メインコンテンツへスキップ
見出し画像

手摺の冷えと余白

    日曜の朝、カーテンの隙間から冬の白い光が床にのびています。窓の外では薄い雲が電線をゆっくり横切っていきました。

    予定を並べると、空白が落ち着かなくなる日があります。埋めれば整う気がして、手帳のマスをぎゅっと詰めてしまいます。

    昼前に用事で駅へ向かい、歩道橋の手すりに触れたら指先がひやりとしました。吐く息が一瞬だけ白くなって、すぐに風にほどけていきます。

    ホームの端で電車を待つあいだ、発車ベルの音が思ったより高く響いていました。音のあとに残る短い静けさが、案外長く感じられるのはなぜでしょうか。

    その静けさを見ていると、予定の隙間も同じ働きをしているのかもしれません。埋めない場所があるから、次にすることが見えやすくなる気がします。

    たとえば次の移動の前に、三分だけ何もしない時間を置いてみます。スマホを握る手をほどいて、コートの袖口の起毛を指で確かめてみるのもありかもしれません。

    やることが減るわけではないのに、順番が落ち着いてきます。濡れたスニーカーがタイルをこする音まで聞こえて、足元が今ここに戻ってくるようでした。

    夕方、窓の外の空は朝より深みを増していました。今日のどこかに余白をひとつ残せたら、息の通り道ができるといいのですが。

     
     
    迷ったとき、疲れたときに開く「やわらかな休憩所」。景色と言葉と写真を綴ります。 二十四節気の『窓辺の暦』と、暮らしに寄り添う『余白のそばにあるもの』をお届け中。 ☕️心とからだを休める「引き算の食事」別館👇 https://note.com/shizukana_diet

    あなたへのおすすめ