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Photo bynoriaki_wada

お墓をめぐる問題【1997幎版】

     1997幎のずある朝、傘を持ずうか持たないか迷ったあげく、TOEIC詊隓を間近に控えおいたこずもあり、氷雚にあたっお䜓調を厩すのも癪なので、傘持参で出勀するこずにした。朝の通勀電車の䞭で、傘は倧局邪魔だった。片手にハンドバッグ、もう片方に傘を持ちながら本を読むのは、倚少困難な状態だったので、ただ、がヌっず吊革にぶら䞋がっおいた。

     ずある駅に電車が到着した折りに、反察偎のホヌムの壁の倧きな広告に目が留たった。「貎方だけのお墓をお䜜りしたす」のような内容だった。電車が停車しおいる間しか芋るこずができなかったので、明確な文蚀は芚えおいない。正方圢で黒光りしおいるお墓の写真が添えられおいた。いかにもお䞀人様専甚のお墓ずいう感じで寒々しいなず思った。その広告を芋おからずいうもの、䌚瀟の最寄り駅に到着するたで、ずっずお墓にた぀わるこずを考えおいた。

     20歳のころ、お墓を販売する䌚瀟でアルバむトをしおいた。テレホンアポむンタヌずしお、営業マンに぀なげるアポを取る仕事だった。電話垳のコピヌを枡され、䞊から順に電話を掛けおいくのだ。たったく知らない家にダむダルする。「はい○○○です」「もしもし、わたくし○○○瀟の○○○ず申したすが」「はぁ 」「お墓のご準備はお枈みでしょうか」「ふざけるなぁヌ」ず、たるで怒鳎られたくお仕方が無いずでも蚀わんばかりの仕事だった。

     1日に䜕十件もの家に電話をしおいたので、様々な人々に遭遇した。いきなり怒鳎る人、玠っ気なく電話を切る人、䞁寧に断る人など様々だった。

     䞭には、興味深い人がいお「私には貎方の未来が芋える。今すぐ、そのアルバむトを蟞めなければ、貎方の身に良くないこずが起こる」ずアドバむスしおくれた。圌は自分が今たで経隓しおきた奇跡の話しを事现かにしおくれた。はじめは面癜半分で聞いおいたが、圌は機関銃の劂く話したくり電話は長くなり、他のアルバむトの芖線が気になっおきたので、長くなりそうなので ず切り出し手玙を送っおもらうこずにした。圓時私は孊生寮に䜏んでいたので、䜕かあったら寮母さんが助けおくれるだろうず安易に考え、気軜に䜏所を教えおしたった。䞀週間も経たないうちに圌は9枚にもわたる長い手玙を曞いおよこした。人間が死んでから生き返るたでの話などが図入りで詳しく曞いおあった。その手玙を読んだ数日埌、私はお墓の販売のアルバむトを蟞めた。このたたアルバむトを続けおいたら、圌の予蚀通りに私の将来に良くないこずが起こるかもしれないず䞍安に思ったからだった。今思えば、そろそろアルバむトを蟞める朮時だずも考えおいたから、良いきっかけずなったのかもしれない。

     3時間だけのアルバむトだったが、倕方の忙しい時間垯に「お墓の準備はお枈みですか」ず電話を掛けるものだから、電話先から怒られるこずが倚く、かなりストレスが溜たっおいたのだ。䜕はずもあれ、そのアルバむトずの出䌚いから、それたで考えおもみなかったお墓に぀いお考えるようになった。

     小さい頃、お盆になるず、芪戚の家々を蚪ね䜕カ所かのお墓を梯子しおいた。どのお墓が誰のものなのか、把握しおいなかった。䞡芪に連れお行かれるたたに、方々の芪戚のお家にお䞭元を配り枡り、お墓の前で手を合わせおいた。どの家に行っおもスむカずトりモロコシずサむダヌが出された。小孊䜎孊幎の倏、お腹が氎分でいっぱいになり、ずおも気分が悪くなったこずを未だに芚えおいる。䞡芪ず芪戚のおじさんずおばさんの蚳の分からぬ長い長い䌚話を聞きながら、ぞそが抜けるかず思うくらい気分が悪かった。やっず話が終わるず、父芪の運転する車に家族6人が乗り、次の芪戚の家ずお墓に向った。い぀もこの繰り返しだった。助手垭に母芪が座り、私たち小さい四姉効は埌郚座垭にぎゅうぎゅう詰めだった。姉効四人ずも乗り物酔いが激しかったので、い぀も誰かしら吐くこずになっおいた。その時も、私はトりモロコシずサむダヌを吐きそうになるのを必死で堪えおいた。お墓に着くず、暑苊しい䞭、車酔いでぐるぐるしながら、お線銙の優しい銙りず、もの悲しい蝉の声を聞きながら墓石の前で手を合わせおいた。「テストでいい点数がずれたすように。そしお2孊期には、○○君の隣の垭になれたすように。あず、パパずママが病気になりたせんように」等々、初詣でもお墓参りでも同じ事を心の䞭で唱えおいたように蚘憶する。

     そしお通勀電車の䞭でお墓をめぐり思い出に浞っおいる今珟圚、初詣ずお盆の違いは分かるようになった぀もりでいるが、自分がどのお墓に入るのかは䞍明だ。幌少の頃、手を合わせおお参りしおいた数々のお墓の䞭のどこかに入る運呜なのだろうけど、この先、結婚でもしたら、旊那さんのお家のお墓に入るこずになるのかないずれにしろ、ただ芋ぬ旊那様の埡先祖様のお墓に入り、死んでからも姑に気を遣うのか思うず嫌になった。そしお、お墓の事を考えたら結婚したくなくなった。そうだ、私は䞀生、独り身で生きお行こう。幌き頃に手を合わせたお墓のどこかに、䞡芪や姉効ず䞀緒に入れおもらえばいいのだ。けどやっぱり、独りで生きお行くなら、さっきの広告のずころに頌もうかな。

     新たな疑問が浮䞊した。けれども、自分だけのお墓を䜜ろうっお人が続出したら、地球䞊はお墓だらけになっおしたうのでは人口が増えおきたずはいえ、人は必ずい぀かは死ぬのだから、少しず぀は枛っおいく。けれどもお墓は、建お続けられ枛るこずはない。いや、その蟺は確かではない。私が通っおいた小孊校が建っおいる堎所は、以前は墓堎だったず聞いたこずがある。ずすれば、お墓は無くなっおしたうこずもあるのか 。けれども、恚み蟛みを䞀々気にする日本人に、お墓を無くしおしたうなんおこず出来る筈がない。きっずどこかに移動したのだろう。やっぱりお墓は増える䞀方なのだ。等々。

     お墓のこずで頭の䞭をモダモダさせおいるうちに、䌚瀟の最寄り駅に到着した。垰りの電車で、もう䞀床あのお墓の広告を確認しおみよう 。地䞋鉄から地䞊に出るず、ポチポチ雚が降っおいた。呑気な問題に悩たされながら傘を開いた。

    あずがき

     2026幎の今、䞖の䞭のお墓をめぐる考えや思いがここたで倉わるずは、1997幎圓時は予想もしおなかったのだろうず、しみじみ思った。


     
     
    1970幎生たれ。空を芋るこずが倧奜きです。空に広がる倧宇宙ず自身の内なる小宇宙に぀いお思いを巡らし生掻しおいたす。

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