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杯の底|悪魔は真夜中にドアを叩かない

     前回のエッセイ「脱げないドレス」にも関連して、再び欲望をめぐる物語。

     16世紀の初め、ヴィルトヴェルヒャー通り(現在のヴィップリンガー通り)に市の裁判官が住んでいた。彼は純金製の高価な杯を所有していた。当時、裕福な市民は自宅を貴重な美術品で飾るだけの余裕があった。

     市裁判官の妻はこの杯でワインを飲むことを好んだ。この杯でワインを飲むと、他で飲むより何倍も美味しく感じられるのだ。

     
     
    オーストリアのウィーンに暮らしてはや20年。 ウィーンの文化・伝説・歴史的記憶を、日常生活に交えながら綴ります。 観光案内ではありませんが、ヨーロッパの古都に堆積した記憶の層にご興味がありましたら。 ✉️ mika.mo.kn@gmail.com

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