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終わらせない勇気と、夜のしまいかた

    mado no kotoba

    卓上灯だけが、部屋を静かに照らしていました。

    窓の外では終電の音が遠ざかり、換気扇が低く回っています。
    カップに熱いお茶を注ぐと、白い湯気がゆっくりと天井へほどけていきました。

    指先でカップを包むと、冷えていた掌に温もりが戻ってきます。
    「今日は、終わらせられなかった用事が残ってしまったな」
    そんな思いが、ふと頭をよぎるかもしれません。

    頭の中だけで片づけようとすると、思考は同じ場所を何度も回り続けます。
    だから、完了を目指すのではなく、ただ「栞を挟む」だけでいいのだと思います。

    ノートの端に「明日やる一つ」と「いま気になる一つ」を書き留めてみる。
    ペン先が紙を擦る音がして、形のない静けさが確かな輪郭を持ち始めます。

    字が上手でなくても、今日の輪郭が薄く残ればそれで十分。
    あとはカップをすすぎ、シンクの水滴を布で丁寧にぬぐうだけ。

    こうした小さな手入れが、一日を終えるための頼もしい合図になります。
    灯りを落とす前に深呼吸をひとつ。それだけで、肩の内側がすっとほどけていくはずです。

    解決ではなく、心地よい区切りを増やして眠る。そんな夜があってもいいのです。

     
     
     
    迷ったとき、疲れたときに開く「やわらかな休憩所」。景色と言葉と写真を綴ります。 二十四節気の『窓辺の暦』と、暮らしに寄り添う『余白のそばにあるもの』をお届け中。 ☕️心とからだを休める「引き算の食事」別館👇 https://note.com/shizukana_diet

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