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Photo bynotty78

おいしい誘惑

    「あ、ソフトクリームだって! 食べたいなぁ」
    売店のポスターを見かけると、姉は幼い子供のようにぱたぱたっとビーチサンダルの音を鳴らして駆け寄っていった。ビーチサンダルから跳ね上がる砂が足に絡みついている。


    「おねえちゃん、夕飯食べられなくなるよ? 宿の夕飯、グレードアップしたからキンメダイの煮付けになるって、楽しみにしてたじゃん」
    「たっぷり泳いだし、大丈夫だよ」
    姉は自信たっぷりに頷いて、うーんバニラか抹茶かと悩み始める。

    昔みたいに海水浴に行きたいねと相談して、姉妹で夏休みを合わせ伊豆へ二泊三日。
    幼いころに家族で泊まった民宿の名前は憶えていなかったけれど、海の感触は肌が忘れていなかった。

    一日中太陽の下にさらされた肌はほてり、日焼け止めを塗りわすれていたふくらはぎは、ぴりぴりと熱い。

    「ナミちゃん、バニラと抹茶の両方頼んで、半分こしない?」
    しょうがないなあといいながら、わたしの顔もほころんでいく。

     
     
    主にエッセイ。ときどき物語。イベントレポートなども書いています。BOOK SHORTSで開催された「LOVE KAMATA AWARD」大賞受賞。ロシア武術「システマ」についても学んでいます。連絡先 wachikarin@gmail.com

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