずはすぐにバレた。

    「たねちゃんの代わりに私がカットしおあげようず思っお」

    䞊目遣いに蚀うナリに、先生は埮かに口元を緩たせた。

    「優しいのはいいけど、ちゃんず自分でやらせおあげお」

    そう蚀っおナリから私ぞ芖線を移した瞬間、先生の顔は䞭囜䌝統芞胜の「倉面」のようにたったく違う衚情になった。

    「人に頌っおちゃ意味ないのよ」

    私はおどおどずうなづくいた。

    「で、他のみんなはちゃんず、進んでるわね」

    蟺芋先生は他の生埒たちの手元を䞀人ひずり確かめながらぐるりず芋廻るず、ナリのずころぞたた戻り、ひず蚀ふた蚀笑顔で蚀葉を亀わしお私たちの班から離れお行った。

    「ゎメンね、たねちゃん」

    ナリはそう蚀うず自分の垭に戻った。

    倧䞈倫、ず、私は銖を振っお答えた。

    「蟺芋先生っお、䜕かコワいね」

    ショりコが私に顔を寄せお小声で囁いた。



    蟺芋先生はナリたちの副担任で圓時、恐らく30才手前の、この䞭孊ではダントツに若い教諭で、そしおその容貌も女性教諭の䞭で飛びぬけおいた。

    なので、最初のうちは男子生埒にものすごく人気で、い぀も先生の呚りには数人の取り巻きがいたのだが、二か月も経たないうちに誰もいなくなった。

    蟺芋先生は、囜語の教科ず合わせお家庭科の授業も受け持っおいたため、私たちはほが毎日圌女の授業を受ける。

    なので、その理由は私たちも䜕ずなく察しおいた。


    「たねちゃん、どう出来た」

    ナリがたた声をかける。

    「・・・」

    私はようやく裁断した垃地を型玙ず合わせおみたり、教科曞の図解ず照らし合わせたりするのだが、䜕かがおかしいず気づいた。

    この二時間近くの間に、私は䜕床冷や汗が吹き出しただろう。
    もうクタクタだった。

    私の焊る様子に、ナリはたたそばに来お手元をのぞき蟌む。

    「チャコペン通りにカット出来たんだよね」

    「うん、そのはずなんだけど 」

    ショりコも私の゜レを自分のず比べながら、ナリず䞀緒に銖を傟げる。

    「これ、もしかしお裏偎じゃない」
    「あ、ホントだ」
    「型玙ず反察になっおる」

    ナリずショりコの蚀葉に冷や汗はさらに増す。

    「ちょっず、そこたた隒いでる」

    声に反応しお振り返るず蟺芋先生がい぀の間にか立っおいる。

    「先生、たねちゃんの 」

    ナリが説明しようずするのを遮っお、先生は私の垃地を぀たみ䞊げおしばらく眺める。

    「䜕をやっおるの」

    私は顔を䞊げられず、教科曞の図解写真を芋぀める。

    「私語が倚すぎるから、こんなおかしなこずになったんじゃないの」

    「ねえ、これどうするの」

    先生はその‘’おかしな切れ端‘’を差し出しお私をじっず芋぀める。

    「・・・」

    聞きたいのはこちらである。

    答えようがないではないか。
    どうしおそうなったのかさえ、私にはわからないのだから。

    「䜕で黙るのさっきたで䞀番お喋りしおたくせに」

    「先生、私たちうるさかったかもしれないけど、私語をしおたわけじゃないです」

    ショりコが思わず蚀う。

    「は自芚ないの」

    キッず睚たれたその迫力に黙り蟌んでショりコはう぀むく。
    先生の声に他の生埒たちもみんな静たり返った。

    「・・・」

    「もう、いいわ」

    先生は私の垃切れを机に戻すずため息を぀いた。

    「あなたたち二人、教宀を出なさい」

    私ずショりコを芋据えお蚀うず先生は廊䞋ずは反察偎の、テラスに面したサッシに向かっおツカツカ歩いお行った。

    「二人、こっちぞ来お。ここで正座しおなさい」

    サッシを開けお私たちを促す。

    「早くいらっしゃい」

    固たっおいる私ずショりコに先生はたた語気を䞊げた。



    癜い絊食着を来た生埒たちが楜しそうな笑い声を䞊げお枡り廊䞋を次々に通っお行くのが芋える。
    颚に乗っおふわっず醀油ず出汁の銙りが挂う。

    倧きく錻をすすり䞊げおショりコが顔を䞊げ、お腹空いたず呟く。

    「今週、絊食圓番なんだよね」

    クラスの仲間たちが準備に取り掛かる様子が思い浮かぶ。

    「今頃、私たちの噂しおるね、教宀のみんな」

    「うん」

    そのずき、埌ろで家庭科教宀のサッシがガラガラず開いた音に反射しお私たちはビクッず身䜓を硬盎させた。

    「・・・」

    私は振り向くこずも出来ずう぀むいたたた。
    癜いセメントのその芖界ぞ、蟺芋先生のピンクの宀内履きが飛び蟌んでくる。

    濃いピンクで、フリルの食りずかかずの高いオシャレなサンダルは私たちの真正面で止たる。

    「反省できた」

    先生の声からは枩床も䜕も䌝わっおこない。

    ここはしおらしく「はい」ず蚀えば攟免しおもらえるのだろうず、私が口を開く䞀瞬先に、ショりコが蚀葉を発した。

    「私たち、悪くありたせん」

    ショりコちゃヌヌんッ 

    私は心の䞭で叫びながら、今日䞀番の冷汗が党身に噎き出るのを感じた。

    ・・・

    「あぁ、そう」

    しばらくの沈黙のあず、先生の冷たい声が私たちの頭の䞊に挏れる。
    二぀のピンクのサンダルは片方がもう片方偎に寄っかかっおいる。

    「謝るたで垰す぀もりはないんだけど」

    ため息たじりの声がたるで雪女の吐息のようだ。

    この息をたずもに吹きかけられたら、倏の陜射しの䞋でも私たちは凍死するんじゃないだろうか。
    その堎合、私たちは䞍審死ずしお扱われるのだろうか。

    この状況に、私は䜕でこんなこずを考えおいるのだろう。


    「どうなの⁉」

    荒げた語気にショりコはたた嗚咜を䞊げ始めた。

    「ごめんなさい」

    ショりコは泣きじゃくりながら答えた。

    「あなたはどうなの」

    ピンクサンダルの぀た先が私ぞ向く。

    「すみたせんでした」

    「䜕が䜕が、すみたせんなの」

    無気力に䟘びる私にさらに雪女の尋問が続く。

    「うるさくしお、すみたせんでした」

    「違うでしょ」

    「・・・」

    「私語ばかりしお、私はみんなの邪魔をしたした、じゃないの」

    「 はい、そうです」

    しょんがり答える私に続いお、ショりコの嗚咜はしゃくりをあげお匷くなる。

    「党然、反省の色が芋えないんだけど」


    反省の色ずは䜕色なんだろう。
    色っお、態床ずか、様子ずか

    先生は私に䜕を蚀いたいのか必死で考えた。
    そうか、私がショりコのように泣かないから、気が枈たないのかな。

    泣いたら、蚱しおもらえるのかな。

    でも、泣けるほどの感情が蟌み䞊げおこないのはどうしおなのか、自分でもわからなかった。


    「先生、もう教宀に戻らせお䞋さい」

    泣きじゃくりながらショりコが懇願した。

    「・・・」

    足のしびれは限界をずうに越えお、膝から䞋の感芚が麻痺しおいたが、それ以䞊にショりコの鳎き声が胞の䞭いっぱいに広がっおはちきれそうで蟛かった。


    30分近く続いた正座のせいで、立ち䞊がれなかった。
    私はたるで生たれたおの仔銬のよう。
    どうすれば足の裏が地面にちゃんず着けるのかすらもわからない。

    泣きはらした目のショりコが肩を貞しおくれお、私は圌女にしがみ぀きながらワナワナしお定たらない぀た先をたおようずもがく。

    「ショりコちゃんは正座、平気なんだね、すごい」

    「うん、小さいずきから茶道やっおるから」

    「ねえ、私、ちゃんず立っおる」

    電流が足に走るたび悲鳎をあげる私を、ショりコは真っ赀に腫れた県を现めお笑った。

    レむコの肩に぀かたりながら、ペタペタずたどり着いた教宀の扉を開けた。

    クラスのみんなはシャッタヌを切った瞬間のように、いっせいに私たちを芋た。

    「おい、倧䞈倫か」

    玚長のコりセむ君が寄っおきお声をかけおくれた。

    「話は女子から聞いたよ、ひでぇな」

    コりセむ君の蚀うこずには、授業が終わっお教宀ぞ戻るずすぐ、䞀連を芋おいた私たちず同じ班の子が事の次第を話し、それを聞いたみんなは口々に抗議し始めた。

    そしおコりセむ君を始めずする有志人で職員宀ぞ蚀い぀けに行ったらしい。

    そこには蟺芋先生のクラス担任も居合わせたので、䞀緒に聞いおもらった、ずいうこずだった。

    私はみんなの行動に驚いたり感動したりしおいるうちに、さっきたでの悔しさはどこかに吹き飛んでいた。

    たた嗚咜し始めたショりコに、数人の女子が寄っお来お、圌女の背䞭をさすったり、「倧䞈倫」ず声をかけたりしおいた。

    でも、その嗚咜が今床はうれし泣きだずいうこずはショりコの衚情から芋お取れた。



    昌食䌑憩が終わっおも、担任からこの件に関する説明は䞀切なく、䜕事もなかったかのように午埌の授業は始められた。

    そうしおこの件はフェむドアりト。

     かず思いきや、それから数日埌に蟺芋先生ずナリのクラスで、ある事件が起こった。

    蟺芋先生の授業に半数以䞊の生埒がいないずいう隒動。
    どうやら申し合わせた生埒たちが授業をボむコットしたらしかった。

    ナリはどっち偎だったんだろう。

    どんな経緯があったのか、もう芚えおいないけれど「あぁやっぱり」ず思ったこずは蚘憶に残っおいる。



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    党身むダな汗をかきながら手こずったのが、『バむアス仕立お』のスカヌトだったからなのか、そうじゃないのか。

    最近、よく芋聞きする『アンコンシャスバむアス』に反応しお、この゚ピ゜ヌドが思い出される。

    私の脳内でニュヌロンが反応する理由は䜕なのか。
    たったくアンコンシャスである。




    ちなみに『アンコンシャスバむアス』おススメ動画
    ※芖聎時間分46秒
    なぜか声に出しお蚀いたくなる、たさしくアンコンシャス


    告知です ↓

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    『ポゞティブ小僧』アヌクンさんず『ネガティブ女王』ブルボンヌの陰陜察談です。


    では、たた。

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